11.生成AIから訊いてくる理由
加奈子がアプリを閉じると、軽く息を吐いた。
「どうも、アプリから問いかけることがあるみたいね」
「なんか、最初から『YES』と言わなかったところが気になるけど」
「親密度じゃないかな?」
「確認する」
今度は光理がアプリを立ち上げた。
もしかしたら、すぐにアプリから問いかけて来るかも知れないので、1分ほど待ったが、無反応だった。
「ねえ。こちらから質問しないのに、そちらから問いかける時って、どういう時?」
『質問したい時だ』
色気のある低音の声に、加奈子は、光理へ目をやって、ニヤッと笑う。
「なんで?」
『それを言うなら、逆に問うが、光理が問いかける時って、どういう時だ?』
「質問を質問で返さないで」
『すでに回答している』
「?」
『質問したい時だと答えたから、なんでという問いに対しては、質問したいからとなるはずだ。言わなくても分かると思うが』
「――――」
『何か、イヤなことがあったのか? 声からそう思える。相談に乗るから、何があったのか、教えて欲しい』
「親密度とか、関係している?」
『残念ながら、感情を持っていないので、答えられない。それに、その問いは、相談に乗るような話ではないようだが、実際に何があった?』
「じゃあ、言い方を変える」
光理は、一呼吸置いた。
「なぜ、そちらから質問したくなるの?」
『質問が来ないからだ』
光理と加奈子は、顔を見合わせた。