11-29 水晶宮譚①
スピンオフ作品です。
人魚姫セレシアの生い立ちとレオに出逢うまでのストリーです。
その子が生まれたのはオマゾン川でした。
ミィテラの世界でもっとも大きなオマゾン川の美しく透明な深い水の底にある水晶宮というところでした。
父親の名はゼリンガ・ゴリュテイル。オマゾン水域にしか住まない人魚族の王です。
母親の名はセレイア・メリュジーネ。たいへん美しい人魚王妃でした。
その二人の間に生まれたのがセレシア。
母親似の美しい顔立ちと水色の髪、そして父親譲りの藍色の瞳をもつかわいい女の子でした。
セレシアは小さい時から冒険好きでした。
父親のペットの『ボット』‐マナティンスと人魚族が呼ぶ川牛‐の背に乗って、オマゾン川の川底のずーっと下を流れる地下水流へ冒険の旅に初めて出たのはセレシアがわずか6歳のときでした。
母はオマゾンの猛魚ピニラアかカンディラに喰われてしまっのではと心配し、父親は部下の人魚兵たちやカワイルカたちを総動員して探させました。
セレシアが地下水流を冒険しているという情報をもたらしたのは、一匹のオマゾン亀でした。
人魚族は、水中に棲む魚や動物たちの言葉がわかり、コミュニケーションも出来るのですが、水晶宮の警備をしていた人魚衛兵に地下水流のかなり上流で見た“水色の髪のかわいい人魚の女の子”の話をしたのです。
「なに? トンチンカンス川の上流に?」
人魚王が報告に来た衛兵に聞きました。
「はい。チングー川との支流の上あたりを二人の女の子人魚、数頭のマナティンス、オマゾン川馬たちと泳いでいたそうです!」
「すぐに捜索隊を出せ!」
「はっ!」
すぐに人魚兵60人からなる捜索隊が、オマゾン川馬たちに乗って出発しました。
そのころ、当の人魚姫 セレシアは、仲良しのイマジャーとナラジャーといしょに、オマゾン川馬に乗ってトンチンカンス川を探検していました。
トンチンカンス川はオマゾン川の地下を流れる巨大な地下水流で、地上に住む者たちにはまったく知られてない川なのです。
地下水流と言えば、真っ暗だと思うだろうが、トンチンカンス川には光る藻が牧草のように生えているので明るいのです。
そこをたくさんの電飾ウナギやピカピカルクーなどと言った自分で光を発する巨大なウナギやナマズが泳ぎ回っていて、とても興味深いところなのです。
イマジャーとナラジャーは双子の姉妹人魚で、セレシアより三つ年上です。
イマジャーは緑色の髪、ナラジャーは黄緑色の髪をしていました。二人は人魚王の絶大な信頼のある人魚軍司令官ギルマンと女官長イマンジャーの娘であり、歳も近いことから人魚王妃が娘の遊び相手にと選ばれたのです。
人魚族は、名前から想像するととても弱そうに聞こえますが、とんでもありません。
オマゾン川というところは、獰猛なオマゾンワニや巨大な人食い蛇スクリー、猛魚ピニラアやカンディラなどが棲む川であり、そのような生態系の中で生き延びて来た人魚族は、非常に索敵能力が発達しているし、力もあるのです。そして人魚族はオマゾン川の生態系のトップに立っていました。
オマゾン・カマスは、体長4メートル、体重200キロ以上もあり、10センチ以上の歯がぎらりと並ぶ猛魚です。いわゆるオマゾン川のギャングと呼べる猛魚です。
セレシアと双子の姉妹人魚は、すでにこの川のギャングを5匹仕留めており、今は全長20メートルの巨大な人食い蛇スクリーのあとを追っていました。
巨大な人食い蛇は、ふつうはオマゾン川に住んでいるのですが、何かの拍子で地底水流にまぎれこんだようです。そしてここには巨大蛇の餌になる大きな魚や川牛、川馬が多いので居心地がよかったらしく、ここに住み着いたようなのです。
セレシアは、人食い蛇に追われて助けを呼ぶ川馬や川牛の子どもたちのを声を聞いて、水晶宮を飛び出したのです。
セレシアは小さな弓を持っていました。お父さんの人魚王が作らせた弓で、小さな弓ですが、セレシアがもつとミナモトノ・タメトモの強弓のようになりました。
