10 ……は察知する
これでまた一区切りです。
――……あれっ?
不意に懐かしい気配を感じて、ソレは目を覚ました。
何千年ぶりかの、同胞の気配。寝ているはずの、感じるはずのない気配。
――なにかあったのかなあ?
疑問を覚えて、起き上がる。
――大変なことでもあったのかな? でも、他のヒトたちは寝ているみたいだし。
感じたものは、一つだけ。しかも、よりにもよってコイツが、という厄介なものだ。
――困ったな。何があったんだろう。ボクも起きた方がいいかな?
思っても、答えてくれる相手はいない。同胞たちは、それぞれ別の場所で寝ている。ここには自分しかいない。
呼びかける方法はある。ただそれは、緊急時のみに使える最後の手段である。
世界の均衡が崩れ、崩壊を始めた時に、自分たちは起きるはずだった。崩壊を抑え、世界を守る。それ以外に、自分たちにやることはない。
自分たちは、強大な力を持っている。ゆえに、頻繁に起きるものではなく、力を使っていいものでもない。
だというのに、
――これって、漆黒の奴だよなあ。なんで起きてるんだろ?
寝ぼけて山の一つでも破壊したのだろうか。それにしては、はっきりとした力の流れを感じたが。
――今は小さくなってる? でも、さっきはしっかりと感じたし……。
さっき、というのが数日前なのか、数十年前なのかは判断できない。
まだ。自分も寝ぼけている。全ての感覚を取り戻すには、しばらくかかるだろう。
――……気になるなあ。
起きるべきか、寝ているべきか。六大属性龍の一角たる自分は、おいそれと動いていい存在ではない。
悩む。ただの思い過ごしだということもある。もしも勘違いで不用意に世界に干渉したら、同胞たちに怒られてしまう。
――でも、もしも漆黒の奴が何かやってたら、止めないといけないし。
それもまた、自分の使命だ。
ソレは、あーでもないこーでもないと、しばらく考えていた。
――他のヒトも気づいてるかなあ?
気づいていたら嬉しい。できれば、そのまま気配の原因まで調べてくれると助かる。
――ボクは怒られたくないもんねー。
怒る、と単語こそ軽いが、同胞たちに怒られようものなら数千、数万年単位で封印されてしまう。
元々寝ているだけの自分たちだが、好んで封印されようとは思わない。封印などされたら、悪夢を見そうだ。
――うーん、まあ、いっか。
結論が出た。放っておこう。
――誰かが気づいてたら、なんとかしてくれるよね。
他力本願なのを自覚しつつ、ソレはまた眠りについた。
黄金の鱗を闇の中でも輝かせながら、問題を忘れるように寝入った。
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