11-38 永遠の恋人②
守護天使シーノは目を閉じ、“愛するお兄ちゃん”に抱かれていた。
そして、あの日のテラの神の洞での愛のひとときを想い出していた。
* * *
オマゾンに人魚姫セレシアを救出しに行くことが決まったあの日。
シーノはアイミとオリヴィアがレオお兄ちゃんとステキな愛の時間を過ごせるように、時間遅延スキルを発動してあげた。
大好きなお兄ちゃんのためなら、何でもするつもりの守護天使だった。
しかし…
シーノは口にも出さないし、そんなそぶりは親友のエマの前でも見せないが、一抹の寂しさのようなものを胸の中に感じていた。それが何なのかわからない‐というか、あえてそのことを考えないようにしていた。
数分後、服を着替えたレオは妹‐シーノ‐の部屋のドアをたたいていた。
コンコン!
“お兄ちゃんだ!”
エマと部屋でおしゃべりをしていたシーノは、守護天使の直下でレオだとえわかった。
シーノはピンクのパジャマを着ていて、エマはサテンの白いネグリジェだった。
エマとは歳が近いこともあって二人はいつもいっしょなのだ。
「お兄ちゃん、お帰りなさい!わざわざ部屋まで来なくても、念話で知らせてくれれば時間遅延スキルを解除したのに...」
ニコニコ顔でお兄ちゃんを迎えたシーノに、レオお兄ちゃんはいつもと違ったマジメな顔で言った。
「いや... シーノ、お前ダメじゃないか?」
「えっ、わたし、何を失敗しちゃったのかな?」
「お前、お兄ちゃんが好きなんだろう?」
突然の質問にシーノはおどろいたが、すぐに答えた。
「えっ... そりゃ、お兄ちゃん好きだし、尊敬しているよ!」
本当はお兄ちゃんが何を聞いているのかわかっていたのだが、わざとはぐらかしたのだ。
「あのな... オレは兄妹愛について語ろうとは思ってないんだよ。」
しかし、レオお兄ちゃんの目はいつもと違って真剣だった。
「.........」
エマが自分がいては邪魔になると考えたのだろう、隣の自分の部屋に続くドアを開けて部屋から出て行った。
「お前もわかっているんだろう、オレが聞いたことの意味を?」
“これはごまかせないわ...”
そう思ったシーノは観念して言った。
「知っています。わたしがお兄ちゃんを、一人の男性として愛しているかってことでしょ?」
「わかっているじゃないか...」
「.........」
「お前な... ほかのオレの奥さんや恋人たちに遠慮することなんかないんだぞ?」
「で、でも... わたしの役目は、お兄ちゃんとお兄ちゃんの愛する人たちを守ることだから...」
「それとこれは別だ!」
「別と言われても... ムギュッ!」
シーノに最後まで言わせずに、レオはシーノに口づけをした。
そしてぎゅーっとシーノの体を抱きしめてくれた。
(お、お兄ちゃん!)
チューをされ、きつく体を抱きしめられながら、シーノはつぶやいた。
(どうした?)
(う、うれしいです。お兄ちゃんが私のことを愛してくれているってわかって...)
(当たり前だろう? 自分の守護天使を愛さないヤツがどこの世界にいるってんだよ?)
(そ、それは私が守護天使だからということですか?)
(あはは。これはさっきのシーノの答えに対する冗談だよ)
そう念話で答えると、レオはシーノが気がつかないうちに瞬速でボタンを外していた、イチゴ模様のはいったピンクのパジャマの前から中に手を入れてブラをしていないシーノの胸にさわっていた。
(!... あっ。お兄ちゃん、速い!)
「ミィテラの世界では16歳で成人と認められる」―
シーノが初めてレオに愛されたときに、レオがそうエタナール様に言ったら、創造主はレオが良心の咎めなくシーノとできるようにと、当時14歳だったシーノを16歳に成長させてくれた。
その時、シーノのボディサイズも16歳に成長させたのだが、その後シーノは“お兄ちゃんは、私がプリプリのJCだったころが一番好きだったみたい...” と考えなおして14歳のプロポーションにもどしていた。
シーノは“腐っても鯛”ではないが、これでも創造主エタナールの能力の1京分の1の力をもっているので、身体を若返らせらり改造したりすることなど朝飯前なのだ。
そういうわけで、16歳になったときのサイズが 身長168センチ、バスト83-ウエスト54-ヒップ85だったのが、14歳だったときのサイズ、身長160センチ、80-55-80よりさらに慎ましいサイズ、身長151センチ、B-75 W-55 H-80のBカップにダウンサイズしてしまっていた?
