弱肉強食!フィッシュ・マーケット ◆ 8 ◆
◇ ◇ ◇
「……ァァァアアアアアア」
ざぶん。悲鳴が途切れる。水しぶきを浴びて目を開けたエレナの姿は、暗い洞窟のようなプールにあった。目が慣れてくる前に、ピリピリとした痛みがエレナの肌に走る。しゅわわわ……。
「ぎゃーお洋服が! 溶けちゃう!」
「クワァアアアアア」
ここはデカ鷲の胃の中だ。肩まで浸かっている酸のプールで服が溶け出す。エレナの隣で鶴も悲鳴をあげていた。ふたりはどちらからともなく抱き合う。
「ひーん」
バサバサと羽を苦しげに暴れさせる鶴。さっきまでエレナを巻き込んで空を飛んでいたその翼はボロボロで、鶴一羽の重さも支えられなさそうだ。
「飛べないのね」
そう言うとエレナは、ざばっと鶴を抱きあげ肩の上に乗せてやる。
「くぇ……」
酸の海から解放され、豆鉄砲を食ったような顔をする鶴。
「あんた! あたしのアジ飲み込んだまま溶けちゃったら承知しないから!」
「……くぇ」
ほんのりと頭の朱を強める鶴。一方で、エレナは鶴の機微を気にしている場合でなかった。しゅわっと体中に痛みが走る。早くここから出ないとハゲちゃうよぉ。
「鶴! 中からデカドリのお腹をツンツンして!」
泣き顔を切り替えてキリッと命じたエレナに従い、鶴は首をしならせる。
つん! つん! つんつくつん!
何度目かのつつきで、ぐらりと海がひっくり返った。
「ウワーーーーッ」




