↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今川氏真に転生した俺、滅びるはずの今川家を立て直します』  作者: 水原伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/46

第1話 俺、今川氏真に転生しました

目を覚ますと、見知らぬ天井が目に入った。


「……ここは、どこだ?」


 身体を起こそうとして、妙な違和感に気づいた。


 着ているものが、自分の知っている服ではない。


 畳の上には刀が置かれ、障子越しには朝の光が差し込んでいる。

部屋の隅には見慣れない文箱まで置かれていた。


 どう考えても、自分の部屋ではなかった。


 何が起きたのか分からず、ぼんやりと周囲を見回していると、襖の向こうから声がした。


「若殿、お目覚めになりましたか?」


「……若殿?」


 返事をする前に襖が開き、年配の男が入ってきた。


 男は俺の顔を見るなり、深々と頭を下げる。


「義元様がお呼びです。すぐにお支度を」


「義元……?」


 その名前を聞いた瞬間、胸の奥がざわついた。


 今川義元。


 戦国時代に詳しくない俺でも、その名前くらいは知っている。


 そして、なぜか頭の中に一人の人物の名前が浮かんだ。


 今川氏真。


 今川義元の嫡男であり、後に今川家最後の当主となる男。


「……まさか」


 俺は慌てて部屋の中を見回した。


 刀。


 着物。


 畳。


 障子。


 そして、目の前にいる家臣らしき男。


 もし俺の考えが正しいなら、これはただの夢ではない。


 俺は――今川氏真に転生した。


「若殿?」


 男が不思議そうに俺を見る。


「……今は、何年ですか?」


「何をおっしゃっているのです?」


「いいから教えてください」


 自分でも驚くほど必死な声が出た。


 男は戸惑いながらも、現在の年を告げた。


 その瞬間、頭の中が真っ白になった。


 まだ、間に合う。


 俺が知っている歴史なら、桶狭間の戦いはまだ起きていない。


 父、今川義元はこれから尾張へ向かう。


 そして、その先で――。


「……死ぬ」


 思わず声が漏れた。


 今川義元は桶狭間で織田信長に討たれる。


 その後、今川家は急速に衰退していく。


 武田信玄が駿河へ侵攻し、徳川家康も今川家から離れていく。


 そして最後には、今川家そのものが滅びる。


 歴史の教科書で見た出来事が、これから自分の身に降りかかる。


「……冗談じゃない」


 俺は思わず拳を握った。


 このまま何もしなければ、父は死ぬ。


 今川家も滅びる。


 そして俺は、その滅びゆく家を引き継ぐことになる。


 でも。


 俺は、その未来を知っている。


 歴史の教科書なら、それで終わりだ。


 だが、ここにいる俺は、その歴史の中にいる。


 だったら。


「……一つくらい、変えてみてもいいよな」


「若殿?」


「父上に会わせてください」


 俺は立ち上がった。


 何をすればいいのかは、まだ分からない。


 桶狭間をどうするのか。


 武田信玄をどうするのか。


 徳川家康をどうするのか。


 そもそも、俺に今川家を立て直すことができるのか。


 分からないことだらけだった。


 それでも、ひとつだけ決めたことがある。


「話があります」


 父、今川義元に会う。


 そして、この家を滅ぼさないために何ができるのかを考える。


 それが、俺がこの時代で最初にやるべきことだった。


 こうして、今川家の歴史は少しずつ変わり始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。