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68話

 

 申請の処理にはしばらく時間がかかるようだ。確か、登録時の階級はFランクだったな。アルターさんの話によれば、Fランクは実質的に冒険者未満の試用期間。Eランクに上がってからが本格的なスタートとなる。ABCDEの五段階評価となっている。

 

 Aランクの上にSランクとかあるのかと職員に聞いたが、何言ってんのという顔をされた。Aが最高らしい。と言うことは、クロウさんマジで強い人だったのか。てっきり、登場時は強そうだけど後半になるにつれて敵の戦力インフレに追いつけなくなるポジションの人かと思ってた……今も若干そうじゃない? という失礼な感想が頭に浮かぶ。

 

 「ゴーダさんは実力から考えてEランクからスタートしてもいいかと思いますが」

 

 「何言ってるんですか、アルターさん。こういうのは下積みが大事なんですよ。最初は雑用の仕事からコツコツコツコツコツゥ! と、経験を積み重ねながら成長していくものなんです」

 

 「そうですよねええっ! まったく、おっしゃるとおおおりだと思いますッ!」

 

 なんかメガネの職員がむせび泣きながら相槌を打ってきた。なんなんだこの人。

 

 とにかく、Fランク冒険者が受けられる依頼はFランク指定の依頼のみ。きっと薬草採取とか、ホーンラビット討伐とかの依頼に違いない。ホーンラビットという魔物がいるかどうか知らないが、異世界転移モノの常識から言って出現率は高いと思われる。

 

 そして薬草なり角ウサギなりを狩りに行ったところで偶然にも盗賊に襲撃されている馬車を発見し、駆け付けた俺たちが華麗に撃退するところまでシナリオは見えている。

 

 「あ、ゴーダ様とノワール様の冒険者ランクにつきましては、御領主様のご推薦により最初からEランクとなっております」

 

 なんでそこで領主の名前が出て来るんだ。そう言えばこの職員、俺たちが協会に来た段階から既にこちらの名前とかいろいろ情報を知っていた。もしかして、キーグロから話が通っているのだろうか。

 

 「あれ、御存じない? キーグロ・モブーン様から御二人の処遇を仰せつかっております。領主様直々の推薦によりFランク試用期間は免除されています」

 

 「ええ!? じゃあ、ノワールの正体のことも知ってるんですか!?」

 

 「正体……? ゴーダ様の奴隷としか聞き及んでおりませんが」

 

 ノワールがダークエルフだと言うことは知らないようだ。知っていたらこんなに平静でいられないだろう。今さらながら、世間的な見聞としてあのダークエルフがどうなったと伝えられているのか聞いてみる。

 

 「領主軍の働きによって事件は解決し、犯人は捕えられ、既に処刑されたと今朝がた発表されましたよ」

 

 「ノワールがニンゲンごときに処刑されるなどおぼっ!? ゆらすなああ!」 

 

 慌ててノワールの口を仮面の上から押さえるが、防御スキルのせいか効果がない。脇の下から体を抱えて上下に激しくシェイクすることで事なきを得る。

 

 どうやらノワールは世間的に死んだものとして扱われているらしい。ノワールと言うか、『襲撃犯としてのダークエルフ』は処刑され、全くの別人としてノワールの身分が作られたのだ。そのあたりの工作はキーグロが領主の権力を使って手回ししてくれたのだろう。

 

 「さらに、『ゴーダさんファンクラブ』に御領主様からチーム指名依頼が来ていますよ」

 

 チーム指定依頼とは、その名の通り、特定のチームに名ざしで依頼されたものを言う。そのため、内輪でひっそりやる分を除いて、無名のチームにこの手の依頼が来ることはまずない。たいていは知名度の高いチームの信用度を買って指名されるものであるからだ。

 

 結成されたばかりの無名チームに、しかも領主から依頼が寄せられることは大変名誉なことだと言われた。

 

 「ところで、その依頼内容ってなんですか?」

 

 「ヒットウの町へ向かう商隊の護衛依頼みたいですよ。待遇も報酬も普通のEランクチームが受ける依頼とは比べ物になりませんね。さすがです」

 

 思惑が透けて見える!

 

 「商隊の出発は……明日の朝となっています」

 

 「あのゴリラ」

 

 話が急過ぎる。ちなみに断ったら、推薦の件も取り消されてFランクからやり直しとなるらしい。それ以前に領主からの依頼を無碍にしたら何をされるかわからないと、職員から顔を青くされて諭された。うん、そうだな。そのときはノワールを領主邸に解き放ってやろうかな。

 

 「あとそれと、領主様から手紙を預かっております」

 

 俺たちのチームに向けてキーグロが手紙を出していたようだ。豪華な封筒を職員から渡される。何か言いたいことがあれば館に出向いたときに言えばよかっただろうに、こうして書状の形で渡してきたということはそれなりに重要なことが書かれているということか。

 

 俺は封蝋をはずし、封筒の中身を確かめる。中からは手紙と、チケットらしきものが3枚出てきた。チケットには『ヒットウオンセン宿、特別優待券』と書かれている。手紙も読んでみる。

 

 ――――

 これで楽しんでウホ❤

 ――――

 

 この券はありがたくもらっておくことにしよう。手紙の方は、後で鼻でもかんで捨てよう。

 


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