11-32 水晶宮譚④
気がついた時、セレシア姫とナラジャーとイマジャーは、幌もなにもない荷馬車に乗せられていました。
手と尾びれをロープで長い丸太に綱でがんじがらめに縛られ、その上から網をかけられているので、まったく身動き出来ません。
オマゾンの日中の気温は40度にもなります。
セレシアたちは、川から出て何時間経つのかわかりませんでしたが、体の表面が乾ききっているのを感じていました。
直射日光が、ジリジリと皮膚を焦がすようです。
あまりの暑さに気が朦朧となりかけます。
「ピュ ピュ ピュ―――――ッ!■■■■■(セレシアさまに水をかけてあげて)!」
「ピュ ピピュ ピュピュ―――――ッ!■■■■■(このままじゃ、セレシアさまが死んじゃうわ)!」
ナラジャーとイマジャーが一生懸命に、荷馬車を水牛に引かせているパタチョン族の奴隷に言いますが、当然、パタチョン族は人魚語などまったくわかりません。
「なんかうるさく叫んでいるな!」
「ほっとけ、ほっとけ!魔軍の大酋長に届けろと言われたんだ」
「そうだな。生きたまま届けろとか言われてないからな!」
「どうせ、あとであの忌々しいカインガー族の酋長が食うんだろ?」
「そうだ。死んでしまっても一日以内なら、まだ“新鮮な人魚の肉”ということで通せる!」
「そうだ。誰も文句は言うまい」
何時間、ガタゴトと荷馬車で揺られたかわかりません。
脱水症状になり、朦朧とした中で、セレシアたちはある大きな茅葺の家の中に運びこまれたのがわかりました。
あのまま、あと1時間ほど直射日光に当たっていたら、きっと死んでしまっていたでしょう。
大きな家の中には、シッポのない人族が数人いました。
その中の一人、深い青色の髪を持つシッポのない人族の女は、セレシアたちが担がれて入って来た時、群青色の目を見開いて驚いていました。
何やら、シッポのない人族の一番エライ大酋長と言い争っているようです。
「ボリゾディス、なに、この娘たちは?」
「なにって、ごらんの通り人魚だよ」
「人魚って初めて見るんだけど、こんなものを司令部に連れて来てどうするの?」
「人魚の肉を食べると長生きするんだって!」
「あなた、まさかこのかわいい人魚たちを...」
「まさか!食べるのはツピナンバ大酋長さまだよ。俺は三日間借りただけ!」
セレシアは、朦朧としながらも、シッポのない人族たちがしゃべっていることが理解できました。
この者たちに切り刻まれて食べられるのではないとわかって気を失ってしまいました。
次に気がついた時は、せまい水槽の中でした。
ようやく水に浸かれて脱水症状で死ぬ危機は免れることができました。
手と尾びれを縛っていたロープは解かれ、胸を覆っていた布もとられ、人族の女たちが一生懸命にセレシアたちを洗ってくれていました。
イリリ川で捕らえられたあとで、吹矢の麻酔が効いたままの状態で運ばれたので、体中に泥や落ち葉などがついていたのです。
シッポのない女の人族の中で、もっともエラそうな人族の女も懸命にセレシアを洗ってくれています。なんだか、しきりにセレシアの胸を見ながら、洗ってくれています。
セレシアが頭につけていた人魚姫の印である金と宝石で飾られたリングも外され、水色の長い髪もていねいにシャンプーで洗ってくれています。
もっともエラそうな人族の女が、しきりにセレシアの胸をもみながら洗ってくれます。
「ああ...」
まだ朦朧としていますが、水の中に入れられ少し生き返った気がしていたところに、胸をもまれたので気持ちよくなって思わず声が漏れました。
