表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/21

2-7 事件発生

「キャー‼︎」

「たっ大変だぞ!みんな早く逃げろ‼︎」


 遠くの方からこっちへと駆けてくる人たちが口々に悲鳴や大声を上げている。


「なんだ⁉︎一体何が起こってるんだ⁉︎」

「わかりません!ですが、何か異常事態なのは間違いないようですね」


 俺の疑問の言葉に東雲が答える。


「一体何があったんですか?」


 逃げてきた人たちに俺が何があったのかを聞いてみる。


 すると、「と、通り魔が出たんだっ!向こうの方でナイフを持った男が訳の分からねぇことを言いながら次々と人を刺してるんだ‼︎」と逃げてきた方を指しながら答えた。


「通り魔だって⁉︎それが本当なら大変どころの騒ぎじゃないぞ!早くここから逃げないと‼︎」

「そうですね。しかし、このままだと藤ヶ谷さんと逸れてしまうことになってしまいますが……」


 俺は今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいなのだが、どうやら東雲は先程一人で買い物に行った藤ヶ谷のことを気にしているようだった。

この状況で、いまこの場にいないアイツのことを考えられる東雲は友達思いのいいヤツだとは思うが、今はそれどころじゃないと思うんだが……。


「東雲、確かに藤ヶ谷のことは心配だ。だが、あいつだってバカじゃない。周りの人たちと一緒にちゃんと避難するだろう。今俺たちが優先すべきは、自分たちの身の安全だ」


 藤ヶ谷はああ見えて意外としっかりしている。

この状況でも焦ることなく避難することくらいできるだろう。


 俺と東雲がそんな会話をしている間にも俺たちの周りにいる人たちも続々と避難を開始している。

既にこのショッピングモールに入っているお店のスタッフさんや警備員の方などが客の避難誘導を行なっている。


「そうですね、わかりました。我々も急いで避難しましょう」


 俺の言葉に東雲が頷き近くにいた警備員の案内によって避難を開始しようとしたのだが……。



「あぁぁぁぁ……神の敵はお前かぁぁ?お前を殺せば……俺は救われるんだぁ」


 気がつけば俺たちのすぐ側まで通り魔の男は近づいていた。


「うわぁ⁉︎」


 俺は思わずその場で腰が抜けてしまった。

しかも、最悪なことに俺は通り魔の男と目が合ってしまった。


「東條さん‼︎早く逃げてください!」


 東雲が何か叫んでいるが、何を言っているのかわからない。

俺の頭は完全にパニックを起こしていた。


 しかも、通り魔の男は他の客には目もくれず真っ直ぐに俺の方へと向かってくる。


「こ、これで俺も救われるんだぁぁ!神が救ってくださるんだぁぁぁぁ‼︎」


 訳の分からないことを叫びながら、その手に持っているナイフを俺に向けて突進してくる。


(ああ、殺される)


 周囲の光景がやけに遅く、まるでスローモーションのように見える。

人って本当に絶体絶命に陥ると何も考えられなくなるんだな。

よく、火事場の馬鹿力なんて言うがそんな力は俺にはなかったようだ。


「東條さん‼︎」


 後ろの方から東雲の叫ぶ声が聞こえるが、その音さえもやけに間延びして聞こえてくる。


 ......その瞬間、俺は通り魔の男に腹部を刺された。

瞬く間に血が吹き出す。

痛い……熱い……。自分の意識が遠のくのが分かる。


(ああ、俺ここで死んじゃうのかな?嫌だなぁ。てか、なんで俺が通り魔に刺されなきゃならないんだよ!俺が何をしたって言うんだよ‼︎)


 あまりにも突然襲ってきた理不尽に、俺は心の中で悪態を吐く。


 刺されたのは腹部のはずなのに身体中が痛い。

まるで痛みが全身に伝播しているようだ。


 しかし、しばらくすると身体中を駆け巡る痛みはそれほど感じなくなっていた。

そのかわりに今度はとてつもない寒気が襲ってくる。

文字通り、血の気が引くようなとは今のような状況のことを言うのだろう。


(なんかもう、何もかもどうでもいいや。何も考えられない。頭が回らない。……早く楽になりたい……な……)


 そうして俺は自らの意識を手放そうとした……のだが……。


 “何を弱気になっておるのだ、貴様はこんなところで死ぬほど弱くはないはずだぞ,,


 どこからともなく声が聞こえた。

それはどこかで聞いたことのあるやけに懐かしい声だった。


 “そろそろいい頃合いかもしれないな,,


 よく分からないことを言う声に耳を傾けていると、突如目の前が閃光のように光りだす。


 あまりにも突然の出来事に理解が追いつかない。

 しかし、俺の混乱はこんなことでは終わらなかった。


 閃光が収まったとき、目の前にいる人物を見て思わず俺は固まってしまった。


 なぜなら、そこにいたのはこれまで何度も見てきた、しかしここに居るはずのない人物だったのだから。


「ま、魔王」


 “うむ、如何にも我こそが魔王だ。こうして対面するのは初めてだな、東條巽,,


 俺のつぶやきに魔王が答える。


 今、俺の目の前には俺が何度も夢で見てきた魔王が立っていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