【39】
灼熱の夏ーー
ギラギラ照りつく太陽、熱気に包まれた風。
ここはファイア国。年中真夏日に近い気温を保つ常夏の国だ。
灼けつく日差しは体力を奪う。例の気温調整機能が発動するコートが無ければ倒れていたかもしれない。
《紅蓮、やっと来れたね。遅くなってゴメン》
[謝るな。我は洋子の内に秘める炎で充分だが?]
《……秘める炎って?》
[交尾中に発する情熱の事だ]
《こっこっ交尾って!》
耳まで真っ赤に染まる洋子に
[照れるうちは幼いわね]
瑠璃は容赦ない一言を浴びせたが、洋子が女性として急成長を遂げたのが嬉しくて仕方ないのだ。
[素直になれないのは瑠璃もだがな]
紅蓮が独り言のように呟いたが誰の耳にも届かなかった。
ギルド“鳳凰の翼”の本部はファイア国にある。一度訪れるよう各国受付嬢のアイリスにもラズベリーにも念を押されていた。
正門に到着すると、鳳凰が華麗に舞う姿の石像が出迎えてくれた。どのギルドよりも規模が大きい。建物の中もゆったりしていた。
掲示板を見ると、真夜中〜早朝迄や夕方〜夜迄等不規則な時間帯の依頼が目立つ。日中は暑くて避ける人が多いのかもしれない。また依頼内容も魔導器作成補助や建築物建設や治療師助手、デザイナー補佐や弟子見習い等、多種多様にあった。
ファイア国の文化はどの国よりも最先端だと聞く。一般に普及されている魔導器や道具類を始め、文化や芸術や建築等どの視点で見ても秀でている。これは科学ではなく魔法が発達したからだと言われているし、各専門家の技術と魔法が融合したからだと言う研究者もいる。
「初めまして。受付担当のアスランと申します。ギルドカードのご提示をお願い致します」
* * * * * *
名前:ヨウコ・サトウ
ランク:A(???)
職業:冒険者 Lv.43(魔導師 Lv.MAX)
装備:双龍の腕環・夜月の剣・朝陽の刀・天翼の首環・大地の首環・風舞の耳環・月影の指環・博識の白梟
HP(生命力)220000/250000
MP(魔力) 280000/280000
スキル:感知・言語翻訳・採取・威嚇・回避・変幻・幻覚・幸運・剣術・薬術・ボックス・霊笛・探知・発掘
魔法:Weather
称号:魔法陣術師・五色を纏う黒魔女・森の守護者
* * * * * *
>>うーん。増えてる。括弧内の?ってバグ!?相変わらず不透明だわ。
「ヨウコ・サトウさん、奥の部屋へどうぞ。到着次第相談があると、長がお待ちです」
>>長って?受付嬢の長?ギルドの長?先約は全く無いんだけど。
「失礼致します。ヨウコ・サトウさんをお連れしました」
アスランは一礼して受付へと戻っていく。ギルド長のデスクはあるけど、誰もいない。
するとーー
「ようこそ、ファイア国へ」
デスクの上に置かれた猫のぬいぐるみが喋った。
>>一筋縄ではいかないかも。
自身の直感が外れない洋子は、内心ため息を落とした。