「人魚でも、やはり交尾はするんでしょうね?」
「人魚も動物だから、孳尾むのするでしょうけど... 人魚って腰はあるけど、どうやってやるのかしらね...」
「参謀、これじゃないですか?」
もっともエラそうな人族の女といっしょに、セレシアを洗っていたシッポのない女人族が、セレシアのオヘソの20センチほど下にあるスリットを見つけました。
「えっ...? それがそうなの?」
「と、思いますけど」
そう言うと、シッポのない女人族は、セレシアのスリットを両手でそっと開きました。
なんだか人魚族の体にかなり興味があるようです。
「この人魚、まだヴァー〇ンみたいですよ、参謀」
「えっ、よくわかるわね?」
「だって、これを見てください。これは処〇膜でしょう?」
「えーっ、ショ〇ョマク?!」
もっともエラそうな人族の女が素っ頓狂な声を出したので、周りの人族の女たちがおどろいています。そして同じように、ナラジャーとイマジャーの体のあちこちをさわったり、いじったりしはじめました。
「あぁん... ピュ――…」
「ふぅん... ピュゥ――…」
ナラジャーとイマジャーが、やはり気持ちがいいのか、無意識で声を出しはじめました。
「あら、気持ちがいいみたいですわ、参謀!」
「え? 人魚って、私たちみたいに感じるのかしら?」
シッポのない女人族たちは、競って人魚たちをさわりはじめました。
ナラジャーとイマジャーが、ほぼ同時に目を開けました。
「■■■■■!■■■!ピュ―――――!」
「■■■■!■■■■■!ピュ―――――!」
おどろいて、叫び声をあげます。
その音で気がついたのか、セレシアもうつくしい紺色の目をパッチリと開けました。
「!... ■■■■■■■!ピュ―――――!」
胸が露わになっているのに気づいて、あわてて両手で隠すと叫び声をあげました。
そしてバスタブの中でちぢこまってしまいました。
「だいじょうぶよ。私たちはあなたたちに危害を加えるつもりはないわ!」
「そう。泥だらけでよごれていたから洗ってあげただけよ!」
シッポのない女人族たちが、一生懸命に危害を加えるつもりはないと言っています。
ですけど、セレシアは恥ずかしさで真っ赤になっていました。
「あら、この子は私たちの言っていることを理解しているみたい...」
「この子たち、予想以上に知恵がありそう...」
そして、しばらく経ったころ―
シッポのない人族の一番エライ大酋長が、ふたたび姿を現しました。
一番エライ大酋長がバスルームに入って来ると、セレシアはあわてて胸を見られないようにかくし、警戒の目で彼を見ました。
一番エライ大酋長の後ろには、先ほどのエラそうな人族の女とシッポのない若い女人族たちが何人かいます。
「この人魚を一匹ずつ、俺の部屋へ運んでくれ」
一番エライ大酋長は、セレシアたちに何をするつもりなのか、シッポのない女人族に命令しました。
「どの人魚を先に連れて行きますか?」
シッポのない女人族が聞きます。
「そうだな... 緑色の髪と黄緑色の髪の人魚の方が、出るところは出ているから...」
一番エライ大酋長は、豊かな胸と張った腰をもつ二匹をスケベそうな目で見ました。
ナラジャーとイマジャーは、一番エライ大酋長の気を引くかのように、豊満な胸を抱えたり、腰を自分でなでたりしてなまめかしいしぐさをします。
「ほう... 俺を誘っているのか?」
一番エライ大酋長がニヤリと笑いました。
「■■■■!ピュッ ピュ―――――!」
すると、突然、セレシアが、ひと際鋭い音で叫びました。
「なんだ、おまえはヤキモチを焼いているのか?」
