11-28 オマゾンを救え④
オマゾンを最終決戦の場所としていた魔軍第三軍は、アイミとアウロラ&リョースアールヴたちの活躍で1時間もたたずに降伏した。
イリリ川に停泊していた潜水艦隊は、30隻ほどがリョースアールヴたちによって破壊され沈没した。アウロラはチームリーダーとして来たが、何もすることはなかった。
残りの潜水艦はゲート魔法で同盟国の港に運ぶつもりだ。魔大陸侵攻作戦の役に立つかも知れない。
作戦に間に合わなかったら、各国が好きに利用すればいい。
(やあ、オレはレオ! ちょっと遅くなったけど助けに来たよ!)
レオは、勇者グループといっしょに将校用宿舎にはいった。
「ピュ ピュッ!■■■(ああ!ようやく来てくれたんですね)!」
水色の髪の人魚は、はいって来たレオたちを見て、ほっとしたようだ。
念話で答えたが、顔を見るとかなり衰弱しているようだ。
だが、緑色の髪と黄緑色の髪の人魚の方は、レオたちを見て口をとがらせて
ブーブー、いやピューピューと文句を言った。
「ピュ ピュ――ッ!■■■■■(来るの遅いわよ――)!」
「ピュ ピュ――ッ!■■■■■■(もう少しでお姫さまが、そこの悪人に凌辱されるところだったのよ!」
「ピュピュッ ピュピュピュ――ッ!■■■■■(そうよ!せっかく、私たちがお姫さまを守るために)...」
「ピュッ ピュピュ――ッ!■■■■■(シナを作って、悪人を誘惑したのに!)」
人魚たちのすごい剣幕に、レオはおどろいた。
「いやあ、スマン、スマン。魔軍の大軍の真っただ中に来るんだから、用意周到に作戦を練らなければならなかったんだ」
「ピュ ピュッ ピュ――ッ!■■■■■(二人とも、もういいわ。せっかく助けていただいたのに...)」
人魚姫さまの言葉で、ようやく二人は静まったが、まだ口の中でブツブツ言っている。
救い出された人魚たちは、ランとオリヴィアとミユが保護して、ライトパレスに連れて行った。
レオは、ボリゾディス軍団長に魔軍兵士の武装解除を命じ、ボリゾディスはグヴァシル将軍にすぐに実施するように命じた。
「あなたたちが勇者王国の勇士たち... そしてこの人が有名なエルフの魔術師ね。」
ボウデイッカがあらためて上空に浮かんでいる白いウインプルをまとったアイミを見て言った。
アイミは、どこかに魔軍兵士が隠れていてレオたちを攻撃をしないか見張っているのだ。
「聞きしに勝る戦闘能力ね... これじゃあ、ザパータの者たちでもかなわないはずだわ...」
「お前が、ガリボディス将軍の息子のボリゾディスか?...」
ベンケイがしげしげとボリゾディス軍団長の顔を見て聞く。
「ああ、俺がガリボディスの息子でただ一人生き残ったボリゾディスだ」
「お前の父は立派で勇敢な軍人だったぞ!」
「なに、俺の父を知っているのか?」
「ああ。お前の父ガリボディス将軍とは、イーストランジアのミルヘイムで、私と相まみえた。立派に戦ったぞ!」
「そうか。君が父を倒したのか... 君のような勇士に倒されて父も本望だっただろう。
俺も父や兄のように戦いながら立派に死にたかったが、この通り、無様に負けて捕虜となってしまった...」
「ボリゾディス軍団長。お前の兄、バリゾディスは生きているぞ!」
レオが兄のバリゾディスは戦死してないことを告げた。
「なに、兄が生きている?そんなバカな... 兄はオムルカル湖の戦いで戦死したと...」
「いや、君と同じで我々に降伏し、今ではオムルカル湖一帯の司政官となって、勇者王国に協力してくれている。」
「「バリゾディスが司政官?!」」
ボリゾディスとボウデイッカがハモる。
「ああ、ウソだと思うなら... メイさん、悪いけどマデンキで、 バリゾディス司政官と連絡をとってくれませんか?」
「はい。少々お待ちを」
一分とかからずに、 バリゾディス司政官と通信がつながった。
「はい。 バリゾディス司政官です。どうかされましたか?」
その声を聞いたボリゾディスが、メイがもっているマソキに飛びつくようにして画面に映る兄の顔を見た。
「兄さん!」
「おっ、ボリゾディスじゃないか?!」
