363. この世界に来た医師夫妻
363. この世界に来た医師夫妻
2週間後、リョウとトーステンは次元転送機に乗って、トーステンがこの世界に来た日付の東ドイツ、
国境の某町へ向かっていた。
ワジムとシャミルが、次元転送機を4人乗りから6人乗りへ改造するとの話から、
2週間後になってしまったわけだが。
その間、トーステンと心当たりの医師の話を聞くことができた。
トーステン曰く、東ドイツから西ドイツへ逃げようとした医師夫妻が、
彼が勤務していた検問所の留置場におり、
その者なら、間違いなくこちらの世界に来てくれるとのこと。
彼の指示により、リョウは次元転送機を操縦し、彼の勤務していた第3検問所の裏手の森に隠した。
トーステン「4時間位で戻る。」
トーステンはそう言うと、次元転送機を出ていった。
リョウは次元転送機の中で、待つことにした。
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トーステンが次元転送機を降りて、4時間ほど経過した。
そして、5時間、6時間、時間は経過するが、トーステンは帰ってこない。
辺りはすでに暗くなっている。
リョウが待ちかねて、次元転送機のドアを開けたところ、
遠くから車のライトの様な光が近づき、
ライトは遠くの方で停まった。
やがて、小さいライトが点灯し、
こちらへ向かってくる。
リョウは、トーステンが医師夫妻を連れてきたと理解した。
ライトが近づいてくると、トーステンと医師夫妻の他に、
もう一人、ふらつきながら追ってくるものがいた。
その追ってくるものは声にならないろれつのまわっていない声を出し、
逃げてくる3人を追っている様な状況だった。
トーステン「1人が意識を吹き返すのが早かった。その者を捕まえるぞ。」
リョウはこういう時の捕獲術と言う物を得ていなかったが、
トーステンがそのものを抑え込み、それでも暴れる腕をリョウは必死に抑えた。
その様子を見て、医師夫妻の夫?が、何か抑えつけた腕に注射する。
5分ほどして、その男は動かなくなった。
トーステンは、この男は部下のゲオルグと言い、
トーステンの脱走者輸送の様子がおかしいのでついてきたとのこと。
トーステンは、気絶した男の前で、医師夫妻を紹介する。
夫は医師でエバート、妻はマリアで看護婦をしており、
トーステンに西側にわたる輸送手段があると案内されたらしい。
トーステンの計らいで、捕まった時に保管されていた医療カバンも持ち合わせており、
先程、エバートはそのかばんに入っていた麻酔をゲオルグに注射したらしい。
リョウ「ゲオルグ、このまま放置、という訳ではないですよね。」
トーステン「仕方ないので一緒に来てもらう。」
リョウ「彼があちらの世界に行き、麻酔が覚めた後、暴れたらどうするんですか?」
トーステン「問題無い。私が説得する。」
まず、トーステンとリョウで、ゲオルグを運んだ後、
次元転送機に驚いていた医師夫妻を促し、
次元転送機に全員乗り込む。
そして次元転送機は、ミレバのある世界に戻っていった。
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次元転送機がリリネアの屋敷に戻ると、ワジムとリリネア、リアン、そして珍しくジークが待っていた。
次元転送機のドアを開け、リョウは外に出る。
リョウ「戻りました、医師夫妻を連れてきました。」
リョウはリリネアに一報を入れる。
リョウは医師夫妻に次元転送機を降りるよう促す。
エバートは、目の前にいる耳の長いリリネアを見て驚いた。
エバート「な?ここは?建物の中で、宇宙人ですか?」
リョウは、ここは地球とは別の世界で、医師が不足していて、ここで働いてほしいこと、
住居等の生活環境は支給すること、助手も付けること、
そして、この世界は人間だけではなく、エルフ族やドワーフ族、魔族等がいることを伝えた。
それでも、どうしてもこの世界で暮らすのが嫌な場合、アメリカに送迎する旨伝える。
エバートは、考えさせてほしいとだけ返事をした。
リョウはワジムに話をして、夫妻を用意した住居へ連れて行ってもらう様、お願いをした。
2人はワジムに案内され、次元転送機のある部屋を出ていった。
その後、トーステンは気絶したゲオルグを降ろすのを手伝う様、
リョウに声をかけたが、それを聞いたジークは、
私が手伝う、と言い、2人でゲオルグを転送機の外に出し、
近くのソファーに寝かせた。
トーステン「ジーク、この男を留置施設に連れていくぞ。
訳は後で話す。」
ジーク「なにがあったかわかりませんが…わかりました。」
ジークとトーステンは、一旦寝かせたゲオルグを2人がかりで運んでいった。
その後、リョウはあったことをリリネアとリアンに説明した。
リアン「麻酔を打って連れてくるなんて、結構、強引なことしたのね。」
リョウ「トーステン曰く、事故で、あの時代では日常茶飯事らしい。」




