表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

1、布団

僕には、大好きな祖父が居た。


テストで百点を取るだとか、運動会で1位になると、必ず祖父は褒めてくれた。


すごいよ、えらいぞ――って。


畑仕事でゴツゴツした大きな手のひらで、頭をなでてくれる。


とても大きな人、強くて温かい人、僕は大好きだった。


それでも高校に入ったころになると、祖父の背丈を追い越した。


それどころか、祖父は目にするたびに背中が曲がり、小さくなっていった。


言葉にできない寂しさに襲われた。


祖父がかつてのように「えらいぞ」と褒めてくれることも、一層に寂しさを感じさせた。


僕は祖父の家を避けるようになった。


幼い頃は毎日のように通ったのに、盆と正月以外は訪ねなくなった。


僕が大学入学を期に一人暮らしを始めて、新生活に慣れた頃のこと――祖父が倒れた。


急いで地元に引き返したけど、最期の時には間に合わなかったんだ。


僕は、なんて事をしてしまったんだろう。


なぜ祖父を避けてしまったんだろう。


あの時抱いた寂しささえなければ、もっと傍にいられたろうに――。


考えても虚しいだけだった。


「仏様を棺に」


葬儀屋の人が言った。


僕は、父の隣に並び、寝具に手を伸ばした。


その時、色々あって、祖父にかけた布団がふっとんだ。



ー布団 完ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