第9話 ヒミツ
剣の持ち手部分と、刀身の真ん中あたりからムキムキの手足が生えてきたのだ。手足が生え終わると、今度は剣本体が溶けるようにして吸収されていった。それから頭も生えてきた。
誰が見ても思うだろうが、キモい。顔はイケメンよりだが、全裸のムキムキの人が剣から出てきた(?)となると、そう思うのが普通だろう。
「美少女じゃない………」
思わず声が出そうになったユウキは、とっさに口を押さえる。
「くっそ。ムキムキの男とか大ハズレだろ………」
ユウキが美少女の方が良かったなどと考えているうちに、ムキムキになった剣はもう半分ほどご飯を食べ終わっていた。
『うんうん。今回のは旨いなぁ』
ムキムキになった剣は料理を口に頬張りながら、剣の形の時より人間に近い声で言った。
ご飯を食べ終わると、腹筋あたりの位置に剣の形が浮かび上がってきた。それに吸収されるように頭や手足が無くなっていった。
普通の剣に戻ったのを確認すると、ユウキは自分の部屋へ戻ってベッドに腰かけた。
「現代の剣ってスゴいんだなぁ………」
ユウキはすべての剣がああいう風に人間化できると勘違いしているが、本当は女の子が渡したのは特別な剣だったからである。
「この事知られたく無さそうにはしてたから、言うのはやめておいた方がいいかな……?」
剣のヒミツは盗み見たから知っただけで剣は人になる前、周りを確認するような素振りをしていたことを思い出した。
「うん。知らなかったことにしとくか」
月光が風で揺れたカーテンの隙間から差し込んできて、もう夜遅い事にユウキは気がついた。
「眠いし………もう寝よう………」
そのままパタリとベッドに倒れ込んで寝てしまった。
次の日
【朝ごはんはまだなのかあぁぁ!?】
ボソボソとした汚い機械音の叫び声でユウキの目が覚めた。
「あ………!」
日はすっかりと昇りきっていて、窓から見えた外はとても眩しかった。
「ごめん! 今作る!」
昨日のご飯も食べていなかったユウキは、腹の虫が鳴った。
「そういえば昨日の夜なにも食べてなかったな………」




