【44】
翌朝、同じベッドで眠るトイの腕をそっと解いて、顔を洗い身仕度を整えた。キッチンでお湯を沸かして朝食を作る。
寝室から洋子を呼ぶ声がする。
『おはよう、トイ』
トイはバッと薄手の掛け布団の中に潜る。
「ヨウコォ〜〜目が開かない」
『はいはい。トイ、起きて?』
布団越しにトイの瞼にキスをする。
いつの間にか布団は外され、甘い口づけを交わす2人…
『トイ…んぁあっ…ちょ、しょく…』
「まだ…ヨウコ…先に……」
『バッ、みんな…来るっ…んん〜』
なかなか離してくれないトイを涙目で睨むが効果ナシ。ニヤニヤしたトイは笑い出してしまう。
「もぉっ!ヨウコ可愛い過ぎっ!!愛してる」
リップ音を響かせて身体中にキスの花弁を咲かせていく。トイは洋子をサッと抱き上げてキッチンの椅子に座らせた。
そこへ、シヴァが滑降するように円を描き舞い降りた。
[洋子、ファイア国から伝言だ]
嘴に咥えたのは一枚の羽。細長い赤い色はシヴァの白によく映えている。
《もしかして鳳凰は生存しているの?》
[あぁ。火の化身と呼ばれるファイア国の主だ]
紅蓮[洋子、我を介して会話できるが?]
瑠璃[鳳凰は紅蓮の眷属よ]
龍は頂点にいるのだと再認識しつつ、真紅の羽を炎龍の腕環に撫でるように触れさせた。
〈私は鳳凰。ファイア国の象徴。洋子よ、今回の炎蝶の件は世話になった。その羽は私の分身。困ったことがあれば喚ぶが良い〉
《ありがとうございます。以前居た場所では“火の鳥”と呼ばれし貴女の御姿は光彩奪目な事でしょう》
〈貴女の御心も光彩陸離よ〉
暫く会話した後、一方的に言葉が途切れてしまい、そのままだったが、シヴァより[遠距離での疎通には限界がある]と言われて納得した。
「ヨウコ、朝食食べないと保たないぞ」
腰に腕を回して促すトイを、シヴァが[ククク…]と笑って見ていた。
洗い物が終わる頃、隣室の扉から複数の気配を感じると、花鳥風月の皆がやって来た。
「「「久しぶり!!」」」
今回の遠征依頼は、ウォーター国である。瑠璃が今の暑い季節には涼むことも必要だと諭したのだ。
「ヨウコは一度、シャイン国に戻りアマテラス様と面会せよ、とオズ皇子からの御言葉だ」
トーマが空を仰ぎながら、
「音信普通ではあんまりだとお嘆きになっておられる」
『わかったわ。皆はシャイン国に顔を出してからウォーター国の遠征依頼でいいの?』
「勿論。オズ皇子からの指名依頼もあると稼げるんだがな」
ダニエルはニッと唇を曲げた。
「ローラさんがヨーコに会いたいってさ」
アルが洋子に笑いかけた。
洋子はある事をシヴァに頼んで、皆と扉を開けてシャイン国へ行った。




