第8話 ご飯を食べだす
お腹を壊していた剣がトイレから出てくると、すぐにご飯を食べ始めた。残念ながら、その時ユウキはちょうど自分の部屋に戻って本を読んでいたので食べている様子を見ることはできなかった。
「よし。食べ終わってるならレベルを上げにいくぞ」
剣にそう言ってから右手でしっかりと握った。そして、再び魔物の多いエリアへやって来た。何か嫌な予感のしていたユウキは、辺りに一匹のスライム以外の魔物がいないか確認してから殴りかかった。ブチュッっという、癖になる音と共にスライムは弾けて消滅した。
【レベルアップ レベルが 143 に上昇しました 魔物撃破ボーナス 有り】
「うん。だいぶんあがったな。攻撃力も231になってる………。でも、まだ初心者が使う練習用のゴミ武器より弱いんだよなぁ………」
ユウキの身長の1/3ほどもある、長い剣を眺めながら呟いた。真ん中あたりに埋め込まれている水色のクリスタルのなかには、白色の文字で現在のレベルが表示されている。
「レベルだけ見たらクソ強いんだけどな………。こんなちょっとずつしか上がらないのに魔王なんて倒せるのか………?」
少し不安になりながらも、日が暮れるまで魔物を狩り続けた。
現在のレベルは197。倒すのがスライムだと、レベルの上がりが少なくなってきた。
家に戻り、晩ごはんを作った。今回は前に焦がしてしまった肉料理だ。今度はちゃんと集中して作ることができた。成功したということである。
「ちゃんと美味しいな」
一口味見をしてから、剣に晩ごはんとして料理を渡した。
「今度こそはどういう風に食べているのか見てやる!」
小さくそう呟き、自分の部屋に隠れるフリをして物陰に隠れた。
剣は周りに誰もいないことを確認するような素振りをしてから、ご飯を食べ始めた。
「え――――?」