それはそれで、じゅうぶんカワイイのだが…
(で、オレの愛しい妹ちゃんよ。オマエはどこに行きたい?)
守護天使はレオが念話で送るイメージを見ていた。
‐煌々と月光に照らされるトランコ国の『月光の浜辺』
‐青い透き通るような湖の底に古代遺跡が眠る『タゥルン湖畔』
‐滝の瀑布が朝日のため七色の虹で彩られる『アズマ山麓の秘湯』
(お兄ちゃん、私が行きたいのは...)
あえぎ声まで念話で伝えながら、シーノが希望したのは…
『神の洞』だった。
「えっ...?」
守護天使の意外なリクエストにおどろいて、思わずチューをやめ、ヌメヌメと光るシーノのかわいい唇を見た。
「神の洞って、あのフィッシュベイ村の岬の洞窟?」
「ほかに神の洞って知らないんですけど?」
「テラまで行かなきゃならないぜ?」
「わたしには簡単なことですよ、お兄ちゃん!」
それはそうだ。
テラの地下聖堂からミィテラの世界に来れたのもシーノのおかげだし、彼女にとってはテラへもどることなど朝めし前なのだ。
「時間的には、あちらの世界の時間が流れる速度はこちらの3倍とか遅く流れているから問題ないとして...」
「時間遅延スキルも続いているし、問題はないわ!」
「でも、どうして神の洞なんだい?」
「エタナール様のお創りになられた、“愛の褥”で、お兄ちゃんと幸せな時間をすごしたいの...」
「お、おう!いいぜ!」
その時、となりの部屋に続くドアがバタンと開かれ、エマが飛び込んできた。
「!」
レオはおどろいたが、エマの顔を見るよりも彼女が着ている黒の刺繍がほどこされたスケスケのベビードルの大きく開いた胸元からのぞく大きなメロン、もとい、サイズ88センチのおっぱいにレオの目が釘付けされた。
そして下に履いている黒い逆三角形の小さな‐同じように刺繍がはいった‐紐パンティを見た。
「私も連れて行ってほしいです、おにいちゃん!」
哀願する茶髪のロングヘアの美少女。
シーノと違って、レオの従妹のエマはエナタールさまに16歳の体にしてもらったままだ。
もともと母親似のプロポーションバツグンの娘なのだが、16歳になってからは、身長170センチ、B-88 W-56 H-89という、レオの奥さんたち&恋人たちの中でもかなりトップレベルのプロポーションの持ち主になっていた。
シーノもエマも、エタナールさまに体を2歳成長してもらった時、実年齢は14歳だったから、今は二十歳の立派な大人だ。実際の実年齢は18歳なのだが。
「エマちゃん、ナニ、その恰好は?」
先ほど、シーノの部屋にいたときは白いパジャマ姿だったのに、今は二十歳の色気がプンプン香るようなベビードールを着ている親友にシーノが、汗たら~みたいな感じで聞く。
まあ、聞かなくてもエマの魂胆は見え見えなのだが。
「私もレオおにいちゃんに愛してもらいたいの!」
エマは要望をそのままズバリと言う。
シーノはレオの顔を見てうなずいた。
「よし、エマもおいで!」
「わーい、うれしーい!」
エマはレオに飛びついて思いっきり抱きついた。
大きなメロンがレオの胸に押しつけらる。
“ムホホホ…”
レオは当然大よろこびだ。
「よし、じゃあ聖堂に行くか!」
シーノの手を右手に、エマの手を左手ににぎってレオが言う。
次の瞬間、三人はエルフ国の首都アルフヘイム郊外にある聖堂にいた。
レオたちはテラへの通路がある聖堂の祭壇の前にいた。
いつも通り、スケさんの瞬間転移での移動だ。
祭壇は全てが白い大理石作りだ。
祭壇の幅は20メートルほどで、両脇には四角い支柱が上に伸びていて天井の梁を支えている。
支柱も梁も全て見事な彫り物の装飾がほどこされていた。
ところどころに金の装飾も入っており、荘厳さを感じさせる。