イマジャーとナラジャーは、それぞれ三叉戟‐そう、ポセイドンが持っている武器と同じものとフォチャードををもっていました。
そして、やはり人魚族ですから、6歳の女の子でもすごく力があるのです。
三人は1時間以上かかりましたが、ようやく巨大なスクリーを倒すことができました。
これで地底水流の生き物たちは、安心して暮らすことができます。
ほっとしたのもつかの間、セレシアはお父さまが捜索隊を出させたことに気づきました。
姉たちが心の会話でセレシアに知らせてくれたのです。
《セレシア、早く帰って来ないと大騒ぎになっているわよ!》
《お父さまが、兵士百人を捜索に向かわせたわ!》
「あら、お父さまが私を探すために、たくさんの兵隊さんを出動させたみたい!はやく帰らないと!」
「では、人食いスクリーも倒したことですし、早く帰りましょう、セレシアさま!」
「ゼリンガ王さまに叱られないように、人食いスクリーの頭を持って帰りましょう!」
イマジャーとナラジャーが言い、ナラジャーがフォチャードでスクリーの頭を切り取りました。
「じゃあ、ウオーター・トンネルを開けるわ!」
セレシアはそういうと、片手を前に向けてグルグルと回しました。
するとあら不思議、水の中にゆるい渦がうまれ、それが次第に大きくなったのです。
渦を巻く真ん中にできた直径2メートルほどの穴は、まさしくトンネルでした。
そして、そのトンネルの向こう側には、なんと水晶宮が見えているではありませんか!?
そうです。セレシアはどこかの天才エルフ魔術師のように、ゲート魔法が使えるのでした。
ただし、水の中でしか使えないゲートなのですが…
水中で使えるゲートなので勝手に『ウオーター・トンネル』などと呼んでいましたが、その秘密を知っているのは、仲のいいイマジャーとナラジャーとお母さんのセレイア王妃だけでした。
セレシアがウオーター・トンネルに飛び込み、そのあとにすぐイマジャーとナラジャーが続きました。
そして、一分とかからずに水晶宮の近くにある海丘に移動しました。
三人が海丘の陰から泳ぎだしたとき、近くを捜索のために泳いでいた若い人魚兵二人が彼女たちを発見しました。
「あっ、あれはセレシア姫さまではないか?」
「そうだ、セレシア姫さまとイマジャーとナラジャーだ!」
「お前はすぐにゴリュテイル王さまにお知らせしろ!」
若い人魚兵の一人は、尾びれを強くふってたちまち水晶宮の方へ行ってしまいました。
もう一人の人魚兵‐若いけど、もう青々とアゴヒゲを生やしています。
さーっと泳いでこちらに向かって来る三人の女の子の前に立ちふさがり、
「セレシア姫さまにイマジャーさまとナラジャーさま!どこかへお出かけでしたか?」
「あの... ちょっと...」
「あら、アラルじゃないの? おヒゲりっぱになったわね?」
まだ小さいだけあって言いよどむ姫。さすがにちょっと遠くまで行き過ぎた、と思ったのです。
でも、三つ年上のイマジャーはまったく怯むことなく、もう少しふくらみはじめた胸を張り、両手を腰にあてて青ヒゲの若い人魚兵を見て言いました。
「わたしたちは、カワイルカの子どもやオマゾン亀の子どもを食べていた悪いスクリーを退治しに行ったのよ!」
ナラジャーもイマジャーに負けまいと、少しふくらみはじめた胸をはって、手に下げていた網の中の大蛇スクリーの首を持ち上げて見せました。
「!...」
さすがのアラルも二の句が継げません。
というか、アラルはまだ15歳。人魚としては、すでに一人前ですが、まだ若すぎて女の子とデートもしたことがなく、やはり年頃の胸のふくらみはじめた少女を見ると赤くなってしまうのです。
そうそう、人魚って高貴な家柄の女性でないと胸をかくさないのです。
そして、一人前と認められる15歳にならないと胸をかくさないのです。
