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29.【伏見竜也の手記】
臭いが取れない。取れない取れないどうしても取れない。
服を替えても、部屋を換気しても、何度体中洗い直しても。
どこへ行っても何をしていてもあの臭いがする。
肌に髪に肉に骨に粘膜に染み込んで染みついてどうしても取れない。
寝ても覚めてもずっと、腐った肉とネクターを煮詰めた大鍋の中に頭を押し込まれ続けてるみたいだ。
腐った甘ったるい臭いが鼻孔に絡みつき続けて、何を食ってもあの臭いがする。吐き気がひどい。胃が気持ち悪い。もう食い物の味もわからない。何を食べても吐いてしまう。
爪の間に染み込んでる髪の根本まで染みついてる。焼いてもダメだ剥がすのも無理だ。鼻と喉に洗剤を流し込もうとしたが痛くて苦しくて吐き出してしまった。
あれと同じだ。人が腐った汁が基礎にまで染み込んだ家と。
床を剥がしても畳を替えても、下地や基礎にまで染み込んで臭いが取れなくなった建物と。
こんなことなら羽波見さんに相談すればよかった。ユリエお嬢さんにまたあの男が近づいてたこと。けいさつに通報したってよかったんだ。そうすればあいつらを怒らせなくてすんだのに。
あああああああくさいくさいくさいきもちわるい頭がおかしくなる
なんでもいいからこのにおいからかいほうしてくれ!!!
(以降、文字が乱れ判別不能)




