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姫は勇者で魔法使い。  作者: 不忍唐傘
第二章 【姫も歩けば危険にあたる】
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#11

バジルの風味とツナの塩気が効いたツナサンドイッチを食べ終え、もう一方のローストビーフの方を口に入れる。

なめらかなローストビーフとシャキシャキしたレタスの食感、マスタードのピリッとした辛みがたまらない。

さらに硬めのバケットからパン独特の香ばしさと甘さが舌へと伝わる。


マスタードがけっこうキツめだったが、辛党の妾にはちょうどよかった。


「美味しかったのじゃー!」

「それはよかったです。 作った甲斐がありました」


嬉しそうにタッパーを受け取ったオルドルだが、彼はまだ眠っているミコガミの腹の辺りに座っている。

ここまでされても起きないミコガミを見ると、なかなか布団から出られない妾でさえも寝起きはかなりいいのではないかと錯覚してしまう。


「そういえば、クロヌはどこへ行ったのじゃ?」


さっきオルドルは三人とも寝ていた、と言っていたが、クロヌが見当たらない。

妾が寝る直前にはミコガミが見張りをしていたことから考えて、恐らく、今、クロヌは寝ていていいはずだ。

……逆に言えば、ミコガミが寝ているのはおかしいのだが、理由は明白故に追及する必要はないだろう。


「え? さっきからずっといるじゃないですか」


不思議そうな表情でオルドルが答えた。


「ぬ?」

「……まさか無意識下で座っていたのか」


まだ状況が分かっていない妾のすぐ後ろからクロヌの声が聞こえた。

ゆっくりと振り返るとそこには鍛えら上げれた男性の胸があった。


「……いつから妾はここに?」

「起き上がった後、すぐですね」


オルドルが妾とクロヌを交互に見て、苦笑する。

全くの無意識であるのだが、なかなか恥ずかしいことをしてしまっていたらしい。

小さい頃は床に座ってやれば良いことも、わざわざクロヌの膝の上でやっていたようなのだが、当時でさえも時間拘束されるためにクロヌには嫌がられていた、という話を女中から聞いたことがある。

「すまぬ、わざと座ったわけじゃないのじゃが……」

「特にすることもなかったし、別に構わない」


いつも通り、仏頂面で話すクロヌ。

表情ではいまいち分からないが声のトーンから察して怒っているわけではなさそうだ。

クロヌが妾に対して怒ったことはあまりないから、怒りを隠して普通に振る舞っていたりしたら、気がつかないかもしれないが。


「じゃ、じゃあ、まだ座っていてもよいのか?」


座高だけでもかなり差があるクロヌを見上げて、尋ねてみる。

幼い頃の感覚が残っているからなのか非常に落ち着く。


「クロヌは幼い女の子と男の子が大好きですから、あんまり長居はしない方が良いかと」

「俺はロリコンでもショタコンでもないが」

「でも、クロヌの部屋からこんな本が……」


異空間へ繋がる二十センチ四方の穴にオルドルが手を入れて、二冊の雑誌を取り出した。

オルドルが持っている雑誌を覗き込んでみると、片方は黒髪ツインテールにうさぎの耳が愛らしい幼く見える女の子が髪に合わせた黒色のフリルがところどころあしらわれた水着を着ている写真が表紙に写っている。

これだけでも嫌な予感がしたのだが、好奇心に逆らわずにジッと見てみると、その女の子は自分の秘所がギリギリ見えない限界まで、下の紐のような水着に片手をかけて下げてみせていた。

上もやはりギリギリ隠せる程度の布面積の小さな水着である上、女の子の表情も頬を赤く染めて、半ば恍惚としている。


「……サフィールにも見せるのは情操教育上よろしくないと思うのだが」

「そうですねぇ……。 じゃあ、姫様はミコガミを起こしておいてください」


そう言って、いかがわしい本を持って、オルドルがミコガミの上から立ち上がる。

「あのいかがわしい本の続きが気になって仕方がない!」ということはない故、クロヌの膝の上から立ち上がって、ミコガミの隣に移動する。

オルドルは起こせ、と言っていたが、自分の上に五十キロ以上のものがのしかかっても全く起きる気配が無かった人を妾が起こせるのか、ということに疑問が残る。


「ミコガミ、起きるがよいのじゃー」


一応、ミコガミに呼びかけてみる。

やはり起きる気配はゼロだ。


「だから、それは俺のものではないと何回言えば理解出来るのだ?」

「じゃあ、誰のものですか? とりあえず、こっちのショタ本は私が預かっておきますね」


妙に生き生きとしたオルドルとの問答にクロヌが嫌々答えているなが聞こえる。

正直かなり前から、オルドルの存在自体が情操教育上はよろしくないと思っている。


「あぁ、この子は可愛らしいですね」

「何故読む」


ついにはいかがわしい雑誌を読み始め、感想まで言い始めたオルドルをクロヌが止める。

どうやらクロヌから没収したものをオルドルが読みたかっただけらしい。

あの雑誌はクロヌのものではなくてニナルヴァ殿のものである可能性の方が高そうだが。


「うーん……。 ん? サフィール?」


まだ寝袋に入ったままのミコガミが眩しそうに少し目を開けた。

しかし、次の瞬間、大きく目を見開いて、飛び起きた。


「やべぇ、寝ちゃった!!」


そう叫んだミコガミの顔面に先のいかがわしい幼女が表紙の雑誌が飛んできた。

もろに喰らったミコガミが僅かに後ろにのけぞり、雑誌を拾う。


「……なにこれ?」


いかがわしい雑誌の表紙を見て、リアクションに困っているミコガミにオルドルがビシッと指を指して、こう言った。


「だらしないですよ。 その雑誌の表紙の彼女の格好よりもだらしないです!!」


この言葉を受けて、より一層どんなリアクションを取ったらいいのか分からなくなったミコガミが助け舟を求めるようにクロヌを見やる。

しかし、残念ながらクロヌは目を逸らしただけで助け舟を出すことは無かった。


「なにこれ、どこで買ってきたの? っていうか、姫に見せていいものじゃないんじゃ……?」

「クロヌの部屋から押収しました」


助け舟を求める視線が疑惑に変わる。

さすがに耐えきれなかったのかクロヌが「俺のものではない」と否定した。

ここ二か月以上パソコン先輩が壊れてしまっていたため、更新できておらず申し訳ない限りです・・・

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