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『ゲーム』


『2対2宝さがし対決』

ジーニの声が無機質に響いた。


「はて、2対2でおざりますか?複数対複数は久々やね。楽しみやわ」

狐のように怪しく雉野雪野は微笑んだ。

まるで、どんな勝負が来ようと自分が負けることは万に一つもないだろうという心のうちをうかがわせるほどの自信満々の余裕のある笑みだった。


「訳知り顔で何言ってんだ?まぁ、俺は寛大だからな。勝負では勝てずに、知識でしかマウント取れない哀れな巫女に対しても慈悲はあるぞ。感謝しな。マウントとるために説明したいんだったら説明してもいいぜ。奴隷前の最後の偉そうな姿を周りの人の眼に焼き付けてもいいぜ」


「くすくす。そうやって尊大な態度を取るお方はホンマは自信がないから、外面だけ大きく見せるって言い張るけどまさにそれやなぁ」

俺の言葉に対しておっとりと話す。余裕のある姿は崩れない。

だが、若干先ほどよりも表情の変化が乏しくなり作り笑いであることが分かる笑みだった。

俺は舌戦勝負の手ごたえを手に入れる。


「ふふふ。そうやって、口だけ達者の負け犬フラグを立ててくれてご苦労さん。そんなフラグを建てたらどうなるかは、この奴隷一号が証明済みだけど、大丈夫か?」

俺は親指で黒川沙耶香の方を指し示す。


「そんな、成長力のない正義感だけの甘ちゃんと一緒にされても困るんよ。そんなんに勝って、思い上がられてものぉ」

雉野雪野は、上品な口調のまま黒川沙耶香をバカにする。


「まあいいや。結果は数時間もすれば自ずとわかるだろうしな」


「そうやね」



『うふふふふふふふふふふふふふ。ハーハッハッ』


俺と『新雪の巫女』は周囲に恐怖を与える得体の知れない笑みをする。


「って、そんなことはどうでもいいですわ。それよりもまずはルール説明をしてもらいましょう。舌戦もいいですけど、勝負に勝てなければただの強がりと同義ですわ」

金髪の少女がまたも割って入る。


「それもそうだな。ジーニ説明してくれ」


『かしこまりました。まずは奴隷を一人選んでいただきます。それが各々のパートナーとなります。そして、この奴隷と協力してジーニが用意するVR世界の中で早く宝を探した方が勝ちとなります。勝負は3つの宝を探すことで行われます。基本的には普通の宝探しゲームと同じですが、二人で共通の邪魔アイテムを使えることができます。そして、今回の奴隷勝負では島内中で放送されます。そのため島内の他の人と連絡して宝を探していただいても結構です。支配力・人脈も今回のゲームでは必要となりますのでご承知の程をお願いします』


そう言ってから、ナノ分子だかの技術で空中にカードの一覧がでる。


『停止』 一定期間敵の一人を麻痺状態にする。

『以心伝心』 一度だけ相手と考えを共有することができる。(会話するのではなく一瞬で共有したいことが共有できる)

『刻印』 人(敵、敵のパートナー、味方を含む)または、地面に対して使用することにより地図上に印をつけた場所が常に自分と味方の地図に記される


と言った3種類のカードだった。

「なぁ、ジーニカードを一つ加えてくれないか?」

俺は、ジーニに相談する。

「どうさりました?自分が有利になるカードなんてうちが許すわけないやろ」

女狐が俺を静かに睨む。

「はぁ?バカ言え。お前のためのカードだよ。外界から、このゲームは見えるんだから、外界との繋がりを一定期間遮断する方法は必要だろ?お前の能力を十分活かすための救済処置だろ?それとも、お前の能力をこの場でばらしてやろうか?」

俺は、次の言葉を余裕の笑みを浮かべて語気を強めて強調するように言う。

「ファンクラブの人数No.1の雉野雪野さん」


「ふふふ。あなたのことをペットにしたいと思いましたわ。あなたが奴隷勝負を挑まなかったらこなたがそなたに勝負を挑むところやったわ。ええよ、そなたの望みを叶えるでな」

『両者の合意がなされましたので、カード 『遮断』 外界からこのゲームが60分間監視できなくなり、外界からの交通・連絡手段が一切なくなる  を追加します。』


それに加えて

『舞台はVR技術をフルに使用したフルダイブ空間として、能力はそのままのものが使用できる仕組みとなっています』


というジーニの声が聞こえた。

先ほどちらっと言っていた通りこのゲームは仮想空間でやるらしい。


「どうしてVR技術を使うんですか?」

隣で、伸びやかな鈴の音が奏でられる。

「そんなものは決まっているだろ?宝探しだからだよ」

その音におれは当然の答えを告げてやる。

だが、

「宝探しだから何だっていうのですか」

キャンキャン吠える黒川紗耶香を置き去りにしゲームは始まるのだった。

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