一番エライ大酋長は、ナラジャーとイマジャーを最初に彼の部屋へ運ばせようとしたのですが、セレシアが叫ぶのを聞いて気が変わりました。
「では、おまえから先に可愛がってやるとするか。この水色の髪の人魚を連れて行け!」
「「「「「「はいっ!」」」」
シッポのない女人族たちが返事をします。
「ピュ ピュ―――!■■■■■(私を連れて行って)!!」
「ピュ ピュピュ ――!■■■■■(私を先にモテ遊んで)!」
ナラジャーとイマジャーが、そうさせまいと目の色を変えてうるさいくらいに叫びはじめましたが、運命は決まってしまったようで、バタバタと抗うセレシア姫は4人シッポのない女人族たちに抑え込まれ、ふたたびロープで後ろ手に括られ、担がれて連れ出されました。
「ピュ ピュ―――!■■■■■(セレシアさま――)!!」
「ピュ ピピュ――!■■■■■(セレシア姫さま――)!」
ナラジャーとイマジャーが、絶望的に叫んでいます。
セレシアは、力いっぱい尾びれをバタバタしたので、下半身を抱えていたシッポのない女人族たちが投げ飛ばされました。
「クソ!誰か軍医を呼んで来い。麻酔薬を打たせよう!」
「ピュ ピュ―――――――!!!」
床に落ち、絶望的な悲鳴のような叫び声をあげるセレシア。
ド―――ン……
近くでカミナリが落ちたような音がしました。
ビリビリビリ……
衝撃音で床が震えます。
「な、なんだ!」
「カミナリ? こんな晴れた日に?」
「すぐ近くに落ちたわ!」
シッポのない人族たちが窓に駆け寄ります。
先ほどまで晴れ渡っていた空は真っ黒な雲で覆われていました。
外が何だか騒がしくなっています。
「!」
「監視塔が!」
「監視塔に落雷したの?」
窓の外を見ていたシッポのない人族たちが騒いでいます。
窓から黒い煙が見えます。
一体、何が起こったのでしょう?
「ムッ!敵の魔術師だ!」
「いつ、どこから来たのかしら?」
「おそらく、姿を隠す魔法を使っていたのだろう!」
一番エライ大酋長とエラそうな人族の女が、空の方を指さして何か言っています。
バリバリバリッ!
ドドドドド――――――ン!
また耳をつんざくような音がしました。
窓から見ていたシッポのない人族たちが、唖然としています。
「無駄な抵抗はしないでください。私の名前はアイミ。ここにいるあなたたち魔軍将兵を一人も残らずに倒すことができる力をもつ魔術師です!」
少し離れたところから、そんな声が聴こえて来ました。
バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!
窓の外に目が眩むような青白いカミナリが、数えきれないくらい見えました!
しばらくしてから、すさまじい落雷音が響いて来ました。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド――――――ン!
サンダーストリーム
一番エライ大酋長たちは口も利けないほど驚いて茫然と見ています。
「それに、あなたたちの潜水艦艦隊は、今ごろ全滅させれれているはずよ。無条件降伏をお勧めするわ!」
また、あの声が聴こえます。
ズズ――――ン……
ズズズズズ――――――ン……
ズズズズズズズ――――――ン……
そして、腹に響くような音が立て続けに聞こえて来ました。
無数の黒煙が遠くで上がりはじめたのが窓から見えます。
「!」
「!!」
「‼」
一番エライ大酋長たちが、とても驚いています。
それから、少しして―
(やあ、オレはレオ! ちょっと遅くなったけど助けに来たよ!)
