8話 巨神起動
警告音が鳴り響く。
赤。
赤。
赤。
無数の警告表示が、
ユウの視界を埋め尽くしていた。
【敵性軌道兵器 接近】
【推定数:312】
【殲滅攻撃まで残り42秒】
「さ、三百ぉ!?」
ユウは思わず叫ぶ。
無理だ。
どう考えても。
だが《アーク・ゼロ》は静かだった。
『戦闘プランを構築』
『操縦者へ神経接続を開始』
その瞬間。
ズンッ――!
脳へ衝撃が走る。
「がっ……!?」
世界が変わった。
違う。
“感覚”が増えた。
風。
熱。
振動。
空気の流れ。
全部が分かる。
まるで、自分の身体が数百メートルに巨大化したみたいだった。
ユウは息を呑む。
これが。
機神。
『同期率、21%』
『最低戦闘ラインを突破』
『外部兵装ロック解除』
直後。
《アーク・ゼロ》の背中が展開した。
ゴゴゴゴゴ……!
巨大装甲が左右へ開き、
内部から無数の光が現れる。
砲門。
ミサイル。
浮遊ユニット。
まるで要塞だった。
「うおぉ……」
少年みたいな声が漏れる。
そのとき。
空が光った。
黒い軌道兵器群が、一斉に降下を始める。
流星みたいだった。
だが全部、“敵”。
エルの声が響く。
『ユウ、来る!』
次の瞬間。
《アーク・ゼロ》が勝手に動いた。
巨大な右腕が空へ向く。
『迎撃開始』
轟音。
背部砲門が一斉に火を吹く。
光の嵐。
無数の青白い閃光が空を貫く。
ドドドドドドドドドッ!!
軌道兵器が次々爆発する。
夜空に火花が散った。
「す、すげぇ……!」
だが。
敵は止まらない。
爆発を突っ切って降下してくる。
数が多すぎる。
【防衛ライン突破】
【近接戦闘へ移行】
その瞬間。
一体の黒い機兵が《アーク・ゼロ》へ激突した。
轟音。
巨大な衝撃。
ユウの身体まで吹き飛びそうになる。
「うわぁっ!?」
視界が揺れる。
次々に敵が取り付いてくる。
黒い群れ。
まるで蟻みたいだった。
《アーク・ゼロ》の装甲を削り始める。
火花。
警報。
赤いエラー表示。
【損傷率上昇】
【右腕出力低下】
「くそっ……!」
ユウは必死に操縦桿のような光へ手を伸ばした。
その瞬間。
感覚が繋がる。
《アーク・ゼロ》の腕が動く。
巨大な拳。
それを、ユウは振り抜いた。
ドゴォォォォン!!
空気が爆発する。
黒い機兵群がまとめて吹き飛んだ。
「……!」
ユウの目が見開かれる。
自分が。
殴った。
超巨大兵器で。
胸が熱くなる。
怖いのに。
興奮していた。
『同期率、31%へ上昇』
『操縦者適応を確認』
そのときだった。
突然。
全ての敵機が動きを止めた。
空中で静止する。
「……?」
不気味な沈黙。
次の瞬間。
空が、割れた。
ユウは息を呑む。
夜空へ巨大な亀裂が走っていた。
そこから現れたのは――。
“目”。
あまりにも巨大な赤い瞳。
月より大きい。
空そのものが意思を持ったみたいだった。
エルの声が震える。
『……管理者』
その瞬間。
世界中へ、声が響いた。
『第六文明圏において』
『旧人類反応を確認』
『――排除を開始します』




