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ラブコメとはハート型の米である。

「ねぇ、今日、何して遊んだの〜?」   


「読書」


 今、俺に話しかけてきた相手は……確か……猫町……猫町……ああ、思い出した。


 初波水港(はじめなみすいこ)か……。


 猫町はラブコメのキャラだったな……。


「水港、今日は何の用だ?」


「え? 何の用って……一緒に住んでるんだから……世間話くらい普通でしょ?」


「そうか……? 今まで、そんなに会話するほど仲良かったか? 俺達……」


「あ、酷い! 水港可哀想〜!」


「あ、お前は確かに覚えてる、裏切り者だ」


 今話しかけてきたのは、裏切り者マグロ……。


「ちょっと!? その話はなし! もう!!!」


「え〜? なんのことっすか〜?」


 そして今疑問を浮かべてるこいつは多分味見屋台皆香(あじみやたいみなか)だろう。


「そうだよ? なに?裏切り者って……」


「気にするな水港、マグロが勝手にゲロっただけだ」


「ちょっと??? マグロって私の事……!?」


「お前の名前……湯煙鮪美刺(ゆけまぐろみさし)だろ?」


「そうだけども……! その名前は禁止! 今の私は……炊飯白米(すいはんしろこめ)!」


「……? なんだ? その名前ラブコメか?」


「お前が……私に罰としてつけたんだろうが〜!!!」


 そんな事はどうでもいい。


 何故なら俺は……こいつに裏切られたからだ。


 そう……こいつは……俺にラブコメを味合わせると約束しておきながら……実際に出てきたのは……ハート型に型どられた米だったからだ。


「だいたい! 敬具語! あんた! ちょっと調子乗りすぎ……! ハーレムだからって……!」


「急にどうした? 謹んで申し上げてないじゃないか……俺に対して謹んで申し上げるんじゃないのか?」


 敬具なんて言われたら誰でもそう思うのだろうがマグロはなんか……謹んでないな……。


「はぁ〜? あんた……自分の名前も忘れたの……? 敬具語拝啓(けいぐごはいけい)でしょうが!!」


「どうしたんだ? 俺の名前を急に叫んで……?」


「はぁ……もう駄目だこいつ……私は寝るわ……おやすみ」


 裏切り者がなんか寝たな。


 さて……俺は……。


「水港……夜ご飯用意してあるか?」


「えーと……今まだ午前だよ??」


「?」


 何を言っているんだこいつ……昨日の事だろう。


「忘れたのか? 昨日の夜ご飯用意したか?」


「え? 昨日!?」


「そうだが、昨日の夜ご飯食べてないからな、今食べて昨日の三食ノルマを達成しなければ……」


「いやいや……なに?三食ノルマって……」


 こいつは何を言ってるんだ……?


 一日三食なんて基本中の基本……昨日食い忘れたなら翌日取り返すのが普通だろう。


「水港ちゃん……多分この人はこう言いたいっす……食事はトレーニング! 一日三セットならぬ三食を毎日しなければ気が済まない! って……」


「えー!? 本当にそうなの?」


「……えーと……まあ……それでいいや……」


 急に意味不明な発言をしだした皆香に困惑しつつも……面倒なので特に反論はしない。


「でも……冷蔵庫……君が買い出し行かないから空だけど……?」


「……そうか……」


 それを聞いた俺は……あまりのショックに可愛い顔で落ち込むんだろう。


 そしてそれを見た二人はきっと、多分ラブコメ的なキュンをしてしまったのだろうが……。


 俺は……俺は……。


「悪い二人とも……俺はラブコメを読むのは好きだし体験もしたい、だが……話が進むラブコメは好きじゃない」


「へ?」


「え?」


「という事なので、ちょっと昼飯でも食べてくる、帰りに出前でも頼んでやるから楽しみに待っとけ」


「あ、う、うん……」


「よろしくっす〜!」


「ねぇ……外に出るのに出前って何……?」


「さぁ? あの人…の事は分かんないっすよ……!」


 

□ □ □

 


 こうして俺は昼飯を食べる為にラーメンを公園で啜る。


 これは昨日の夜ご飯の分。


 そして今開けたおにぎりは朝食……。


「さて……昼飯でも食いに行くか……」


 

□ □ □



「美味かった……」


 昼飯をどうするか悩んだ結果おにぎりとラーメンにした。


 多分これが必然という奴だ。


 そして出前をこの店で頼み、俺は酒造鑑定に向かう。


 

□ □ □


  

「やあ、よく来たね首相官邸へ」


「これは驚いた……」


「どうかした?」


「いや? 別に」


 どうやら酒造鑑定ではなく首相官邸だったらしい。


「さて……先日はご苦労だったね? この私も首相として鼻が高いよ……」


「お前……jkなのに首相……?」


「いや! JKに見えるかもだけど! 私22歳! 史上初のガキ総理ってバカにされてるけどね……」


「で? お前の名前なんだったっけ……?」


「は? は? は? は? は? は? は? は? は? は? は? は? は? は?」


「??????????????????????????????????????????」


 何故こんなにキレているのだろうか……?


 そもそも俺はこいつに名前で呼ばれた事は……あったにしろ……。


 俺が覚えてないなら心がこもってない名前呼びだったという事なのだから、俺が相手の名前を覚える義理はない。


「まあ、いいわ……今日は仕事の話よ?」


「おお! 新しい遊びか……」


「貴方……遊びだと思ってたの……?」


「いや、遊びだろ?」


「はぁ……まあいいわ……今日貴方に依頼する仕事は……ラブコメ作家のサイン会襲撃という異常事態を食い止めて欲しいの……!」


「いいよ」


「えーと……ありがとう?」


「サイン会って何持っていけばいいんだ? 名前知らん人」


「あ、ごめん……やっぱり他の執行官に頼むわ……」


 こうして数日後、実際に遊びに行かせてもらえる事は……なかった。

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