91 お風呂場での
ノエルは暗い顔で話し始めた。
「すみません。私はヒロタカ様に近づいたのには私のワガママなのです。」
と、そこまで言ったところで、美恵が
「じゃ、そのワガママ、お風呂に入って聞いてみようか。なんか湿っぽい話になりそうだから風呂がいい。それにノエルさん、たかだか弘隆と一緒にお風呂を入るのが出来なくなるぐらいの理由ならこのまま帰ってもいいよ。別に貴方が公爵の娘だから何ってわけでもないし。」
今日の美恵はえらく強気だった。日本にいるときとよりかなり逞しくなってきた。
ノエルは意を決して
「分かりました。お風呂、お供させていただきます。しかしネティーニュスとヌボローネは許してもらえないでしょうか」
美恵はその頼みを
「ダメよ。風呂はみんな一緒よ。ここにいる全員よ。」
俺はなんで美恵がここまでお風呂にこだわるのかよくわからなかった。
「なぁ、美恵、こんなに無理させなくても、」
「ヒロヒロ、ここは黙って私の言うことを聞いて。お願い。」
納得は出来ないけど、こんな美恵は珍しいので、その言葉に従った。
「ノエル様、私達は大丈夫です。お気になさらずに。」
ノエルの後ろでネティーニュスが言ってきて、その横でヌボローネがウンウンと頷いている。
「分かりました。行きましょう。」
ノエルが了承すると美恵は部屋をでてお風呂場に向かった。
一同はお風呂場に向かう間終始無言であった。とても気が重い。
脱衣所に着くと美恵は速攻で服を脱ぎ始めた。なんだか男一人って気が重いな。周り全員女性だし。
仕方がないので俺も服を脱ぎ始めた。俺はなるべく早く脱ぎさっさと浴室に入って体を洗い始めた。
俺の次に美恵が入ってきたが無言だった。
俺が洗い終えて湯船に浸かろうとしたときに残りのオリビエ、ノエル、ネティーニュス、ヌボローネが入ってきた。俺はなるべく見ないように女性たちに背を向けていた。
すると、美恵が
「来たよ。」
その言葉に思わず振り返った。多分鼻の下は伸びていたであろう。しかしそこで見たものは想像とは違っていた。
「ヒロタカ様、お見苦しい物をお見せして申し訳ありません。」
そのノエルの悲しそうな声の理由それは、彼女達の体に有った。
そう、ノエルの体は一応タオルで隠されては居るがタオルに隠しきれない場所の皮膚が赤黒い痣の様になっていたのだった。横に居たネティーニュスとヌボローネの体もまた痣ではないにしろ体中が傷だらけだったのだ。
俺はその状況で固まってしまった。
「ヒロヒロ、見すぎ。ノエルさん、ネティーニュスさん、ヌボローネさん、こっちで体を洗ってから湯船にはいってね。オリビエはわかってるよね。」
美恵は何一つ態度を変える事なく話してきた。俺はまた首を戻しなるべく彼女達を見ないようにした。
彼女達は洗い終えると湯船に入ってきた。
「さぁ、ノエルさん隠すものはなくなったよね。全部話して。私が知っている限りは話しても良いけどなるべくなら自分でね。それと此処に来た理由もね」
美恵はお風呂に入る前に比べてかなり口調が柔らかくなっていた。
「はい、有難うございます。ミエ様。ヒロタカ様まずは私の体からお話します。この体の痣は【死の花嫁】と言うスキルのせいなのです。このスキルは生まれつきのものでした。このスキル自体は私に見た目意外は影響はありません。しかし私の夫となる男性は私と結ばれると死んでしまいます。そういう呪いのようなスキルなのです。何故この様なスキルが発現したのかは分かりません。」
ノエルは悲しそうに話していた。
「この体の痣が有るため、王都での社交界には出れず。王都居ると父の形見が狭くなることに耐えられず、地方の駐屯軍に出向するようになったのです。もともと私の性格上綺麗な格好でいるより体を動かしている方が性に合っていると思っています。だからそれほど辛くは無かったのです。この体だから一生独身でもいいかなって思っていました。しかし、今回のオーク騒動で気づいてしまったんです。」
ノエルはネティーニュス達を見た。
「ヒロタカ様、ネティーニュスとヌボローネの体をみましたよね。彼女たちの体は傷だらけです。彼女たちの傷は私のせい、彼女たちは私を守る為に頑張ってくれた結果があの体なのです。でも今回は違いました。彼女たちは、」
