1-13 幕間
遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
「ひとまず、潜入には成功したようだな」
真っ暗な部屋の中で初老の男が呟く。
「はい。あとは奴の力が覚醒する前に始末するだけです」
初老の男と向かい合って座っている若い男がなにやら物騒な事を言う。
「しかし、今の奴は人間として生きている。下手に殺すことはできないぞ」
「そこは彼女に一任しております。仮にも最強と呼ばれていたのですからタイミングについては間違えないでしょう」
どうやらこの二人はとある人を殺すための相談をしていたらしい。
既に殺し屋のような存在をターゲットの近くに送り込んでいるらしい。
「しかし、彼女を送り込んで既に一年以上が経過している。そろそろ何かしらの動きがあってもいいのではないか?」
「今の彼女にはかつて程の力はありません。おそらくですが確実に奴を殺すために慎重になっているのでしょう」
初老の男はできるだけ早くターゲットを殺したいらしい。
落ち着いて見えるがその表情からは僅かではあるが焦りのようなものがみえる。
「もし仮に彼女が失敗しても我々にはまだ切り札がありますから、焦る心配はないかと思いますよ」
初老の男とは逆に若い男は非常に落ち着いてみえる。
男の言葉を信じるなら何やらまだ切り札を持っているらしい。
「できるのであればその切り札は使いたくはないな。私は未だにあの計画を信用しきれていないからな」
「その懸念は最もですが安全には十全に配慮しております。万が一の事態にも備えてあらゆる場面を想定して計画は進行しております」
初老の男は切り札とやらについて思うところがあるようだ。
信用しきれないという言葉と若い男の安全への配慮という言葉からどうやらそれなりに危険な切り札であるようだ。
「まぁとにかく、今は彼女が奴を殺すのを待つしかない」
「そうですね。ですが切り札の方の計画も同時進行で進めさせていただきますよ。今後どうなるかは分かりませんから」
若い男はうすら笑みを浮かべて初老の男へと言葉を告げる。
その表情には誰に何を言われようと自らの計画を完成させるという決意が滲み出ている。
「分かっている。かつてのような失敗は私としてもゴメンだからな」
初老の男もそんな若い男の内心を正確に読み取り肯定の意を示す言葉を述べる。
「では、私はこれにて失礼させていただきます。これから計画の打ち合わせがありますので」
「ああ、何かあればすぐに報告しろよ」
「分かっていますよ」
若い男はもう話すことはないとばかりに部屋を出ていこうとする。
それに対し初老の男が一言クギを刺すように言う。
若い男はそのようなことは言われなくても分かっていると言いたげな表情を浮かべながら部屋を後にする。
「ふぅ、果たして今後どうなるだろうか。何やら嫌な予感がするがもう我々に失敗は許されない。今度こそ奴を殺して計画を完遂させる」
若い男が部屋を出ていった直後、初老の男は独り言ちるように呟く。
先程までとは変わり険しい表情で呟いたその顔には確固たる決意が滲み出ていた。
次回はなるべく早く更新できるようにします!




