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男と女の首は、共に前浜に晒された。
海風のせいなのか、何度直しても女の首は知らぬ間に男の方を向いていたという。石を投げる者もいたが、やがて気味悪がって誰も近寄らなくなった。
異形を倒した少年がいたことは一部で噂になったが、あまりにも現実味がないせいか、眉唾話としてすぐに忘れ去られた。
ともかく鎌倉の脅威がひとつ減ったことに、人々は安堵した。
例えそれが一時のものであったとしても。
誰も口にこそしなかったが、不安の陰は、日を増すごとに確実に鎌倉を侵蝕していた。
(第一話 完)




