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囚われの主

三話目です。


早い投稿になっていますね。

著しくおそかったり、早かったりしますが、ご了承のほどよろしくお願いします。

学校からの帰り道、今日は珍しく歩いていた。

なぜならたまには歩けと御付のものに『命令』されたからだ。


「だから、オレはただそのほうがいいって進言しただけじゃないか。何も命令なんてしてない。断ろうと思えば出来ただろう? そう言うのは命令って言わないんだよ」


良がごちゃごちゃと言っているが、実際歩くのは嫌いじゃない。

ただ良を困らせたいだけだ。


「まったく………ガキなんだから」


「何か言ったか?」


「いいえ、何も」


他愛もない戯言を言い合いながら帰路を辿る。

こう言う雰囲気が僕は好きだった。


「お前、神宮寺の長男だな! 一緒に来てもらうぜ!」


だが、歩きだとこういう輩が多くて困る。

大体襲撃者は護衛が良だけと見るとすぐに襲い掛かってくる。

人は外見で判断してはいけないと僕は良に学んだ。


「うぅ……強よい」


一分もしないうちに全員ぶちのめされていた。


「いい加減学習しろよ。まったく、オレは何人倒せばいいんだ?」


確かに、外に出るたびにこう狙われてはおちおち外にも出られない。


「うーん……外に出るのは控えるべきか」


良が本気で考えていることが見て取れる。

冗談じゃない。


「大丈夫だ。―――良がいれば」


「ん? 何か言ったか?」


「なんでもない!」


僕が顔を赤く染めてうつむいている間、良は―――


僕を愛しそうに眺めていた。


もちろん僕にそれを知ることはできないのだけれど。


「ほら、ただでさえ狙われてるんだから、早く帰るぞ」


「分かっている! 僕に命令するな」


帰路を辿る道すがら、僕の顔はずっと熱かった。



良の言った事は本当になってしまった。


行きも帰りも送り迎え。

帰ってからの外出は禁止。

もちろん、一人で外に出るなんて出来るわけもない。

良と一緒でも駄目と来た。


「何! 香月が狙われた?! 良はなにをしているんだ!」


襲われたことが父上にばれてしまい、良に謹慎が言い渡されたのだ。

護衛がいなくなったと言うことで、新しい御付のものが用意され、

起きてから寝るまでそいつと一緒だ。


「もういい、下がれ」


「いいえ、香月様。私はあなた様のお父様からいついかなる時も守り通せと言われているのです。勝手にそばを離れるわけには参りません」


僕は小さく舌打ちをする。

こいつは僕の直属じゃない。父上から言われてきただけの見張りだ。


「もういい」


そいつを連れて稽古に向かう。

次は柔道だ。


着替える時、そいつは外に出て行った。

良は女だが着替える時もそばにいた。

別に気にしていないという風だった。


そいつは男だし、僕の護衛だと言うのならそばから離れては失格だ。

父上にそう進言しようと決めてからボタンに手をかける。


「動くな」


後ろから首に当てられる冷たい感覚に動きを止める。


「大人しくしてもらおう」


言われる通りにじっとしている。


「我々と一緒に来てもらおうか」


やっぱりあの新しい護衛は失格だ。


「何! 香月が……」


僕が捕まった話はすぐに父上の耳に入った。

もちろん、新しい護衛は解雇だ。


「どうするべきか……」


身代金を要請する電話もない。


「私が参りましょう。必ずや、我主を取り戻して見せます」


「良……」


そこにいたのは謹慎中の良だった。


「お前の主は―――」


「なんといわれようと、我主は香月様お一人ですから」


父上は何も言わなかった。


「良かろう、もしお前が香月を無傷で連れ戻せたなら、お前のことは不問にしてやる」


「ありがたきお言葉。必ずや、香月様を無傷で連れて参ります」


囚われの身の僕は、ただ誰かが助けに来てくれるのを待つしかなかった。

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