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ダイナマイト転生。またやらかした!?〜今日も爆発は止まらない〜  作者: 田舎浪漫


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第十話「会いたい人」

まだ薄暗い早朝、俺たちは帝国へ向けて馬車20台で駆けていた。


エルフの戦士総勢100名。俺。マリー。そして総大将のグリーンウッドさんだ。


グリーンウッドさんは総大将に自ら志願した。理由は察せた。


「……帝国め。わしの家の恨み……ローンが200年……」


馬車の中で危ない独り言をブツブツ呟いている。私情が筒抜けだが、今は黙っておこう。


道中一回休憩を挟み、昼過ぎには帝国の国境砦から1キロ手前の荒野に着いた。


陣地を組み終えると、グリーンウッドさんが静かに口を開いた。


「戦士長。捕虜の返還要求と賠償金の請求、使者を出せ」


戦士長は自ら馬を駆け、城門前まで進み出た。


「オルドヴィア帝国に、エルフの民・女王陛下の言葉を告ぐ。一つ、貴国が無法に捕らえたエルフ捕虜を即時返還すること。一つ、エルフ拉致の賠償として純金一トンを支払うこと。以上だ。なお、明日の正午までに返答なき場合、エルフの民の怒りの炎が貴国を燃やし尽くすだろう」


声が荒野に響いた瞬間、石造りの砦の城壁上に、弓兵が現れた。ざっと三百を超える。


城門が開き、歩兵と騎兵合わせて三千近い帝国兵が展開してきた。


白馬に跨った三十代の将校が、兵をかき分けて前に出た。


「亜人のエルフごときが百人程度で帝国に命令とは、無礼にも程があるぞ」


男はひとつ鼻で笑い、続けた。


「まあ、俺も鬼じゃない。貴様らも捕らえて、先に帝都へ送った捕虜の元に届けてやろう」


将校は馬首を返し、叫んだ。


「穢らわしい亜人を捕らえよ。抵抗するものは殺せ」


帝国兵が一斉に動き出した。戦士長を目で追うと、すでに全力で馬を飛ばしこちらに戻ってくるところだった。


「全軍、戦闘態勢!カタパルト全機、ニトロオーブ・ヘヴィ発射用意!目標、城壁外の帝国兵!」


カタパルトにニトロオーブ・ヘヴィが次々とセットされていく。戦士長が陣地に辿り着き、グリーンウッドさんが号令を出した——


「撃てーーー!!」


前世で葛藤し続けた力が、今世でも解き放たれた。


最初の一撃が砦の中央に落ちた時、音は遅れて届き、地面は激しく揺れた。


二撃目。三撃目。着弾のたびに地面が揺れ、砂や瓦礫が舞い上がった。


そして——最後の一発。


ドォォォォン!


魔力を注ぎすぎたのだろう。ひときわ大きな爆発が、地面だけでなく空をも揺らした。


そして煙が晴れた後、俺は陣地から前を見た。


一瞬、弟の顔が過った。


城壁の外に展開していた帝国兵の大半は、動かなくなり―――


死んでいた。


原形を留めない、何かが散らばっている。城壁も全面はほぼ形がない。かろうじて形を残しているのは端にいた帝国の歩兵と結界を張った魔法師に守られた先程の将校とその側近たちだけだろう。


グリーンウッドさんが叫んだ。


「全軍前進!負傷した帝国兵にはポーションを使え。捕虜は丁重に扱うんじゃ!じゃが抵抗する者は殺すんじゃ」


俺は結果をただ見つめた。


拳を握りしめ、唇を噛んだ。


血の味がしてハッとし俺もマリーと馬に跨り城門があった場所へと駆けた。


「敵将確保!!」


掃討戦が始まりしばらくすると戦士長の声がした。見ると先ほどの将校と側近を捕らえていた。


「捕虜のエルフはどこにいる。帝都のどこだ。いつ帝都へ向かった?」


将校も側近も兵士長を睨みつけた。


「殺せ。亜人に話すことなどない」


そこへグリーンウッドさんがやってきた。


「戦士長よ。望み通り殺してやるんじゃ」


戦士長は黙ったまま、右手をあげた。

威力を抑えたニトロアローが側近の首、全てを弾け飛ばした。

戦士長がまた右手をあげる。

将校の右足が弾け飛んだ。将校の叫び声があがる。戦士長はゆっくりと将校に近づき話しかけた。


「すまない、部下の狙いがずれたみたいだ」


「ヒッ、わ、分かった話す、全部話す」


「すまない。それも手遅れだ」


将校の首が落ちた。俺には全く見えなかったが剣で斬り飛ばしたみたいだ。


その後の砦内部の制圧に時間はかからなかった。戦士長指揮の元、抵抗する帝国兵に慈悲は与えられず次々と倒れていく。

そして、結果帝国兵の死者は5000人を超え、捕虜を129人確保し国境砦での戦闘は終了した。


グリーンウッドさんが勝ち鬨をあげると、マリーが隣に来て、メモを差し出してきた。


『ロザリーさんを早く助けに行きましょ』


俺は答えず、その場を離れた。

俺は一人、砦の外れに立っていた。

風が吹き。焦げた匂いがした。

前世の新聞の文字が、頭の中に浮かんだ。


アルフレッド・ノーベル、死の商人、死す。


あの時、俺は答えを探して『罪と罰』を何度も読んだ。

俺は、今世でも作った。ダイナマイトに変わるものを。鉱山の為では無く。今度は明確に、兵器として。人を殺す為に。


そして、大勢の人が死んだ。

今日のこの日が正しいかなんて―――

俺には答えが出ないだろう。千年先も。

あの日書いた詩を思い出した。


「……俺はまた、壊れたまま立っているのか」


月を見上げながら呟いた。


「ロザリー……」


「何だ?」


声がして後ろを振り返った。

言葉が出ない。


「ふむ。私を除け者にして凄いのを作ったうえに、勝手に壊れるなんて――許さんぞ?アル」


そこには、会いたい人がいた。



アイテム名:A Riddle(謎)

分類:詩(Poem)

作者:アルフレッド・ベルンハルド・ノーベル

作成年:1851年

作成場所:パリ

作者年齢:18歳

レア度:★★★★★

効果:

読む者の精神に、ある記録を残す。

記録内容:

I've lost my faith in all that colours life,

I've lost my trust to serve my fellow-men,

And stand a wreck — I think you know me now.

訳:

人生に彩りを与えるものへの信頼を、私は失った。

同胞たちに尽くすという信念も、私は失った。

壊れたまま、ただ立っている——もう私が分かるだろう。

── ノーベル直筆の詩より(拙訳)

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