七月二日、カラス
「いや、俺は間違ってないですってば!信じてくださいよ〜!」
開口一番、羽をばたつかせながら涙目になっているカラスさんに訴えられた。
じとっとした目を向けると、カラスさんはさらに激しく羽をばたつかせた。
「織姫姉さん〜!!ほんとに、天帝様が言っていたんです!たしかに、会議では『七日に一回』って言ってましたけど!後から『やはり七月七日の一日だけにしよう』って言ってたから、俺がそれを伝えただけです!ていうか、カラスも一応は神聖な生き物なんですよ!人の話を聞き間違えるほど愚かではないですって〜!!俺も可哀想だと思いましたし!」
「……じゃあ、何故それをあなたが伝えたの?私も、こういうのってカササギさんの仕事だと思ってた。」
私が疑問に思っていたことを話すと、カラスさんは目をあさっての方向へそらした。
「えー……っとぉ……それはー……まぁ、点数稼ぎと言いますか……。――俺は、カラス一族の再興を果たしたいんです!あの憎き狐の小娘には負けない!」
カラスさんは開き直り、がばっと顔を上げた。こころなしか、目にメラメラと燃え盛る炎が見えた。
そうだ。カラスさんは、狐の一族と神使枠で争っているんだった。前はカラスの一族が勝っていたけれど、狐の一族にはめられてしまったんだっけ。
「黒は不吉の色。つまり、カラスは不幸を呼ぶ」って噂を流されて。
心のなかで「頑張れ」と応援すると、急にカラスさんの尾がしおしおとうなだれた。
「あー……でも、俺がおかしかったのかもなぁ……。あのときの天帝様、いつもよりも後光が弱く見えてたから、俺半寝だったかもしれないです……。」
私はその言葉に目を丸くした。
「……え?後光!?あなた、そんなもの見えていたの!?しかも、あの父様に、後光!?」
「いや、"あの父様"なんて言ってますけど、天帝様ですからね……。ああ、もちろん、天帝様の娘さんである織姫姉さんにも見えますよ、後光。……あの憎き小娘もそこそこ強いんですよ!」
カラスさんの目にまた炎がつき、「うおおー!」と言いながらどこかへ飛び去ってしまった。
とんとんからり。とんとんからり。
カラスは嘘をついていないようだった。
――よし、明日は父様に話を聞きに行こう!