「兄さん、生きていたのか?」
「ああ。この通りピンピンしているよ。魔族であることはやめたがな...」
たしかにバリゾディスの顔は白くなっている。
「その様子では、お前も同盟軍に降伏したのだな?」
「勇者たちに急襲され、不甲斐なく全面降伏だよ...」
「ああ、勇者王国軍は無敵だよ。彼らと一戦交えることができただけでも幸運だ」
「あはは。こちらは手も足もでずに降伏だよ。ところで同盟国の司政官になったんだって?」
「いや、同盟国ではなく、そこにいるレオ殿が国王である勇者王国の新しい直轄領オムルカル州の司政官をやっているんだ!」
「ゆ、勇者王国の捕虜じゃないのか?」
「まあ、つもる話はたくさんあるが、あとはお前が魔族であることをやめて『リニュルフ』になってからの話だ。マソキで話していたら、一日かかっても話が終わらない。そこはオマゾンだろう? 早く木陰か日陰に入らないと魔族の干物になっていまうぞ?」
兄、バリゾディスとの会話はそれでいったん終わった。
しかし、ボリゾディスも納得がいったようだった。
アイミがゲートを開けて、最初に第三軍の司令部将校たちを捕虜収容所に送ることになった。
あとの将兵は、グヴァシル将軍と部下の将校たちが説得と武装解除と行ったのちに、何百人かずつの人数にまとめてリョースアールヴの中でゲート魔法ができる者に移送をまかせればいい。
ボリゾディス軍団の武装解除と後始末をモニターするために、勇者王国から500人の兵士をナガジー・マスティフ中佐が引き連れてゲートで到着した。
カイオやイザベルたちは、魔軍が司令部に使っていた建物を急遽、現地指揮所として使い、後処理の指揮をすることになった。
残った問題は、有尾族をどうするかだった。
第三軍は降伏したが、彼らの傭兵であった カインガー族はまだ降伏はしていない。
カインガー族の戦力は80万と言われているので、決して無視できない数だ。
レオは人魚たちが気になるので、スケさんの瞬間転移でオクタゴンパレスに移動した。
オクタゴンパレスには、子どもたち用のプールと、周りをガラスで囲まれた温室の中のプールがあり、こちらは人口滝から水を落とし、水棲植物などを生やしている。
人魚たち三匹は、そのプールの中に入れて元気を回復させることにしたのだ。
プールまで来ると、ランとオリヴィアとミユがひざまずいて人魚たちを見ている。
そばにはレオの子どもたちが、ワンサといた。
なにせ、オクタゴンパレスに住んでいるレオの奥さんたちの子どもは15人もいるのだ。
みんなしゃがんだり、腹ばいになったりしておしゃべりをしながら、興味深そうに人魚を見ている。
レオが近づいたのを見たランが大きな声で子どもたちに言う。
「さあ、人魚ちゃんたちはどこにも消えないから、子どもはもう寝なさい!明日も保育園や学校があるでしょ?」
「いい子は、夜更かししちゃダメですよ。オヤスミなさい!」
「さあ、行った、行った!」
オリヴィアとミユも子どもたちを追いやる。
子どもたちはワイワイ言いながら、それぞれの部屋に帰っていった。
ベビーシッターたちやメイドさんたちが、子どもたちといっしょに行く。
「レオさま、人魚さんたち、まだかなりグッタリしています。お魚をあげたけど、食べてくれません...」
オリヴィアが心配そうな顔で言う。
人魚たちは、イリリ川で捕らえられた後、数時間水なしの状態でいたため、脱水状態になっているらしい。
それに、やはり、生け捕りにされて凌辱されたあとで食べられようとしたので、かなりショックだったようだ。
人魚たちは、三匹ともプールの底でおたがいに抱き合って静かにしている。
(パパ...)
アイミの子、アイが念話で話しかけて来た。
(アイか、どうしたんだ?アイも人魚さんが心配なの?)
(ウン。それでわたし、考えたんだけど...)
(ん? 何を?)
(わたしがカイフクマホウをかけたらどうかと思って...)
(おお、それは名案だ!アイ、やってくれるかい?)
(はい。でも、ミオとミアもいっしょに行きたいって)
(いいよ、三人でおいで!)
((ワーイ!))
