この物語のジャンルはラブコメである。
まず、始めに。
この物語はフィクションである。
実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
こんな言葉を目に、耳に、もしくは言う事だってあるかもしれない……。
この言葉は創作物ならどんなジャンルだって言える事で……。
この言葉がある事で余計な誤解を生まなくて済むのだ。
だけど、もし――。
現実が物語だったのなら……その時……人は……果たしてこの言葉を受け入れられるだろうか……?
□ □ □
春の匂いが鼻をくすぐり……普通にくしゃみをする。
「くしゅん!」
今日はこの、四季・春夏秋冬・青空学園の入学式だ。
俺はこの学園に……遊びに来た。
そう、俺は新入生ではない。
じゃあ先輩なのか?
否、在校生でも卒業生でもない。
俺はこの学園に……遊びに来たのだ。
「さて……やるか……」
校門の前に立ち、新入生と同じ制服を着てその中に紛れ講堂まで行く。
「そろそろ入学式だな……」
そう……俺は今、合格していない学園に無理矢理通おうとしているのだ。
それは何故か……まあそこは別に大した問題ではない……。
この学園で俺がする遊びは一つ……。
読書だ……。
□ □ □
そうして入学式が始まる。
もちろん新入生の分の椅子しか用意されていない為、俺は起立して話を聞いている。
周りの生徒、教職員が、驚いた顔でこっちを見て何かを話し、焦っているが、俺には関係ない。
もちろん、俺に関する事だろう。
普通にこんな堂々としかも椅子がない為、起立している生徒がいれば怪しまれる……というか普通にバレる。
だが……もう一度言うが俺には関係ない。
何故なら入学式の雰囲気は体験した為、後は目的の読書に向かうだけだ。
この学園にはここでしか読めない本がある。
そして……それはもちろん校長室にあるのが当たり前だ。
そうして俺は、教職員が慌てている間に堂々と講堂を出る。
途中、教職員が追ってきたが、まあ……関係ない、俺は陸上部に入る予定だったからな。
陸上部でもない職員には俺には追いつけない。
□ □ □
「これか……」
そうして目的の本を見つけ、全ページ写真を撮る。
これで問題ない、お土産用としては完璧だ。
「……帰るか……」
目的も果たしたので俺は帰宅の準備をしていると……。
「待ちなさい!」
校長室に謎の美少女……多分A〜Zなら謎の美少女Z辺りが入ってきた。
「なんだ?」
「貴方……この学園の生徒ではないわね?」
「? 左様ですが……?」
「学園への不法侵入並びに、機密文書の閲覧……捕まえます……!」
そう言うとZ辺りの女は俺に向かって、殴りかかってきた。
何故だろう?
俺はそれを……。
バチン!
「なっ!?」
普通に殴られた。
痛い……。
「貴方……何故避けなかったの……?」
「いや……殴ってくるのがおかしいからだろ? 俺は遊びに来たんだ、この学園に……むしろ歓迎されてもいいはずだ」
「貴方何を言っているの……?」
「……はぁ……まあ冗談はほどほどにして……避けるのが面倒だったからな」
そう、避けようが避けまいがこいつは俺を捕まえようとしてくる……ならまあどっちでも同じ事だ。
「それでも殴られたら捕まるかも知れない……! なら避けるべきよ……」
そんな話をしていると廊下から声が集まってくる。
教職員の勇者パーティが俺を魔王として討伐しに来たのだろう。
「まあ、何にせよ、俺は……捕まらない……!」
俺がそう言うと……轟音が鳴り響く。
「じゃあな、Z、もう会うことはないだろうが……楽しかったよ、この学園……」
そうして窓を開け……上から吊るされた梯子に掴まり、ヘリコプターで帰還する。
「待ちなさい……!」
「読書感想文が欲しいならSNSで学園の本としてレビューしておくから……!」
俺は遠くなるZと窓に向かって大声でそう言い俺の遊びは終わった。
「何だったの……あいつ……」
□ □ □
そうしてヘリコプターの中で学園のレビューを書きながら……隣に座っている……名前忘れた人が話しかけてきた。
「凄かったですよ! 鮮やかです……!」
「うん、まあね……」
「何が凄いって……! あの学園をテロ組織が運営しているって証拠を全部撮って来てくれたんですから……! これでようやく政府も重い腰を動かすでしょう!」
「政府ねぇ……」
忘れていたが、俺は非常勤の政府の人間だ。
まあ、そこまでこの情報は重要じゃないだろう。
なにせ俺は……早く帰ってラブコメを読むのが楽しみだからだ。
そうして……。
□ □ □
基地に着き、ヘリコプターから降りる。
「お疲れ様です! 国家特別執行官殿!」
「え? あ、お疲れ様」
国家特別執行官……大層な肩書きだが……多分、非常勤の政府の人間の厨二病ネーミングだろう。
「じゃあ、俺は帰りますんで、またいつでも遊ばせて下さい」
「は!」
□ □ □
そうして家に帰って来た俺は……。
「ただいま〜」
「『あ! お帰り!!!』」
そう、俺の家はシェアハウスで美少女達と俺は住んでいる。
もしも――これが物語なら……。
物語なら……フィクションなら……。
俺はきっと喜んで受け入れるだろう。
そう――。
そしてこの物語のジャンルはきっと――。
――ラブコメである。