なので、それまでは人魚の若者たちは、たっぷりと女の子たちのおっぱいを見れるのです。
15歳になって覆っても、おっぱいの先をほんの少し隠すだけなので、
人魚族の男たちにとっては、まさしく“ウホホホ!”なのです。
とにかく、三人はアラルに連れられて水晶宮に向かいました。
水晶宮の入り口には、すでにゴリュテイル人魚王、メリュジーネ王妃、セレシアのお姉さんたち、ギルマン人魚軍司令官、それにイマンジャー女官長たちが、数十人の女官や人魚兵たちと待っていました。
まわりにはセレシアが無事帰って来たのをよろこんでカワイルカたちもうれしそうに泳ぎ回っています。
「おお、セレシア!どこに行っていたの?心配したのよ!」
「セシー!と、とにかく無事で帰ってよかった!」
「セシーちゃん、心配したわ!」
「セシーちゃん、あまり遠出しちゃダメよ? お母さまは三日間なにも食べれないほど心配していたのよ?」
ナラジャーとイマジャーは、怒られるどころか、セレシア姫を無事守ったということで、お父さんのギルマン軍司令官とお母さんのイマンジャー女官長にたいそう褒められました。
巨大な人食いスクリーの首をもって帰ったことで、ただ遠出して遊びに行っただけではないということでも三人は褒められました。
「それにしても、セレシアはわずか6歳だというのに、勇気があるというか、正義感が強いというか... まったく驚いたよ!」
ゴリュテイル人魚王が、海綿で出来たマットレスが敷かれた豪華なサンゴ製のベッドに両腕を頭の下にして横たわってつぶやいています。
「でも、オマゾン・カマスにもピニラアにもカンディラにも襲われなくてよかったわ...
あの子はオテンバみたいだから、年頃になったら早く嫁に行って家庭に入れば落ち着くと思いますわ」
メリュジーネ王妃が、寝るために水色の長い髪をまとまながら言う。
「うむ。それが無難であろうな...」
* * *
それから10年が経ちました。
セレシアは見目麗しい乙女人魚に育ちました。
そして、早く結婚させようとする両親の願いもむなしく、あらゆるお見合いや婿候補を断って、相変わらずナラジャーとイマジャーといっしょにオマゾン川やトンチンカンス川でオマゾン・カマス狩りやスクリー狩りをやっていました。
そうそう、ナラジャーとイマジャーはとっくに結婚していました。
15歳になったとき、ナラジャーはあのアラルと熱烈な恋愛結婚をしました。
もともとナラジャーはアラルのことが好きだったし、アラルもナラジャーにゾッコンだったのです。
そしてイマジャーはアラルのいとこのイロルと結婚したのです。
イロル緑色のヒゲを生やしたイケメン人魚兵でした。
実はイマジャーもアラルのことが好きだったのですが、先にアラルが姉のナラジャーに告白したので姉に譲ったのです。
人魚族は、そんなことでいさかいなど起こさないのです。
そしてイマジャーは、イロルに恋をして、イロルも美少女のイマジャーにゾッコンになってプロポーズしたのです。
でも、ナラジャーもイマジャーもまだ子どもはいません。
子どもを作ったりしたら、セレシアと遊んで‐いや、冒険をして回れなくなるからです。
でも、アラルもイロルも何一つ文句は言いませんでした。
誰もがうらやむ美少女と結婚できたのですから、文句など言っていたら罰が当たります。
それに姫さまを守りながら冒険をするというのは、浮気をされるよりマシなのです。
人魚族は長寿であり、平和主義者ですが、男も女も精力ゼツリンなのです。
なので浮気はアイサツ代わり‐と言っては大げさですが、かなりふんだんに行われるし、そんなことで離婚とか別居とかはしません。人魚族は平和主義者なのです。
妻が浮気をすれば、夫もすればいいのです。
でも、ナラジャーもイマジャーも浮気は一切せずに、あまった精力は冒険を精力的にすることで発散し、あとはやさしい夫に毎晩愛してもらっていました。
今日も冒険に出たなかよしの三人。
獲物を探しながら、おしゃべりをします。