その奥の壁にあたるところには、円の中にさまざまな記号が複雑に入り組んだ模様が描かれたものが一面に描かれてある。
そして円の中央には表面がピカピカに磨かれた、長方形の黒曜石のような大きく平たい石-サイズは横4メートルほど、縦2メートル半ほど-がはめ込まれており、その平たい黒い石にも何やら複雑な模様や記号らしいものが描かれていた。
これがテラの世界とミィテラの世界を行き来できる魔法陣なのだ。
白い大理石の階段を十段あがり魔法陣の前に来ると、シーノが魔力を使って三人を金色の光の輪で包む。同時にゲートを開く呪文を唱えていたらしく
「ジ…ジジジ…ジジジジ…」
聖堂内の空気が震えるような音がしたと思ったら、魔法陣が描かれてある黒い石が “ブンっ" とうなって、まるで巨大なスクリーンに投影されたようにテラ側の地下聖堂の景色が現れた。
地下通路を通って地上に出ると夜だった。
空にはまるで降って来るように星がきらめいている。
“ホっ、夜でよかったよ... パジャマとスケスケのベビードールを着ている若い娘を二人連れているのを見られたら怪しまれてしまう”
シーノとエマは神の洞に行ってレオとデートをしたいと言ったが、どうやってフィシュベイの村まで行ったらいいのかわからずに途方にくれているようだ。
「フェルナドさんにお願いして、馬車を貸してもらおうかしら、お兄ちゃん?」
寒いので自分の身体を両腕で抱きしめながらシーノが聞く。
シースルーのベビードールを着ているエマの方はブルブルとふるえている。
エマに上着か何かを貸してあげたいが、ミィテラは真夏の8月なのでレオもシルクのシャツしか着てない。
(レオさん、そろそろ神の洞に行きますか?)
(お願いします、スケさん)
一瞬のち、三人は岬の洞の入り口にいた。
「瞬間転移?... スケさん?」
シーノがおどろいて聞く。
(はい。ヴァースキです。シーノさん)
(どうもありがとうございます。助かりました!)
(どういたしまして!)
「ここが神の洞?」
「そうよ、エマちゃん。わたしも入ったことないけど」
神の洞には、“神さまに選ばれた者だけ”しか入れないと地元では言われている。
ほかの誰かが入ろうとしても、洞窟が見つからないのだそうだ。
しかし、シーノはレオといっしょなら‐恋人なら‐入れるということを知っている。
それに母親のサラもはいれるようで、時々、祠にはいって掃除をしたり、後片付けをしたりしてくれているようだ。
守護天使は、今日から正式に“お兄ちゃんの恋人”になろうと決めていた。
それはエマも同じだった。エマもフィッシュベイの村で最初にレオを見たときから、レオを従兄ではなく“異性”として見ていた。
イザベルが妊娠し、大事をとって戦いに参加するのをしばらく休むことになったとき、レオたちは、イザベルの代わりにガンデーヴァの弓を使える者を探しにテラに来て、エマにその能力があるのを見つけた。
その時にエマの父親であるアキレウス国王‐レオの叔父‐とマーゴット王妃は、エマがミィテラの世界レオたちといっしょに冒険に行くことを了承した。
旅立つ前にアキレウス王とマーゴット王妃はエマを呼んで話した。
エマをミィテラの世界に行かせるということは、エマを嫁に出すのと同じ気持ちだと。
アキレウス国王も、兄であったエリオン前国王の息子レオンが、美少女たちを魅了して恋人にしてしまう不思議な魅力をもつ甥だと知って、今はまだ15歳のエマも、あと1、2年もしたらマーゴット似の美女になるのは確実なので、必ずや甥のレオンとどうにかなってしまう可能性大だと考えていた。
アキレウスもマーゴットも、エマがレオンを“恋する乙女”の目で見ているのに気づいていたのだ。