ノエルはここまで言って思わずハッとして言葉を止めた。俺はその理由を知っている。オークとの本当の状況を、だから俺は
「分かったよ、ノエルさん、そのスキルがいけなかったんだね。」
「でも、それとヒロヒロの所に来るのとどういう関係が有るの?」
美恵のその言葉に
「ヒロタカ様は冒険者とお見受けしました。そして、その、一緒のパーティーに入れてください。ヒロタカ様の庇護下に入れて下さい。」
その言葉を言うとノエルは湯船を飛び出し裸で土下座をしてきたのだ。
「もう嫌なんです。彼女達が傷つくのが。お願いします。」
ノエルの目から涙がこぼれ落ちていた。
そんなノエルを見たネティーニュスとヌボローネも湯船から飛び出し彼女を止めようとしていた。
「はい、はい、終わり。ノエル達は早く湯船に戻りな、そこまで思うなら恥を忍んで王都に帰ったら?って思ってしまう所は有るけど。私も女だ、多少はその気持ち分かる。だからここからは私の出番だ。」
男口調の美恵が話に入ってきた。なんか日本でドラマ見た後の美恵みたいだ。
そしてノエル達は言われた通り湯船に戻った。
「で、お涙ちょうだいはもういいの、問題はノエルさん、ヒロヒロのこと好きなの?」
何だそのど直球な質問は。そもそもなんでそんな話になるのか皆目見当がつかない。しかし、ノエルは耳まで赤くなった。
「あのね、【完全鑑定】ってスキル甘くみないでよ。このスキルって相手の心理状態も考えも分かってしまうのよ。あと色々分かることが有るけどそれは企業ヒ・ミ・ツ!だからノエルさんが来たときから貴方のスキルのことも、ヒロヒロへの感情もわかっていたし、ヒロヒロのパーティーに入りたいって言うのも分かっていたのよ。」
美恵はへへーんと言わんばかりに大きく胸を反らせた。そのうち「犯人はこの中に居る」みたいな事を言いそうな勢いだな。
それとは反対にノエルはしゅんとなっていた。
「はぁ、ヒロヒロ、一気に話したからちょっと疲れた。とりあえず直して上げて。」
相変わらずわけのわからないテンションだな。
「長いよ、美恵。分かっていたのなら素直に直ぐに直させたら良いのに。」
「イヤよ、ヒロヒロに下心ありありで近づいてきた女なのよ。嫌味の一つも出るってもんでしょ。」
俺は美恵の話を聞きながら少しノエルに近づき、まずは【スキル操作】と言うスキルを創った。そして、ノエルに向かって【スキル操作】を発動した。
発動と同時にノエルのスキルが表示された。なになに、【剣術】【体術】【裁縫】【舞踏】など色々ある中、最後の方に【死の花嫁】というスキルが表示されていた。その【死の花嫁】の表示をクリックすると説明が出てきた。
【死の花嫁】彼女を抱いた男は死ぬ。体中に赤黒い痣が出る。
こんな説明がされていた。死ぬって抱いた瞬間なのかな後日死ぬのか少し気になるところだが、俺は【死の花嫁】の表示をドラッグして左上にあるゴミ箱の中に捨てて、右下の保存というボタンをクリックするとノエルの体が突然光りだした。
ノエルの体の光が収まるとお湯越しにでもノエルの体の痣が消えたのが分かった。もちろんバッチリ綺麗なお胸は見させて貰いました。俺の手に綺麗に収まる位の大きさでした。鎧だと分からないものだね。
ノエルは自分のステータスを確認しているのかじっと目の前を凝視していた。そして目から涙がこぼれ落ち
「ヒロタカ様、」
そう言いながらノエルは俺に抱きついてきた。俺は避けるかどうか迷った結果、素直にハグされました。柔らかい物がしっかりと俺の胸にあたっていました。ごちそうさまです。
「はいはい、まだ終わりじゃないのよ。」
そう言って美恵は割って入ってきて、
「ヒロヒロ、まだ仕事あるから。さっさとネティーニュスさんとヌボローネさん治して来なさい。」
そう言うと俺は二人に古傷も治る位の【ヒール】掛けると二人共綺麗な肌になりました。ちゃんと二人からお礼の言葉をいただきました。ちなみにハグはありませんでしたが、ネティーニュスはノエルより少し大きかったです。ヌボローネは綺麗な形でした。以上報告終わり。後で美恵に聞くと二人は俺に何の好意も無かったみたいでした。まっ、40歳のおっさんだからね若い子で俺で良いって方がすくないよね。
そんなやり取りが終わって世間話をしていると後ろの戸が開いた。




