35玲の行方
次の日には2名の女生徒が見つかった。彼女たちはエスペリの同じ娼館にいた。
2人共、1人でいたので、短時間で救出できた。
救出後、王都の拠点に移転した。ハナに2人のケアとカルテをお願いし、トラには経緯の記述を頼んだ。
これで女生徒を5人救出した。
病院が稼働するまでは女生徒をマジックバッグで保管する。
今日の夜、病院を建設する。
明日から女生徒の治療が始まる。
俺とトラ、レオ、ハナの4人で『友を探せ』作戦の状況確認会議を実施した。
トラ達の報告で、クラス召喚の全体像を理解できた。
アンダシア王国で異世界召喚は王族直轄の中央軍が行っている。
中央軍は月2回、召喚を行う。
1回の召喚で数十名を召喚する。
召喚した男は戦奴訓練所に送る。
召喚した女は奴隷商に売り払われる。
女の代金は戦奴訓練所の運営費に充てられる。
第一王子は中央軍の元帥でありトップである。
異世界召喚も第一王子が指揮をとる。
アンダシア王国はここ5百年、異世界召喚で1万名の戦奴軍団を維持する軍事国家である。
女生徒達は移転後、捕縛され王都の奴隷商に卸された。
卸値は金貨300枚と固定金額。
移転した女性を買う奴隷商は10軒あり、順番に卸される。
奴隷となった女生徒は3カ月間の調教がおこなわれた。
異世界奴隷の売値は金貨500枚と固定金額。
奴隷商は調教により金貨200枚の利益を得る。
トラ達は現在、奴隷商までの調査が終わり、売り先を調べている。
異世界から召喚された女奴隷はこの国の言葉が話せない。
このため生産、農作業、家事には向かない。
売り先は娼館や見世物興行に限られてしまう。
個人に売る場合も、その手の目的で売られる。
奴隷商から娼館に売られたケースでは、まだ転売されるには早いので、比較的簡単に見つかった。
ただ、遠方の娼館の場合、距離の分、時間がかかる。
奴隷商から個人に売られるケースでは転売されていない場合は簡単に見つかる。
花田あかりのケースがこれに当たる。
奴隷商から外国の奴隷商に売られたケースでは、外国を調査するめ、時間がかかる。
また、この世界では移動娼館や見世物一座があり、各地を巡って商売している。
奴隷商から移動娼館や見世物一座に売られたケースでは、さらに調査に時間がかかる。
玲の調査状況を教えてもらった。
トラ達の調査では女生徒まではわかるのだが、個人までは特定できていない。
ただ、推測できる情報はある。
中央軍の記録の中に召喚者の性別、身長と体重の記録があった。
女の12番
身長158cm、体重38kg、年齢:12歳前後
健康:良、容姿:優。
女の12番は間違いなく玲だ。
女の12番(玲)は王都の奴隷商で調教後、ジノルバス公爵に売られた。
売られて2か月後、ジノルバス公爵は地元の奴隷商に玲を売った。
その奴隷商は2か月後、さらに見世物一座に玲を売った。
現在は見世物一座を追跡している。足取りは王都へ向かっている。
もうじき追いつくのではないかと予想しているとのこと。
玲のことを想うと心が痛い。玲、もう少しだ。絶対、助け出す。
雄太達6人以外の男子生徒の行方は判明している。
南部方面軍に4名、東部方面軍4名で、現在の居場所も分かっている。
両者とも緊急度が低く、後回しにしている。
南部方面軍は海賊から海辺の町や村を防衛している。
海賊は夜間、船で浜辺沿いの漁村や商業都市を襲う。
町の衛士では防衛できないので軍が対応する。
ただ、海賊は金儲けが目的だ。軍相手には戦わず逃げる。
南部方面軍に配属された4名に身の危険はなく、無給というだけで、待遇は常設兵と変わらない。
ただ、常設兵のように酒やむふふな遊びができないが、まあ、12~13歳には関係ない。
ウエスリーム王国との戦争に東部方面軍の常設兵が駆り出された。
東部方面軍の4名は常設兵の穴埋めとして送られた。
東部方面軍はローネ自由都市群と対峙する。
アンダシア王国はローネ自由都市群にまだ難癖をつけていない。
東部方面軍は当面戦闘を行わないので、危険性はまったくない。
* *
トラ達との作戦会議を終え魔道具工房に帰り、
タマと男子生徒達の教育状況について打ち合わせをした。
雄太達たち6人は戦奴から解放されて約1カ月たつ。
奴隷の首輪の跡も目立たなくなった。会話は発音が少し変に感じる。訛りと言えば通用する。
何時までも魔道具工房に閉じ込めておくのも気の毒なので、町に出ることを承諾した。
6人はルーシーに先導され、冒険者登録を行った。
彼らの描く冒険者とアレフギアの冒険者ではギャップが大きかった。
冒険者で身を立てることに失望していると聞く。
いきなりアレフギアに連れてこられたのだ。時間をかけてこれから先を考えれば良い。
俺のできる限りのサポートする。とりあえず、衣食住と教育は保証してやろう。




