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嫌われ魔女と体が入れ替わったけれど、私は今日も元気に暮らしています!  作者: 江本マシメサ
第二部・三章 誰が犯人なのか?

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暗躍する男たち

 やってきたのは、ゾフィアとアルマ、エマ、ローザの四名。

 今回、ディディエも同席しているので、彼女らはもじもじと恥ずかしそうにしている。


「初めてお目にかかるお方もいらっしゃるでしょう」


 ディディエが丁寧に挨拶すると、皆、恐縮しきった様子でいた。

 リードは婚約者候補の件について、彼女らに謝罪する。


「たいそうな迷惑をかけていたようだ。本当にすまない」

「いいえ、悪いのは父です」

「閣下は悪くありません」

「父をしっかり責めますので」


 マリエッタはディディエにも事情を説明したという旨を打ち明ける。

 その上で、何かあったのかとマリエッタは訊ねた。


「探偵が調査結果を持ち帰ってきたの」


 さらにアルマとエマ、ローズも父親の情報を握ってきたという。


「一刻も早く知らせたほうがいいと思って、先触れもなく押しかけてしまったわ」

「いいの。それよりも、聞かせてくれる?」

「ええ」


 アンハルト侯爵は愛人の身柄が判明したらしい。

 魔導撮影機で撮ったものを、紙に印刷した写真と呼ばれる物が出される。

 アッシュブロンドの髪を持つ、勝ち気な雰囲気の美人だった。


「彼女はエリー・ロード。身を寄せる宿では、とある大貴族の愛人の娘だと言っていたようだけれど」


 アンハルト侯爵の娘であるアルマが、家から持ってきたという写真を出した。

 そこには美しい女性が写っていたのだが――。


「こ、これって!?」


 それは白黒のインクで印刷された、半世紀ほど前の魔導撮影機で撮った写真だという。

 驚くべきことに白黒写真の女性と、ゾフィアが雇った探偵が撮影した女性は、うり二つだったのだ。

 白黒写真のほうには直筆のサインが書かれていて、〝エリーザベス〟とあった。


「彼女、エリーザベス・ナイトロードは四十年ほど前に活躍した、人気の舞台女優みたいなの」


 エリーとエリーザベスはもしかしたら親戚関係にあるのかもしれない。

 なんてマリエッタは思ったものの、即座に否定された。


「エリーザベスは生涯独身で、若くして病で亡くなったそうなの」


 誰よりの美しさに執着していたようで、年を重ねて醜くなるよりは、死んだほうがマシだと話していたという。

 アンハルト侯爵はエリーザベスの大ファンだったようで、彼女のポートレートを隠し持っていたようだ。

 エリーザベスを慕うあまり、似たような女性を愛人として迎えたのだと思っていたのだが――。


「見て。ほくろの位置も、歯並びも、エリーとエリーザベスはまったく同じなのよ! これってありえることなの?」


 その疑問にマリエッタが答える。


「彼女が魔女だったら、ありえるわ」


 魔女術の中に若返りの魔法があるのだ。

 それを使えば、実年齢を隠していつまでも若い姿でいられる。


 問題はここからだという。


「魔法事業を進めるさいに、魔法を使えない人達から魔力を集めるという政策を採ろうとしていたのが、アンハルト侯爵だったみたい」


 その証拠がアンハルト侯爵の執務室から発見されたという。


「腕輪型の魔技巧品を嵌めて魔力を吸収するみたいなんだけれど」


 その魔技巧品を作ったのが、どうやらアンハルト侯爵の愛人であるエリー・ロードだという。


「これがその魔技巧品の腕輪みたい。アルマが持ってきてくれたのよ」


 テーブルに置かれた腕輪をマリエッタはじっと見つめる。

 すると、驚くべきことが明らかとなる。


「これ、腕輪自体に魔力を吸収するだけではなくて、第三者にも魔力がいくような呪文が刻まれているわ!」

「もしかして、魔技巧品の制作者であるエリー・ロードにも魔力がいくようになっているのかしら?」

「そうだと思う」


 若返りの魔法は大量の魔力が必要となる。

 エリー・ロードは大量の魔力を得るために、アンハルト侯爵の政策を利用しようとしていたようだ。


「アンハルト侯爵は政策を反対する、商工会を厄介に思っていたみたい。彼らは大口の取引先であるクリスタリザーシーの領主が黙っていない、なんて言っている商人もいたみたいで」


 王家と繋がりがあるディディエを敵に回したくないアンハルト侯爵は、商工会の存在をむげにできなかったようだ。


 話を聞き終えたディディエは、「なるほど」と呆れた様子で言った。


「私さえいなければ、計画が上手く進むと考え、犯行に及んだ可能性があると」


 今回の調査で、それが明らかとなったようだ。


「ただ、アンハルト侯爵の単独の犯行ではないようなの」


 ビュッセル伯爵やゴーン伯爵の家からも、それぞれ怪しいと思われる物が発見されたという。


「ビュッセル伯爵の書斎からは、毒の取引書が見つかったの」


 異国の商人とやりとりし、複数の毒を得ていたようだ。

 具体的な毒の名称はなかったものの、十分怪しい。


「ゴーン伯爵の隠し部屋からは、アンハルト侯爵から受け取ったとされる金貨が見つかったそうよ」


 騎士隊を動かすために、ゴーン伯爵がアンハルト侯爵から受け取った裏金である可能性が高いという。


 叩けば出てくる埃のように、さまざまな罪状が明らかになったようだ。

 

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