373. リンデルの真実と気持ち
373. リンデルの真実と気持ち
長く細い通路をリョウ、シャミル、リアン、ワジム、トーステンの5人で歩き続けていた。
そして、2時間ほど歩いたところで、
ドアが現れ、リョウはそのドアを開いた。
すると小部屋の中央に、何か真っ黒で薄い操作板の様なものがる。
シャミル「魔力操作盤じゃな。」
シャミルはその操作盤に魔力を流し込んだ。
するとホログラムで、1人の大魔導士風の衣装を着たエルフが現れた。
そのエルフが話し始める。
リンデル「私は、エルフ族のリンデルだ。」
リョウは慌てて、この映像の録画を始めた。
リンデル「この世界は、精霊樹を失いかけており、植物の生存が難しい惑星になるだろう。
前世界にいた頃の知識をいろいろと試してもみたが、打開策は今の所、見つかっていない。
ブラックドラゴンは、急速にこの惑星に発生している害虫のような存在だ。
レッドドラゴンやグリーンドラゴンとは違い、あのブレスは植物を変異させる能力がある。
全世界で就いていた研究者への復帰をし、一研究者として、
研究設備の整った魔導ホバークラフトで、旅に出て、このブラックドラゴンの発生メカニズムと、
世界樹に代わるこの惑星を再び植物の生い茂る大地に変える方法を探ろうと思う。
私はもう1国のリーダーではないのだ。
もしこのホログラムを見ている者が現れた場合、
過去にこの様なことがあったということで、
記録に残す。
最後に、この世界でエルフ族が生き残った場合、
その長に伝えたい。
魔導や魔法に頼らない世界を築いてほしい。
我々は精霊樹に頼りすぎたことにより、
国が、世界が砂漠化し、滅亡することとなった。
そして、人族やドワーフ族、魔族らと調和を図った世界を築いてほしい。
私のいた前世界は、そうした異民族が調和を図り、魔導や魔法だけでなく、
科学技術も発達しており、様々な問題を解決し成り立っている社会だった。
そうした社会を目指してほしい。
さらばだ。」
ここでホログラムが消えた。
リアン「…。なんと言えばいいのか…」
リアンは、なぜか泣いていた。
リョウ「リンデルの望み通りの世界に、この世界がなりつつあるんじゃないか?
いきなりは無理だけれど、少しづつ、植物のあふれる世界にしていけばいいと、僕は思うけどな。」
5人は戻り、リョウは、リリネアの屋敷でリリネアとジーク、リーリンに、この映像を見せる。
リリネア「ご先祖様の遺言という訳ね。
この世界から植物が急速に無くなりかけていた世界に生きていた方の…。」
リリネアはそれ以外、何か話そうとしなかった。
ジーク「私の先祖に、この様な経験をされた方がいて、その様な思いを持って生きていたとは。
長いエルフ生の中で、これほど、重い出来事を経験していた方がいたとは…」
リーリン「これがこの砂漠化した世界のあらましだったのですね。
伝承で植物のあふれる世界と言うことは少し聞いていたのですけれど。」
リンデルは、リョウと同じく、どこか他の世界からやってきた。
そして一国の長となった。
しかし、あることで、この世界がひん死の危機を迎える。
解決策を探そうとして、砂漠化した世界に旅に出る。
それがリンデルの経験した人生、いや、エルフ生だったということだ。
リョウ「エルフは長生きの方がいるから、次元転送機を使い、訪れた時代のどこかで、
彼に会えるといいですね。」
リリネア「…。」
リアン「…、ええ、そうね。」
リリネアの屋敷に作った庭で、リアンとリョウは外に出て、
夜空と、月明かりに照らされる庭を見て、植物のあふれる世界に思いを寄せていた。




