第174話 底辺テイマーはボルフ帝国軍人と話をする
ヴァレリー以外の敵を海の藻屑にした後、俺たちは村へと戻った。
村の長に状況を説明した。
「本当にあれを沈めたのか? 本当かマルビィ」
村長はマルビィに真偽を確認する。
それに対して、マルビィはただ頭を縦に振るだけだった。
敵の情報も取れずに船を沈めてしまったのは、俺たちの責任だ。マルビィが責められる筋合いはない。
俺はマルビィをかばうように村長に頭を下げた。
「すみません。こいつらの目的を確認する前に沈めてしまって……でも、この男ヴァレリーを捕まえてきたので、話を聞きましょう」
「いや、あんたが頭を下げる必要はない。あの船を沈めることができるとは思わなかっただけで……せいぜい、やつらを一時的に追っ払う程度だと……」
「一時的に追っ払っても意味がないだろう。奴らが二度とこの海に現れないようにしないと」
「まあ、それができれば文句はないが、どうするんだ?」
「こいつらはボルフ帝国海軍らしく、ブラックドラゴンを倒すために、軍隊を派遣しようとしてるんだ。その兵站のために、このあたりの獲物を取っていたんだ。そうだな」
俺たちがこの村に来た時に閉じ込められた檻の中に話しかけた。そこには拘束されたボルフ帝国軍人のヴァレリーが座っていた。
「殺せ! 栄えあるボルフ帝国軍人が捕虜になり、情報を漏らしたりはしない」
「まあ、無理に話す必要はないがな」
「……どういうことだ」
「俺たちはブラックドラゴンの味方じゃないと言うことだよ。俺たちは訳あってイエティの手伝いをしているが、どちらかと言えばブラックドラゴンは敵だ。しかし、あれは強大だ。簡単に倒せる相手じゃない。それはお前らもわかっているだろう」
俺の言葉に、ヴァレリーは静かにうなづいた。
「なら、なんであれを倒そうとするんだ? 多大な被害が出るだろうに……攻撃しなければ、奴は大人しくしているんだろう」
「それは……皇帝陛下の命だからだ。皇帝陛下はブラッグドラゴンを討伐し、その威光をもって国内を平定すると同時に、後ろの憂いを取り除く」
「どういうことだ? もっと詳しく教えてくれないか? なあ、村長、こいつをここから出してくれないか? このままだと話がしづらい」
ヴァレリーを信頼させるためにも、牢屋から出して話をする必要がある。
村長はそんな俺の意図を汲み取ってくれ、ヴァレリーは牢屋から解放された。
「それで、詳しい話を聞かせてくれ」
「ヴァレリー! 良かった」
マルビィは俺を突き飛ばして、ヴァレリーに駆け寄った。
次の瞬間、ヴァレリーはマルビィを後ろから羽交い絞めをしたのだった。
「全員、動くな!」




