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1-12 夢の続き

お待たせしました。

 結局天乃は土産物のコーナーでペンギンのぬいぐるみを買った。

どんだけ気に入ったんだよペンギン。

今もご機嫌でぬいぐるみを抱きしめている。


「そんなにペンギンが気に入ったのか?」

「うん!だって可愛いじゃん‼︎」


 俺はそんな風に笑顔を見せる天乃の方が可愛いと思うが口には出さない。

だって恥ずかしいじゃないか。



 駅で天乃と別れて家に帰ってきた俺は自分の部屋で今日の出来事を振り返っていた。


「まさか天乃が水族館であんなにテンション上がるとはな」


 正直意外だった。

今日の天乃は初めて水族館に来た子供のようなテンションだったからな。


 そんな天乃に付き合って俺もはしゃぎすぎてしまった。


「まだ22時半か、今日は疲れたからもう寝ようかな」


 普段ならまだ起きている時間だがさすがに今日は疲れた。

明日も休みだが今日は早く寝よう。




 気がつくと俺は荒野のような場所にいた。

辺り一帯何もない場所だ。

空は黒い雲が覆っていて光はない。


 俺が周りの状況などを確認していると上空で何かの音が聞こえてくる。


「あれは一体なんだろう?」


 何やら人のような影が二つ、俺の真上を飛んでいった。

 そして俺は確信した。

これは以前見た夢の続きであることを。


 何故これが夢であると確信したかといえば、「今飛んでった二つの影のうちの一つってこの前の夢で見た魔王だったよな……?」


 そう、先ほど俺の真上を飛んでいった人のような影の一つがこの前の夢で見た魔王にそっくりだったのだ。


 しかし、もう一つの影には見覚えがないな。

以前の夢に出てきた部下のような男ではなかったしな。

それに俺が見た印象だが、魔王が何者かに追われているように見えた。


「あれが前の夢の時に魔王たちが言っていた敵なのか?」


 充分に考えられる可能性だろう。

魔王たちは何者かたちと戦争しているようなことを言っていたからな。


「あの二人の戦いがどうなるのか気になるな」


 魔王が追われていたということは以前部下の男が言っていたように劣勢に追い込まれているのだろう。


 なんとなしに俺はあの二人の戦いがどうなるのか気になった。

すると突然周囲の風景がグニャリと歪み眩しく光った。


「うわぁっ!なんだなんだ⁉︎」


 光が収まりゆっくりと目を開けると先ほどとは違う場所にいた。


「さすがは夢といったところか……」


 どうやら瞬間移動のように見たい場所へ移動できるようだ。


 俺の目の前には魔王と一人の女性が対峙していた。

まさに一触即発といった状況だ。


「お前にここまで追い詰められるとはな……」

「そろそろ負けを認めて大人しく倒されてくれると助かるのだけれど?」

「それは無理だな。我も簡単にやられるわけにはいかないのでな」


 魔王と女性の会話を聞くに魔王は相当追い詰められているようだ。

俺の目の前にいる魔王は以前の夢で見た時と違い衣服はボロボロになっており、明らかに追い詰められたといった表情をしている。


 それに対して女性の方は余裕の表情。

というより息一つ乱れていない。

目の前の敵を倒すのは自分にとってはただの作業でしかないといった表情だ。


 そしてそんな女性の顔を見て俺は何故だか妙な既視感を感じていた。


「あの女の人どこかで会ったことあるような気がする……」


 魔王と対峙している女性に見覚えがあるような気がするのだがそれが誰だったかどこで会ったのかが思い出せない。


 そんなことを考えている間に二人の戦いは始まっていた。

いや、もはや戦いとも言えないかもしれない。

魔王が繰り出す攻撃の全てを顔色一つ変えずに受ける女性。

しかも全ての攻撃を受けてなお無傷でそこに立っているのだ。


「やはり今の我の攻撃では貴様に傷一つつけることはできぬか……」

「だから言ったでしょう、大人しく倒されなさいと」

「我にも目的があるのでな、それを成し遂げるまではやられるわけにはいかぬ」


 どうやら魔王は今の自分では相手を倒せる可能性は低いとわかっていたようだ。

それなのに魔王の表情はまだ少しばかりの余裕がある。

何か作戦でもあるのだろうか?


「何を考えているのか知りませんが私が出てきた時点であなた方に勝ち目はありませんよ」

「さすがは最強の天使ということか……。我もここまで手強いとは思わなかったぞ」


 相手の女性は天使なのか⁉︎

 しかも魔王の言った言葉的に天使の中でも最強の天使らしい。

というか最強の天使さん、魔王より圧倒的に強いよね?よく今まで全滅せずに持ち堪えてたな魔王たち。


「これ以上あなたのくだらない計画に付き合うつもりはありません。そろそろ終わりにしましょう」

「どうやら今の我に出来るのはこれまでのようだな」


 天使が最後の攻撃を繰り出そうとし、それを悟った魔王が目を瞑る。

魔王は諦めてしまったのか?

まだ秘策がありそうな雰囲気だったが。


「ようやく敗北を認めました。ではこの攻撃でとどめとしましょう」

「何を言っている。我は敗北を認めたりはしていないぞ」

「何を言っているのですか?あなたは今自らの敗北を認めたではありませんか?」


 魔王は何を言っているのだろうか?

確かに魔王は今ここまでかと諦めの言葉を口にした。


「言ったはずだぞ。今の我(・・・)に出来るのはここまでとな」

「何を企んでいるのですか?」


 天使の女性の目つきが鋭くなる。


「今の我に出来るのはここまでが限界だからな。後の我に託すことにしたのだ。我の魂を受け継ぐ者がきっと我の計画を、望みを叶えてくれるだろう」

「そのようなことが出来ると本気で思っているのですか?私が言うのもおかしな話ですがそのような事が可能だとは思えませんが?」


 後の自分に託す?

つまりあれか?輪廻転生的な話か?来世の自分に今の自分の計画を丸投げしようとしているということか?

天使の女性ではないがそんなこと出来るのかよ?


「我は出来ると信じているぞ」

「くだらない妄想ですね。私が今ここでその野望諸共葬って差し上げましょう」


 天使の攻撃が魔王に放たれる。

小さな光の玉のようなものが魔王めがけて飛び出す。

しかしその攻撃は魔王に当たる前に霧散する。


「我はここまでしか出来なかったが後の我がきっと貴様らの野望を打ち砕くだろう」


 魔王が光に包まれながら高らかに宣言する。


「あとは任せたぞ」


 魔王がそう言ったとき俺は魔王と目があった気がした。


「そうはさせませんよ!」


 天使がもの凄い速さで魔王に詰め寄るがその前に光が収まる。


 そしてその場に魔王の姿はなかった。

その場にはただ一人の天使が佇んでいるだけだった。


「逃しましたか。何を考えているのかは知りませんが例えどんな手段を使おうとも必ず私が潰します」


 天使の女性の顔はめちゃくちゃ怖い。

そこには後一歩のとこで敵を逃した悔しさもあるのだろう。


 全てが収まり辺りが静寂を取り戻した頃、突然辺りが眩しく光った。

どうやら今日の夢はここまでのようだ。

しかし今日の夢はかなり衝撃的だったな。


 魔王の敵が勇者とかじゃなく天使だったり魔王が輪廻転生的なことをしたりと。


 今回の夢で見たことを思い出しながら俺の意識は現実世界へと回帰していくのだった。

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