しばらくすると三人の子どもが走って来た。
先頭はアイミそっくりの白い髪で青い目のアイだ。
ふたごのオンも同じく白髪で青い目。末っ子のミアはレオ似で茶髪で青い目だ。
見ると、三人とも水着を着ている。
アイは水玉模様のワンピース水着、ミオは水色の水泳パンツ、ミアは赤い水着だ。
レオは何も言わない。
アイたちにまかせるつもりだ。
アイはプールサイドに座り、足を水につけたかと思うと、ドポンと潜った。
ミオもミアも同じように潜った。
「レオさま、だいじょうぶですか?」
「わたしもいっしょにはいりましょうか?」
オリヴィアとミユが心配そうに聞く。
「いや、子どもたちにまかせよう。オレたちは万一に備えるだけでいい。」
「「はい」」
プクプクと空気の泡を出しながら、アイは人魚たちの上に手をかざして回復魔法を使っているらしく、手がぼーっと水中で白く光っている。
ミオとミアは人魚たちをしきりにさすっている。
すると、それまでプールの底で死んだようにじっと動かなかった人魚たちが、びくっ、びくっと尾びれを動かしはじめた。
少しすると、ミオがミアの手をにぎって浮かんで来た。
ぷは――っ!
ぷはぁ――!!
二人がいっぱい空気を吸っている。
人魚たちがパチリと目を開いたのが見えた。
それを見ると、アイは一匹、一匹の人魚の髪を光る手でやさしくなで、人魚たちが半身を起こすとアイも水面に上がって来た。
ぷは―――っ!
肩で息をしながら、アイは底にいる人魚たちを見ている。
プールサイドに引き上げてもらったミオとミアも腹ばいになって人魚たちを見ていたが、人魚たちが身を起こしたのを見て歓声をあげた。
「わーい、アイちゃんのマホウで元気になったー!」
「ワーイ!マホウキイタ、マホウキイタ!」
水色の長い髪の人魚が水面に顔をだした。
胸が丸出しなので両手でかくしている。
レオたちを見て、浮かんでいるアイを見て、
プールサイドにいるミオとミアを見る。
(私たちに元気をくれて、ありがとうございます)
回復魔法で元気になったらしく、はっきりとした念話でレオたちに話しかけた。
水色の髪の人魚のそばに緑色の髪の人魚と黄緑色の髪の人魚が浮いて来た。
この二匹は胸をかくさない。二匹ともりっぱなおっぱいだ。
「すごい... この娘たちのおっぱい、オリヴィアちゃん並ね?」
「ちょ、ちょっと... ランさん、なぜ、私のおっぱいと比較するのですか?」
「いやあ、私たちの間では、オリヴィアちゃんのおっぱいが比較の基準になっているのよ」
「えっ、き、基準?」
「そう。オリヴィアちゃんのおっぱい以上か以下かってね!」
「わ、私のおっぱい以上とか以下だなんて...」
オリヴィアが赤くなる。
「まあ、オリヴィアちゃん以上は、これまではイザベルだけだったんだけど... 」
そう言っていったん言葉を切ったラン。
「この娘たち、オリヴィアちゃん以上かもよ?」
オリヴィアは、自分のおっぱいが基準になっていると知って、
恥ずかしさで顔を赤らめながらも、人魚姫の胸を見る。
たしかに、“私なみの大きさと形のよさみたい?
(あの... いろいろと胸のお話をしておられるようですが... 私の名前はセレシア。人魚族の姫です。このたびは、助けていただいてありがとうございます)
しっかりと胸を隠しながら、赤くなってお姫さまがお礼を言う。
(私はイマジャーです。人魚軍司令官ギルマン・ビラルクーの娘です。助けていただいて、ありがとうございます!)
(私はナラジャーです。イマジャーとはふたご姉妹です。本当にありがとうございます)
「えーっ、この三匹... いや、三人の人魚さん、人魚族の王侯貴族の娘さん?」
ランが尻もちをつきそうになって驚く。
ミユが支えてなければズッコケただろう。
(この女の子... アイちゃん、そしてミオ君とミアちゃん、回復してくれてありがとう!)
(このアイちゃんって、すごい能力もっているのね?)
(網で閉じこめられて身動きが出来ずに、体の水分がどんどん失われて、あのままでは死んでいたのよ)
(それに、あの黒いケダモノは、私たちとアレをしようとして...)
(私と姉は、もう既婚者だからアレをされても、どうってことはなかったのですけど...)
(どうってことないことないでしょ、イマジャー! 私はダンナさまがいるのよ?)
