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嫌われ魔女と体が入れ替わったけれど、私は今日も元気に暮らしています!  作者: 江本マシメサ
第二部・三章 誰が犯人なのか?

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話し合い

 夜――リードとディディエが疲れた顔をして帰ってきた。

 国王陛下と共に暗殺未遂事件の取り調べに同席したようだが、王太子は何ひとつ口を割らなかったという。

 夕食は済ませてきたというので、マリエッタは薬草茶と昼間好評だった固形ジャムのチーズパイを出してみた。


「このお菓子に使っているのは、王都で購入したリンゴを使って作った固形ジャムなの。お茶会のときに、みんなおいしいって言ってくれたわ」

「そうだったのですね。いただきます」


 マリエッタお手製のお菓子を口にしたディディエは、険しい表情がやわらいだ。


「すごくおいしいです。なんだかホッとしました」

「よかったわ」


 気に入ったというので、薬草茶にも入れて飲んでみるように勧めた。

 リードもおいしいと言ってくれたので、作ったかいがあったなとマリエッタは思う。


「早くマリエッタを国王陛下に紹介して、クリスタリザーシーに戻りたいところなのですが」

「ええ……」


 このまま王太子だけを調べていても、きっと事件は解決しない。

 マリエッタは意を決し、これまでゾフィアと共に調べた情報をまとめたものを、ディディエとリードに見せることにした。


「あの、ディー様とリード様に見ていただきたいものがあって」

「マリエッタ、これは?」

「事件について、調べたものなの」


 目を通したディディエは目を見開く。


「これは――!」


 リードは紙を持つ手が震えていた。


「どうして事件現場となったランゲンブルグ公爵家に調査が入っていない!? 現場にいた者達にも取り調べをしていなかったなどありえん!」


 騎士隊が取り調べをしっかりしたのは、マリエッタやディディエ、リード、それから王太子の四人のみ。それ以外の人々は取り調べをしていない状態なのだ。


「てっきりしているものだと思っていました。その上で何も証拠が出てこなかったので、王太子殿下がもっとも怪しいと思われているものかと」

「ええ……」


 マリエッタもゾフィアと話さなければ知りうることができなあった情報である。


「よく、ランゲンブルグ公爵家でこれだけの情報収集ができましたね」

「その、実はこっそりゾフィアと一緒に、ランゲンブルグ公爵のお屋敷に行ってきたのよ」

「なっ――!?」

魔導昇降機エレベーターがゾフィアと一緒になったときがあったでしょう? あのとき、一緒にいた侍女がわたくしだったの」

「ああ、あのとき――! おかしいと思ったんですけれど、どうしてか見逃してしまったんです」


 ディディエがそう言った瞬間、メルヴ・トゥリーがやってきて、足にひしっとしがみつきながら謝罪した。


『ゴメンネエ、メルヴ・トゥリーガ、魔法デ、気ヲ逸ラシタノ』

「ああ、そういうわけでしたか」


 怒られると思って身構えるマリエッタとメルヴ・トゥリーだったが、ディディエはため息を吐くばかりで何も言わなかった。

 そういう反応をされるくらいだったら、がつんと怒られるほうがいい。

 マリエッタもディディエに縋って謝罪する。


「ディー様、ごめんなさい! もうしないわ!」

『ワーン! メルヴ・トゥリーモ、ヤラナイカラ!』


 ディディエに対し、静かに怒らないでほしいと懇願こんがんする。


「怒っているわけではありません。あなた方にこのような行動を取らせてしまったことを、反省していただけです」

「そ、そうだったの?」

『ナーンダ』


 だからと言って、よかったで済まされる問題ではない。

 マリエッタとメルヴ・トゥリーは二度としない、とディディエの前で反省の意を示した。

 これまで静かに話を聞いていたリードが、ここで物申す。


「ディディエ、お前の過保護が過ぎるから、マリエッタさんが言えずに行動に起こすことになるのだろう」

「そう、でしたね。私も反省します」

「いいえ、ディー様は悪くないわ! 悪いのはわたくしだけなのよ!」

『メルヴ・トゥリーモ!!』


 皆で謝罪し、反省しあうこととなった。


「それはそうと、お祖父様、私の婚約者候補はいったい何人いたのですか?」

「申し出だけ言えば、三百件以上はあった」

「えー!!」


 マリエッタは思わず驚きの声をあげてしまう。

 そのすべてに、リードは断りの手紙を送っていたらしい。


「誰を提示してもディディエが納得しなかったゆえ、私が結婚相手を決めるのは早い段階で諦めていた」


 リードはもしもディディエが結婚するとしたら、本人が決めた女性だろうと思っていたらしい。 


「ディディエが結婚を保留にしていることを、クリスタリザーシーの災害のせいになどした覚えなどなかったのだが」


 一人一人、思わせぶりなことを言わずにはっきり断っていたという。


「どうしてそんなことになっていたのか……」

「ゾフィアやアルマ嬢、エマ嬢、ローズ嬢の話をお聞きする限り、各々の父君が結婚相手を積極的に探していない間、ディー様の存在を言い訳のように使っていたように思います」

「そうだとしたら、許せるものではないだろう。まったく、これではこちら側が結婚詐欺を働いたようではないか……!」


 今にでも抗議をしにいこうという勢いのリードを、マリエッタとディディエで制止する。


「リード様、落ち着いて」

「そうです。今は相手方の動向を静観すべきときでしょう」


 抗議するとしたら、事件解決後である。


「今はゾフィアが個人的に雇っている探偵が、ランゲンブルグ公爵、アンハルト侯爵、ビュッセル伯爵、ゴーン伯爵の調査をしているみたい」


 調査結果が届くまでどうするべきか。

 マリエッタは勇気を振り絞り、やりたいことを口にした。


「ディディエ様、リード様、わたくし、王太子殿下からお話を聞きたいの」

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