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第三十一話 巨大獣ジャガジャガ 黒き牙が龍也を襲う! 3

「おい、トニー。そんなに急いでどこに行くんだ? もうすぐお前の好きな野球中継始まるぞ」

「すまない、ナガレ。今はそれどころじゃないんだ!」

「何か……訳アリってとこみたいだな」


 青木流はトニーの異変に気が付いたようだ。

 だが彼は不敵な笑いをするとトニーの肩に手を置いた。


「行ってきな、どうしても外せない用事なんだろう。その間はおれ達がごまかしておいてやるよ」

「ナガレ、すまないっ! 恩に着る」

「ふっ、コレは貸しだからな。姉さんとのデート、一回……邪魔すんなよ」

「ハハッ! 姉さんを変なとこ連れてくんじゃねーぞ!」


 どうやら流とトニーは本当に意志が通じ合ってるようだ。


 そしてタイタン部隊が集められ、夜の野球練習に行く風体でリゾートホテルの外に出た。

 彼等の目的地は横須賀、そう、三島長官の姿をしたアイツが監禁しているダバール星人の捕虜を救出する為だ。


 そしてトニー達タイタン部隊は巨大獣ボルゴガにどうにか九人で乗り込み(?)防衛軍横須賀基地に向かったようだ。


 まあ昆虫型スパイドローンは付けているが、今のとこ彼等に任せれば問題ないだろう。

 たまには俺も温泉旅行を楽しむか……。


 オレが風呂場に行くと、面白い光景が見られた。

 オイオイオイ、あの二人……何やってんだ?


 龍也が裸で腰にタオルを巻いたまま壁の向こうを覗こうとしていた。


 何というか昔のバカ主人公の行動の一つといえばそうなんだが、それを流にヤメとけと言われているようだな。


「龍也、悪い事は言わないから止めておけ」

「何だよ、お前も見たくないのか? あの声、向こう側にミザーリンさんもいるぞ」

「何だって!」


 向こう側の女湯ではミザーリンと千草が何かを話しているようだ。

 まあ他愛のないガールズトークなんだろうが、龍也はそれをダシに流を覗きの共犯にしてしまおうと考えているようだ。


 最初は否定していた流だったが、ミザーリンも向こうに居ると聞いてつい龍也の口車に乗ってしまったらしい。

 そんな二人の前に立ちはだかったのは、玄太郎とバルガル将軍だった。


「二人共、何を考えてるたい! オイが根性叩き直してやる!」

「男の風上にも置けん奴め、思い知らせてやるわ!」


 流と龍也は玄太郎とバルガル将軍にぶん投げられて温泉の中に放り込まれた。

 その時に出来た湯柱は女湯からも見えるほどの高さだった。


「バカモーン! 何をやっとるか! 風呂で暴れるなんてもってのほか! お前らそこに正座しろ! 全員根性叩き直してやる!」


 どうやら運悪く剣崎隊長が入ってきたタイミングだったらしく、覗きをしようとした龍也、流、そしてぶん投げた玄太郎とバルガル将軍、全員が剣崎隊長に説教される事になった。

 なんともシュールな光景だ。


 だが珍事はまだ続いた。


 俺が風呂を上がろうと脱衣所に来ると、そこには竹千代がいたが、その横には何故か少女の姿のアクラデスがいた。


「えええぇっ! キミ、女の子でしょ。何でココにいるんだよ??」

「われ、おとこなのだ。だからこっちにきたのだ」


 ――いや、アクラデスちゃん、キミ今立派な女の子だから……。


「ダメだよ! 女の子は女の子のお風呂に行かないと!!」

「でもここにこのせのたかさなら、はいれるってかいてるのだ」

「ダメー! ダメなものはダメ!」


 竹千代がどうにか上に服を着させた状態のまま更衣室から外に押し出そうとしていた。


「ちぇっ、つまらないのだ……」


 そしてアクラデスはどうにか女湯の方に入っていったが、マジで気の休まる暇が無いなこの旅行……。


 さて、風呂を上がったらタイタン部隊に付けておいた昆虫型スパイドローンで様子を見てみるとするか。


 俺は部屋に戻り、テレビ画面でタイタン部隊の様子を確認した。


「誰だ、今押したヤツ?」

「そんな事言ってもこのコクピットに九人は流石にキツいだろうて」

「じゃあオマエが外に出ろよ」


 どうやら巨大獣ボルゴガのコクピットの中はすし詰め状態になっていて九人全員でどうにか乗ったようだが全員が狭くて動けないようだ。


 これで本当に捕虜救出が出来るのだろうか……。

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