(あら、私のダンナもまだ生きているわ。だけど... セレシア姫はまだヴァージンだから...)
(ちょ、ちょっと、イマジャーもナラジャーも、そ、そんなことを殿方に言わないで!)
色の白い水色の髪の人魚姫がさらに真っ赤になった。
(あら、いいじゃない。ほら、ひょっとすると、この殿様がセレシアの...)
(そう、ブージアお婆ちゃんの言っていた...)
(二人ともやめて―――っ!)
セレシアと名乗った人魚があわてて二人の言葉をさえぎろうとするが、イマジャーもナラジャーもスルリとうまく逃げて念話でそろって言った。
((人族のムコさんじゃないのー?))
(キャ――――っ!)
セレシアは耳をふさいでプールの底に潜ってしまった。
ミユはアイミにたのまれて、アイとミオとミアを連れて部屋にもどることになった。
暖かいお風呂に入れて服を着せるためだが、三人は人魚と話したくて部屋に行きたがらなかった。
「風邪をを引いたら、人魚姫さんたちと遊べなくなりますよ!」
と言うアイミの言葉で、ようやく部屋にもどっていった。
ようやく、恥ずかしさもおさまり、いつまでもプールの底にいては人魚姫としての品格が疑われるので、しぶしぶながら人魚姫は水面にもどった。
イマジャーとナラジャーは、興味津々とセレシアとレオたちの会話の成り行きを見ている。
二人を少し恨めしそうな目で見る人魚姫。でも、本心から怒ってはない。
彼女たちは、セレシアの事を思って恋のキューピッド役をしてくれているとわかっていたのだ。
(セレシア姫にイマジャーさんにナラジャーさん、はじめまして。オレが勇者王国のレオ王だよ)
(はじめまして。私はラン。レオの妻です)
(みなさん、はじめまして。レオさまの妻のオリヴィアです)
(あ、私はミユよ。私もレオさまの奥さんでーす!)
姿は見えないが、エレベーターの中にいるミユも自己紹介する。
(えっ、レオ王さま、奥さまが4人もいらっしゃるんですか?)
セレシアがおどろく。まあ、人魚族にも4、5人妻を持つ者がいるから多妻はめずらしくはないのだが。
(セレシアさん、おどろかないでよ...)
(はい...?)
(レオには20人以上の奥さんと恋人がいるのよ!)
(えええ―――――――???)
セレシアが紺色の目を見開いておどろく。
おどろきのゼスチャーで頬を両手でおさえたので、胸が無防備になってしまった。
レオはひざをついて話していたが、その好機を逃さずに、しっかりとセレシアの見事なおっぱいを見る。
たしかにオリヴィアのおっぱいに勝るとも劣らないおっぱいだ。
ポッチがほんのりとピンクなのがそそる。
「セレシア姫さま、お救いできて光栄です。すっかり元気になるまで、ゆっくりとここで回復してください。」
セレシアの美しい紺色の瞳をのぞきこみながらレオは言った。
「あ......... は、はい。あ、ありが ありがとうございます...」
セレシアは呆然となって、頬を染めてつかえつかえ答えた。
自分のおっぱいが丸見えだということにも気がついてない。
ナラジャーとイマジャーは、もうランとオリヴィアと仲良くなっておしゃべりをしている。
なにもセレシアに無関心というわけではなく、“気を利かせて”やっているのだ。
ランもオリヴィアもそのことを十分承知しているので、セレシアがレオにメロメロになるのを目の片隅で見ながら二人の人魚とおしゃべりをしている。
(あの... レオ王さま...)
(レオでいいよ。オレも君をセレシアって呼ぶから!)
(は、はい。では、レオさま、先ほどランさまがおっしゃった、二十数人の妻と恋人がいるというお話は本当ですか?)
(えーっとね... イザベル、アイミ、ラン、モモ、ミユ、ベンケイ、オリヴィア、アナ、ミヨカ、サヤカ、ワカメ、アナスターシャ、ミラーナ、ナターシャ、麗花、愛花、│美雨、綵華、暁蕾、春玲、アウロラ、エマ、シーノ、ミホコ、サーリ... くらいかな」
(...... そ、そんなにたくさん... 25人も!)
「セレシアを入れたら26人かな?」
(ええええ――――っ?)
「イヤかい?」
レオの目にじーっと見つめられて、セレシアは胸がズキンと痛むのを感じた。
(これが運命?...)
「ん?」