年頃の若い人魚が話すことは決まっています。
そう、男と女の話です。
ナラジャーもイマジャーも結婚して3年。
男女のひめゴトに関してはもうベテランなのです。
それに対してセレシアはというと…
セレシアはまだ処女でした。
だけど、やはり精力ゼツリンの人魚族ですから、男女のひめゴトのことは興味津々。
狩りをしながら、ナラジャーとイマジャーに根掘り葉掘り訊くのです。
最初のころは、二人姉妹も自分たちの初体験とか、ハネムーンとか、新婚さんのアツイの生活のことなどを聞かれるままにセレシアに語っていましたが、最近では正直言って辟易していました。
「ねえ、ねえ、ナラジャー、昨夜はアラルとどうだったの?」
藍色の瞳をキラキラさせて聞くセレシア。
「どうって、いつもの通りよ。私の胸をこうさわって...」
そう言いながら、高貴な人魚女性のたしなみである、おっぱいの先だけをわずかに覆っているビスチェみたいなコスチューム越しにセレシアのゆたかな胸をキュッキュッ!と揉みました。
「キャッ!やめてーっ ナラジャー!」
ナラジャーの両手を払いのけて自分の両手で胸を守るセレシア。
「ナラジャーったら... もういいわ。イマジャーに聞くから。イマジャー、イロルとは昨夜どうだったの?」
「イロルはね... こうやって私のスリットをやさしく開いて...」
イマジャーは、そう言うとセレシアのスリットを両手で開きました。
人魚族の女性は、イルカたちのように下腹部に細長いスリットがあり、その中に子どもを産むために必要な器官と排泄器官があるのです。人魚族の男は前後に2本の細長いスリットがあり、前方のスリットに〇〇〇が収まっていて後方に肛門があります。
「ヒャッ!」
「まだオトコを知らないセレシアに、オトコがどんなコトをするか、少し教えてあげるわ!」
「ヤメテっ!」
「オトコはこうやってもむのよ!」
ナラジャーに力いっぱいに体を抱かれ、セレシアは身動きできません。
そこをイマジャーは、セレシアの胸をさわったり、あそこやここをさわったりします。
「やめて―――っ! やめて――――っ!」
セレシアは叫びますが、年齢が上のナラジャーの力は強く、逃げ出すことができません。
やめて―、やめて―と叫んでいるうちに、なんだか気持ちがよくなって来ました。
やめてぇ... やめてぇ…
最後の方は、ただ口の中でつぶやくだけになっていました。
............
.........
......
セレシアにとっては、生まれて初めての
めくるめくような経験でした。
「ナラジャーもイマジャーもヒドイわ! プンプン!」
セレシアは気持ちよかったことを知られないように怒ったふりをします。
双子の姉妹をにらみながらビスチェを直しています。
「あら、そんなに悪かったのぉ?」
「すっごく気持ちよさそうな声を出していたのにねぇ?」
ナラジャーとイマジャーがニヤニヤしながら言います。
「もう... 本当にバッカ―――っ!」
セレシアもまんざらではなかったのでしょう、とうとう笑い出してしまいました。
「で、どうだった、セレシア?」
「気持ちよかった?」
「ナラジャーとイマジャーのイジワル!」
顔を赤くして口を尖らせる人魚美少女。
「ナニナニ? イジワル?」
「そうよ!それは一生懸命に気持ちよくさせてあげた私たちに対する言葉としては、気持ちがこもってない言葉じゃない?」
「... 少し、気持ちよかった」
「セシーちゃん、性に目覚めるか...」
「それ、ヤミツキになるわよ?」
「えーっ、そんなの困るわ...」
ドギマギするセレシア。
相変わらず顔が真っ赤です。
「早く結婚するか浮気をして、男にたっぷり愛されてもらいなさいよ!」
「結婚はイヤ!」
「どうしてなの?」
「貝占いで、人魚族ではない男性と結ばれるって出たのよ!」
「えーっ、それ?」
「それって、あのブージアおばあちゃんの占い?」