そう言って、新たなシッポのない人族たちが入って来ました。
茶色っぽい黒髪と茶色の目を持つ若い人族の男と、人族の女戦士たちでした。
彼らは“悪人の目”はしていませんでした。
“この人族が、私が救いを求めた方なのかも知れない”とセレシアはホッと安心しました。
「ピュ ピュッ!■■■(ああ!ようやく来てくれたんですね)!」
しかし、ナラジャーとイマジャーは、せっかく助けに来てくれた人族たちを見て口をとがらせて文句を言いました。
「ピュ ピュ――ッ!■■■■■(来るの遅いわよ――)!」
「ピュ ピュ――ッ!■■■■■■(もう少しでお姫さまが、そこの悪人に凌辱されるところだったのよ!」
「ピュピュッ ピュピュピュ――ッ!■■■■■(そうよ!せっかく、私たちがお姫さまを守るために)...」
「ピュッ ピュピュ――ッ!■■■■■(シナを作って、悪人を誘惑したのに!)」
可哀想に、せっかくセレシアたちを助けに来てくれた人族たちは、ナラジャーとイマジャーのすごいおどろいます。
「いやあ、スマン、スマン。魔軍の大軍の真っただ中に来るんだから、用意周到に作戦を練らなければならなかったんだ」
「ピュ ピュッ ピュ――ッ!■■■■■(二人とも、もういいわ。せっかく助けていただいたのに...)」
セレシアの言葉で、ようやく二人は静まりましたが、まだ口の中でブツブツ言っていました。
救い出されたセレシアたちは、どこかわからないところへ連れて行かれました。
でも、今度はロープで縛られず、濡れた毛布をかぶせてもらって― 朦朧とした意識のままでしたが、何だかとても立派な高い建物があるところに連れて行かれたのです。
そこに人工池らしいものがあり、水温も暖かくて気持ちよく、そこに入れてくれました。
でも、セレシアたちは憔悴しきっていました。
脱水症状はかなり深刻で、このままでは食べ物を食べる元気もありませんし、何より、セレシアはあのシッポのない悪い人族の一番エライ大酋長に、人魚姫にとってもっとも大事な純潔を奪われ、そのあとでカインガー族の酋長に食べられるところだったのですから、その精神的ショックは大へん大きなものでした。
セレシアたちは人工池の底で身動きもせずに、おたがいに抱き合ってグッタリとしていました。
人工池の上では、助けてくれた人族の女たちと人族の子どもが、人工池の中を見ています。
彼らは、セレシアたちがまったく動かないので心配しているようです。
しばらくするとドポン!と白い髪で青い目の女の子が、人工池に潜って来ました。
水玉模様の布を体につけています。水色の布を腰に巻いた男の子と、赤い布をつけた小さな女の子も潜って来ました。
白い髪で青い目の女の子は、セレシアたちのところまで潜ると、プクプクと空気の泡を出しながら、セレシアの上に手をかざして何かをはじめました。
何だかその青い目の女の子の手がぼーっと水中で白く光っています。
もう二人の子どもは、セレシアの体を一生懸命にさすっています。
セレシアは、青い目の女の子の手から白い光みたいなのが自分に当たりはじめると、不思議なことに、何だか体が温まって来て、急速に元気が出て来ました。
尾びれを動かす力も出て来ました。尾びれを動かしてみると、ちゃんと動きました。
青い目の女の子は、次にナラジャーとイマジャーに白い光を当てはじめました。
二人の子どもは、今度はナラジャーとイマジャーの体をさすっています。
ナラジャーとイマジャーも元気になったようでパッチリと目を開け、尾びれをふっています。
二人人の子どもは、息をするために人工池の水面に上がりました。
最後まで残った青い目の女の子は、セレシアとナラジャーとイマジャーの髪を手でやさしくなで、彼女たちが目を開けて動き出したのを見ると、その子も水面に上がって行きました。
セレシアは、人工池の底から水色に浮かびあがりました。
あとにナラジャーとイマジャーも続きます。彼女たちもすっかり元気を回復したようです。
でも、セレシアは胸が丸出しなので両手でかくしています。
ナラジャーとイマジャーは平気なようで、立派なおっぱいを堂々と見せています。
セレシアはお姫さまですし、未婚の人魚なのです。節度のある行動をとらなければ、嫁入り前の人魚の評判が下がってしまうのです。
セレシアは、人工池のへりで彼女たちを見ている人族の若い男と女たちを見て、それから人工池のへりにつかまって浮かんでいる青い目の女の子とすでに人工池から上がっている二人の子どもを見て、お礼を言いました。
(私たちに元気をくれて、ありがとうございます)
しかし―
「すごい... この娘たちのおっぱい、オリヴィアちゃん並ね?」
「ちょ、ちょっと... ランさん、なぜ、私のおっぱいと比較するのですか?」
「いやあ、私たちの間では、オリヴィアちゃんのおっぱいが比較の基準になっているのよ」
「えっ、き、基準?」
「そう。オリヴィアちゃんのおっぱい以上か以下かってね!」
「わ、私のおっぱい以上とか以下だなんて...」
「まあ、オリヴィアちゃん以上は、これまではイザベルだけだったんだけど... 」
「この娘たち、オリヴィアちゃん以上かもよ?」
何やら、セレシアたちを救ってくれた人族の女たちは、しきりにセシリアとナラジャーとイマジャーのおっぱいの話をしているようなのです?
