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境界線の向こう側  作者: 柚子
44/74

【44】

翌朝、同じベッドで眠るトイの腕をそっと解いて、顔を洗い身仕度を整えた。キッチンでお湯を沸かして朝食を作る。


寝室から洋子を呼ぶ声がする。

『おはよう、トイ』

トイはバッと薄手の掛け布団の中に潜る。

「ヨウコォ〜〜目が開かない」

『はいはい。トイ、起きて?』

布団越しにトイの瞼にキスをする。

いつの間にか布団は外され、甘い口づけを交わす2人…

『トイ…んぁあっ…ちょ、しょく…』

「まだ…ヨウコ…先に……」

『バッ、みんな…来るっ…んん〜』


なかなか離してくれないトイを涙目で睨むが効果ナシ。ニヤニヤしたトイは笑い出してしまう。

「もぉっ!ヨウコ可愛い過ぎっ!!愛してる」

リップ音を響かせて身体中にキスの花弁を咲かせていく。トイは洋子をサッと抱き上げてキッチンの椅子に座らせた。


そこへ、シヴァが滑降するように円を描き舞い降りた。

[洋子、ファイア国から伝言だ]

嘴に咥えたのは一枚の羽。細長い赤い色はシヴァの白によく映えている。

《もしかして鳳凰は生存しているの?》

[あぁ。火の化身と呼ばれるファイア国の主だ]


紅蓮[洋子、我を介して会話できるが?]

瑠璃[鳳凰は紅蓮の眷属よ]


龍は頂点にいるのだと再認識しつつ、真紅の羽を炎龍の腕環に撫でるように触れさせた。

〈私は鳳凰。ファイア国の象徴。洋子よ、今回の炎蝶の件は世話になった。その羽は私の分身。困ったことがあれば喚ぶが良い〉

《ありがとうございます。以前居た場所では“火の鳥”と呼ばれし貴女の御姿は光彩奪目(こうさいだつもく)な事でしょう》

〈貴女の御心も光彩陸離(こうさいりくり)よ〉


暫く会話した後、一方的に言葉が途切れてしまい、そのままだったが、シヴァより[遠距離での疎通には限界がある]と言われて納得した。


「ヨウコ、朝食食べないと保たないぞ」

腰に腕を回して促すトイを、シヴァが[ククク…]と笑って見ていた。


洗い物が終わる頃、隣室の扉から複数の気配を感じると、花鳥風月の皆がやって来た。


「「「久しぶり!!」」」


今回の遠征依頼は、ウォーター国である。瑠璃が今の暑い季節には涼むことも必要だと諭したのだ。

「ヨウコは一度、シャイン国に戻りアマテラス様と面会せよ、とオズ皇子からの御言葉だ」

トーマが空を仰ぎながら、

「音信普通ではあんまりだとお嘆きになっておられる」

『わかったわ。皆はシャイン国に顔を出してからウォーター国の遠征依頼でいいの?』

「勿論。オズ皇子からの指名依頼もあると稼げるんだがな」

ダニエルはニッと唇を曲げた。

「ローラさんがヨーコに会いたいってさ」

アルが洋子に笑いかけた。


洋子はある事をシヴァに頼んで、皆と扉を開けてシャイン国へ行った。

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