↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ 巨躯の若君

慶長十九年(1614年)、大坂城本丸。


五月雨が黄金の瓦を濡らす薄暗い広間で、一人の若者が座していた。

豊臣秀頼、二十二歳。


その姿を見上げる老臣たちは、畏怖と、ある「割り切れぬ違和感」に身を震わせていた。


秀頼の背丈は六尺五寸(約197センチメートル)に達し、肉体は頑健、白皙の美貌には高貴な威厳が満ちている。


――似ていない。


誰もが口に出せぬ思いを胸の奥に秘めていた。


かつてこの城で天下を統べた父・豊臣秀吉は、小柄で、猿に似たと評された醜男だった。その「泥から這い上がった男」の血から、これほど気高き巨人が生まれるものだろうか。


「淀、真実を隠し通せると思うなよ」


はるか江戸の地から大坂城を睨み据える大御所・徳川家康の冷徹な視線。


そして、大坂城の奥深くで「我が子こそ正統なる天下人」と狂信的に呟く母・淀殿の瞳。


これは、豊臣の栄華を終わらせる、血のミステリー。


稀代の成り上がりが遺した最大の遺産は、本当に彼の「種」だったのか。


城を包む霧の向こうで、忘れ去られた過去の記憶が静かに動き始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。