(あの... いろいろと胸のお話をしておられるようですが... 私の名前はセレシア。人魚族の姫です。このたびは、助けていただいてありがとうございます)
自分のおっぱいが、人工池のへりから見ている人族の女の中でも、かなり立派なおっぱいを持っていると思われる、とても美しい紫の瞳をもった女のと比べられていると知って、セレシアは、それはもう恥ずかしくて... しっかりとおっぱいを両手で隠しながら、お礼を言いました。
ナラジャーとイマジャーもお礼を言いました。
「えーっ、この三匹... いや、三人の人魚さん、人魚族の王侯貴族の娘さん?」
黒い髪の人族の女が尻もちをつきそうになって驚いています。
もう一人のシッポのある人族の女が支えなければ尻もちをついていたでしょう。
セレシアたちに元気をくれた子どもたちは、アイとミオとミアと言うの名前だとわかりました。
(この女の子... アイちゃん、そしてミオ君とミアちゃん、回復してくれてありがとう!)
(このアイちゃんって、すごい能力もっているのね?)
(網で閉じこめられて身動きが出来ずに、体の水分がどんどん失われて、あのままでは死んでいたのよ)
セレシアたちは、アイたちにお礼を言いました。
(あの黒いケダモノは、私たちとアレをしようとして...)
(私と姉は、もう既婚者だからアレをされても、どうってことはなかったのですけど...)
(どうってことないことないでしょ、イマジャー! 私はダンナさまがいるのよ?)
(あら、私のダンナもまだ生きているわ。だけど... セレシア姫はまだヴァージンだから...)
(ちょ、ちょっと、イマジャーもナラジャーも、そ、そんなことを殿方に言わないで!)
子どもたちへのお礼から、話がセレシアの純潔の話になってしまったので― それも自分を助けてくれた人族のカッコイイ男― レオ王さまの前で― セレシアは恥ずかしくてさらに真っ赤になってしまいました。
そして、何と言うことか、ナラジャーとイマジャーはとんでもないことまで明かしたのです!
(あら、いいじゃない。ほら、ひょっとすると、この殿様がセレシアの...)
(そう、ブージアお婆ちゃんの言っていた...)
(二人ともやめて―――っ!)
セレシアは真っ赤になりながらも、あわてて二人の言葉をさえぎろうとしましたが、イマジャーもナラジャーもスルリとうまく逃げて念話でそろって爆弾発言をしたのです!?
((人族のムコさんじゃないの―――?))
(キャ――――っ!)
かわいそうに、人魚姫さまはあまりの恥ずかしさに、とても水面に浮いていられずに、耳をふさいでプールの底に潜ってしまいました。
セレシアは、人工池の底で、しばらく気が静まるのを待ちました。
恥ずかしさもおさまり、そしていつまでもプールの底にいては人魚姫としての品格が疑われますので、しぶしぶながらセレシアは水面にもどりました。
イマジャーとナラジャーは、興味津々とセレシアとレオたちの会話の成り行きを見ています。
セレシアは、二人をちょっと睨みましたが、本当に怒っているわけではありません。
(セレシア姫にイマジャーさんにナラジャーさん、はじめまして。オレが勇者王国のレオ王だよ)
(はじめまして。私はラン。レオの妻です)
(みなさん、はじめまして。レオさまの妻のオリヴィアです)
(あ、私はミユよ。私もレオさまの奥さんでーす!)
