339. シャミルの仮説
339. シャミルの仮説
リョウ「半分正解?じゃあどこから?」
シャミルはゆっくりと説明を始めた。
シャミル「過去からじゃよ。」
リョウ「過去?」
シャミルは少し考えるようなしぐさをして、
再び話し出した。
シャミル「この世界が以前は植物に囲まれたところだった、というのは、聞いたことはあるな?」
リョウ「ああ。」
シャミル「あのブラックドラゴンは、その時代からやって来たのじゃ。
この世界を砂漠化した生物は、実はあのブラックドラゴンだった、ということじゃな。」
その時、近くで黙って聞いていたザイラが部屋を退出していった。
リョウ「??」
リョウは、少し疑問に思ったことがあり、少し首を傾げてからシャミルに質問をした。
リョウ「シャミル、いくつか疑問がある。
この世界には、レッドドラゴンや、アースドラゴンなどいる中で、
なぜ、ブラックドラゴンが、砂漠化したのか、という点だ。
それと、過去から来たというのなら、だれがどうやって、
ブラックドラゴンを、今ここに連れてきたのかという疑問がある。」
シャミルは、珍しく切羽詰まって、質問するリョウをなだめてから、
シャミル「まずは、最初の答えじゃが、ブラックドラゴンの天敵が、森林に暮らしていた、
というのが正解じゃな。」
その時、ザイラに連れられて、リアンが部屋に入ってきた。
シャミル「森林に暮らしていた天敵と言うのは、エルフ族じゃな。
当時のエルフ族は、魔法を唱える魔素を森から得ていた。
そして、当時異常繁殖していたブラックドラゴンと戦っていたのじゃよ。
ブラックドラゴンは、そのことを把握し、森林を破壊していった。」
その時、リアンが、
リアン「ちょっと待って、どうしてシャミルがそのことを詳しく知っているのよ?」
シャミル「殆どの森林がドラゴンブレスで焼き尽くされ、
荒廃した森林の無くなった世界で、エルフ族が生き残ることを懸念した、
当時のエルフの族長ターレスが、精霊術を使って生み出した存在、
それが儂じゃ。」
リョウ「リアナが魔法時間から呼び出したと思っていたのだが。」
シャミル「元々儂は、この砂漠後に休眠していたのじゃ。
それをあの娘が、呼び出したのじゃ。」
リョウは釈然としなかった。
リアナが、なぜ、シャミルを呼び出せたのか。
後で聞いてみようと思った。
その様なリョウの様子を察したのか、リアンが、
リアン「サンドエルフ族には、元々いくつかの術式が、
伝わっていて、組み合わせて、精霊を呼び出すことができるのよ。
でも、植物の持つ魔素を使うので、
植物から得られる量の魔素によっても、
呼び出せる精霊が変わってしまうことがあるのよ。
リョウがこの世界に来てくれて、植物が増えていて、
その様な中、リアナが、召喚術を使って、
多くなった魔素を依り代にして、偶然?、シャミル様が呼び出された、
私はそう思うわ。」
近くで話を聞いていた、シャミルがうなずいている。
多分、リアンの推測が正しいのだろう。
リョウ「で、話を戻して、なぜブラックドラゴンが今の世界に来たのだが。」
シャミル「さっきリアンの話した、植物から生成される魔素の量。
最近急激に増えていて、その魔素にブラックドラゴンが呼び寄せられた、
としたらどうじゃ?」
リョウ「ブラックドラゴンって、賢いんですか?
しかも時代も自由に行き来できるんですか?」
シャミル「ブラックドラゴンの特異個体じゃな。
ブラックドラゴンが魔法を使え、人に変化できるとしたらどうじゃ?
あの塔の転送機を使って、植物魔素の再び多くなった世界へ、
送り込んだとしたらどうじゃ?」
リョウ「ブラックドラゴンが知力を得て、魔法を使えるようになって、
おまけに人型になれるって。良く仮説が立てられる。」
シャミル「おぬし、儂の仮説をバカにしておらぬか?
良いか、前例がある。
エルフの族長ターレスが、ブラックドラゴンと戦う前、
儂に話してくれたのじゃ。
エルフ族は、ブラックドラゴンと戦う前、幾度の大戦があり、
その都度、危機を乗り越えてきたのじゃと。
その大戦1つに、魔導士アイスドラゴンとの戦いがある。
アイスドラゴンがエルフ族に攻撃をしてきた時、
裏で指揮をしていたのが、リザードマンで、魔導士に進化した、
アイスドラゴンだった、という話を聞いたことがある。
そのことを考えると、あり得ぬ話ではないのじゃ。」
リアン「アイスドラゴン?」
シャミル「この世界が森林で覆っており、
砂漠化する以前の時代に、北方より、襲って来たドラゴンじゃ。」
シャミルが1つ咳をして、
シャミル「とにかくじゃ、あの転送機の塔を依り代にして、
過去から、この時代へ、そして、植物の多い街部へ出現させた、
ということは、あの塔の転送機を調べれば、仮説が証明できるわけじゃ。
リョウ、リアン、来るか?」
シャミルは、自分が立てた仮説が真実性が高いことを信じていて、
周りの者に「どうだ!」という表情をしていた。




