【59】
祝賀会から3日後。
アマテラスが洋子を呼び出した。彼女の部屋には入れず談話室に招かれた。
「実はね、オズが側室達を持たず私だけご寵愛下さるというの。祝賀会から今朝まで部屋から出られなかったのよ?私、大丈夫かしら?」
リカちゃん人形はツヤツヤしてるけどお疲れのご様子だ。
『うーん。アマテラスさえ良ければ?』
気怠そうに紅茶を飲む姿は一見して睡眠不足だとわかる。
「日頃は公務も多忙だし新婚の今だけかしら?」
扉を開けて、オズ皇子がすっきりした顔を見せた。
「ヨーコのおかげで性悪婆(ディアボロス様)を捕らえることができた。これで終わりじゃない、始まりに過ぎぬ。これからも俺達をよろしく頼む」
洋子は膝を床について一礼した。
『畏まりました。オズ皇子、この度の側室達の解雇を心から感謝御礼申し上げます』
「ヨーコ!貴女の希望じゃないわ。私の醜い嫉妬心よ?」
オズ皇子は優しくアマテラスの腕を撫で、
「嫉妬なんぞしなくて良い。アマテラスの艶姿は、この世界中のどの女よりも勝る」
『はぁ〜。雅とか可憐とか美しいとか?御言葉を選んで下さいよ?』
「仕方ないわ。男とは単純な生き物なのよ」
ふと真顔になり、
「アリーからの伝言で飲み物は銀製の器でとあったがアレは?」
『植物の猛毒は銀を溶かし変色します』
「なぁ、ヨーコ?今回の褒美は何が良い?」
洋子は微笑みを浮かべた。
『オズ皇子、アマテラス妃。未来永劫お二人の栄華を私に見せて下さい。オズ皇子からの接吻という褒美を既に頂戴しております。失礼致します』
《転移》
姿を消した魔法を見て驚愕したアマテラスを介抱しながら、
「ヨーコは時空の隨現る黒魔女なんだよ」
と、自身に言い聞かせるように話した。
洋子はジュリとして詰所に立ち寄った。皆でお別れの挨拶を交わすと、先にマチルダやセーラは出て行った。
最後にアンナはジュリに訊いた。
「オズ皇子の密偵だったのね。ねぇジュリ、このままでいいの?」
『オズ皇子には素敵なアマテラス妃がいます。私にはね?』
階段を登ってくる足音が響く。トイが洋子を迎えに来たのだ。
『愛しい人がいるの』
現れたトイに肩を抱かれたまま笑顔で手を振るジュリ。
『アンナ、貴女も巡り逢えますように…』
「ジュリ、勇気をありがとう。頑張るわ、私」
アンナの胸に決意の炎が灯った。
御婚姻の儀に伴う一連の出来事は無事終了した。問題点をひとつ残してーー
「ヨウコ?あいつのキスで感じたんだって?お仕置きしなきゃな?ちゃああんと上書きしよっと♪♪」
迫り来るトイに言い訳しようとする。
『だだだだって、不可抗力だよ?避けたらバレちゃうんだよ?気持ちは…ぁあああっ』
トイは洋子の全身に蜜を塗り、余すことなく舐め回し撫で回し執拗に攻め立てた。トイの唾液や匂いに混じる蜜の香りに全身が疼き、弄ばれて火照る身体を弓なりに反らせながら淫らに喘ぎ続け、声が擦れるまで決して離してくれなかったのだ。
ぐったり沈むようにベッドで休んでいると、アマテラス妃の気持ちが少しわかった気がした。




