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2-2 それぞれの思惑

大変お待たせしました

 

「やはりまだ戻ってはいなかったか」


 とある男子生徒は誰にも聞こえない声でそう呟いた。


「奴が接触に成功したというのもどうやら本当だったようだ。しかし、まだ手を出していないのは不幸中の幸いだったな」


 男子生徒は現状を確認するように冷静に分析する。

 そもそも彼の中では自身の接触はもう少し時間が経ってからのはずだった。

 それが思わぬアクシデントにより計画を早めなければならなくなってしまったのだ。


「ひとまずあのお方の現状や奴についての情報をアイツから聞き出す必要がありそうだ」


 そう言って男子生徒は、昼休みに別の生徒を人気の少ない校舎裏へ呼び出した。





 教室内では、先ほどの男子生徒とは違う、一人の女子生徒が焦りを感じていた。

 しかし、彼女はそのことを一切表情には出さず、いつもと変わらない笑顔を周囲に見せていた。


「まさか、アイツが直接こちら側に来るなんて予想外だったわ」


 彼女の口から溢れた言葉は今の彼女の偽らざる本音だ。

それだけ、彼女にとってその人物の登場は大きな衝撃だった。


「おそらくアイツの目的は遅れている彼の復活を早めることのはず。なら、私はできる限り彼の側にいて、アイツの邪魔をしなくちゃいけない」


 彼女はその者の目的を推測し自分にできる抵抗の策を考える。

 しかし、この時の彼女は勘違いをしていた。

それは、その者のがやってきた一番の理由が彼女の調査だったということだ。




 昼休み。

 人の気配のない校舎裏の片隅には二人の男子生徒の姿があった。

片方は背の高い長身の男子、もう一人はどこか気怠げな目をした男子生徒。


「おい!一体どうなっているんだ⁉︎何故、あのお方と奴が一緒にいる⁉︎」


 背の高い男子生徒が気怠げな男子生徒へものすごい剣幕で問いかける。


「俺の方だって詳しくは知らないよ〜。ただ気がついたらアイツがあの方に接触してたんだよ〜。多分、向こうもあの方の秘密に気づいたってことなんじゃないの〜?」


 見た目だけでなく喋り方まで気怠そうな間延びした口調で長身の男子生徒へ答える気怠げ男子。


「そうなる前に排除するなり、接触を遠ざけるなりするのが貴様の役目だろうが!一体、何をしていたのだ貴様は⁉︎」

「無茶言うなよ〜。アイツ、ホントに知らぬ間に接触してきてたんだから〜。周りの奴らを監視の目にするだけで一杯一杯だったんだから〜。それに下手に接触してあの方の復活に影響が出ても困るし〜」


 気怠げ男子はあくまで想定外の事態であったこと、その中でも最も効果的な作戦をとっていたことを強調して長身男子に告げる。


「確かに、下手な接触はこちらとしても避けたいところではある。」

「だろ〜。だから俺は速攻で学校中に噂を流したんだから〜」

「どちらにしても今の段階で我々が急に接近することは出来ないか……」


 長身男子がため息混じりにつぶやく。


「しばらくは様子見した方がいいと思うよ〜。まあ普通のクラスメートを装ってちょっとずつ近づくのがベストかな〜」

「それしかないか……。しかしその間に奴が手を出さないとも限らないしな……」


 長身男子が自分の考えが上手くまとまらずに葛藤する。


「そうならないように影から見張るのが今の俺らの役割だろう〜」


 呆れたような口調で気怠げ男子がつぶやくが長身男子にはまるで聞こえていないようだ。


「こんなんでこの先大丈夫なのかな〜?」


 気怠げ男子のつぶやきを聞くものは誰もいなかった。




「はぁー、あの娘はまったく何やってのかしら」


 校舎裏で二人の男子生徒が密会をしている頃、誰もいない空き教室の窓際で独り言ちる女子生徒がいた。


「自分の任務のこと忘れたわけじゃないとは思うけど、アタシが手を加えなきゃいけない事態にならなければいいんだけど……」


 ため息混じりに独り言ちるその言葉を聞くものはやはり誰もいなかった。



 彼、彼女らの目的が判明するのはこのもう少し後の出来事になる。




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