あらためて、人族たちが自己紹介します。
どこからかわかりませんが、先ほどいたシッポのあるかわいい人族の女の念話も聴こえました。
(えっ、レオ王さま、奥さまが4人もいらっしゃるんですか?)
セレシアはレオ王が4人奥さんがいると知って驚きます。
でも、人魚族の中にも4、5人奥さんを持つ者がいるますから、数人の奥さんがいても別段めずらしいことではないのですが。
ところが―
(セレシアさん、おどろかないでよ...)
ランと言う名前の美しい人族の女は、とんでもないことを教えてくれました。
(レオには20人以上の奥さんと恋人がいるのよ!)
(えええ―――――――???)
セレシアはビックリ仰天しました。
驚きのあまり、それまでおっぱいを隠していた両手で頬をおさえてしまいました。
もちろん、セレシアの立派なおっぱいが白日の下に露わになりました。
レオ王は、ひざをついてセレシアと話をしていましたが、チャンスを逃さずに、しっかりとセレシアの見事なおっぱいを鑑賞しました。
「セレシア姫さま、お救いできて光栄です。すっかり元気になるまで、ゆっくりとここで回復してください。」
レオ王は、セレシアの美しい紺色の瞳をのぞきこみながら言いました。
「あ......... は、はい。あ、ありが ありがとうございます...」
セレシアは呆然となって、頬を染めてつかえつかえ答えました。
自分のおっぱいがレオ王に丸見えだということにも気がついていません。
だって、それどころではないでしょう?
自分を救ってくれた人族のカッコイイ男-レオ王こそが、占い師のブージアお婆さんの言っていた、“セレシアの婿さんになる人族の男”なのかも知れないのですから。
ドキドキする胸の高鳴りをレオ王さまに聴こえないか心配しながら、セレシアは真っ赤になりながらも勇気を出して訊きました。
(あの... レオ王さま...)
(レオでいいよ。オレも君をセレシアって呼ぶから!)
レオ王さまは、優しくセレシアを見つめ、“王と呼ぶ必要はない”とおっしゃいました。
(は、はい。では、レオさま、先ほどランさまがおっしゃった、二十数人の妻と恋人がいるというお話は本当ですか?)
(えーっとね... イザベル、アイミ、ラン、モモ、ミユ、ベンケイ、オリヴィア、アナ、ミヨカ、サヤカ、ワカメ、アナスターシャ、ミラーナ、ナターシャ、麗花、愛花、│美雨、綵華、暁蕾、春玲、アウロラ、エマ、シーノ、ミホコ、サーリ... くらいかな」
(...... そ、そんなにたくさん... 25人も!)
セレシアが紺色の目を見開きます。
ブージアお婆さんが言った、“人族のスケベな男”という占いは、ドンピシャで当たっているようです。
“レオさまは、人魚族の男以上にお強いのね...”
まじまじとレオ王さまを見ながら、そんなことを考えていると―
レオ王さまは、とんでもないことをさらっと言いました。
「セレシアを入れたら26人かな?」
(ええええ――――っ?)
「イヤかい?」
レオさまの目にじーっと見つめられて、セレシアは胸がズキンと痛むのを感じました。
間違いありません!
このレオさまこそが、セレシアが嫁ぐべき“人族のスケベな男”、いえ、“人族の白馬に乗った王子さま”に違いありません!
(これが運命?...)
ポそっとつぶやいた声を、しっかりと聴かれました。
「ん?」
そして、セレシアは、ブージアお婆さんの占い通りの人族のスケベな、
いえ、ステキな王さまと運命の出逢いをしたのでした。




