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境界線の向こう側  作者: 柚子
60/74

【59】

祝賀会から3日後。

アマテラスが洋子を呼び出した。彼女の部屋には入れず談話室に招かれた。


「実はね、オズが側室達を持たず私だけご寵愛下さるというの。祝賀会から今朝まで部屋から出られなかったのよ?私、大丈夫かしら?」

リカちゃん人形はツヤツヤしてるけどお疲れのご様子だ。

『うーん。アマテラスさえ良ければ?』

気怠そうに紅茶を飲む姿は一見して睡眠不足だとわかる。

「日頃は公務も多忙だし新婚の今だけかしら?」


扉を開けて、オズ皇子がすっきりした顔を見せた。

「ヨーコのおかげで性悪婆(ディアボロス様)を捕らえることができた。これで終わりじゃない、始まりに過ぎぬ。これからも俺達をよろしく頼む」

洋子は膝を床について一礼した。

『畏まりました。オズ皇子、この度の側室達の解雇を心から感謝御礼申し上げます』

「ヨーコ!貴女の希望じゃないわ。私の醜い嫉妬心よ?」

オズ皇子は優しくアマテラスの腕を撫で、

「嫉妬なんぞしなくて良い。アマテラスの艶姿は、この世界中のどの女よりも勝る」

『はぁ〜。雅とか可憐とか美しいとか?御言葉を選んで下さいよ?』

「仕方ないわ。男とは単純な生き物なのよ」


ふと真顔になり、

「アリーからの伝言で飲み物は銀製の器でとあったがアレは?」

『植物の猛毒は銀を溶かし変色します』

「なぁ、ヨーコ?今回の褒美は何が良い?」


洋子は微笑みを浮かべた。

『オズ皇子、アマテラス妃。未来永劫お二人の栄華を私に見せて下さい。オズ皇子からの接吻という褒美を既に頂戴しております。失礼致します』


《転移》


姿を消した魔法を見て驚愕したアマテラスを介抱しながら、

「ヨーコは時空の(まにまに)現る黒魔女なんだよ」

と、自身に言い聞かせるように話した。


洋子はジュリとして詰所に立ち寄った。皆でお別れの挨拶を交わすと、先にマチルダやセーラは出て行った。

最後にアンナはジュリに訊いた。

「オズ皇子の密偵だったのね。ねぇジュリ、このままでいいの?」

『オズ皇子には素敵なアマテラス妃がいます。私にはね?』

階段を登ってくる足音が響く。トイが洋子を迎えに来たのだ。

『愛しい人がいるの』

現れたトイに肩を抱かれたまま笑顔で手を振るジュリ。

『アンナ、貴女も巡り逢えますように…』


「ジュリ、勇気をありがとう。頑張るわ、私」

アンナの胸に決意の炎が灯った。



御婚姻の儀に伴う一連の出来事は無事終了した。問題点をひとつ残してーー


「ヨウコ?あいつ(オズ皇子)のキスで感じたんだって?お仕置きしなきゃな?ちゃああんと上書きしよっと♪♪」

迫り来るトイに言い訳しようとする。

『だだだだって、不可抗力だよ?避けたらバレちゃうんだよ?気持ちは…ぁあああっ』


トイは洋子の全身に蜜を塗り、余すことなく舐め回し撫で回し執拗に攻め立てた。トイの唾液や匂いに混じる蜜の香りに全身が疼き、弄ばれて火照る身体を弓なりに反らせながら淫らに喘ぎ続け、声が擦れるまで決して離してくれなかったのだ。


ぐったり沈むようにベッドで休んでいると、アマテラス妃の気持ちが少しわかった気がした。

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