怒られるのは苦手
二話目です。
面白いかは自信がありません。
でも、個人的に香月君は好きです。良も好きです。
どうか、温かい目で見守ってあげてください。
今日は一段と寒くなる。
良からそう聞いて僕はコートを羽織った。
天気は曇りで、空は重い鉛色に染まっている。
「お車へどうぞ、香月様」
外へ出ると召使いが僕の前にかしずいた。
「良は?」
いつもなら一番最初に僕の元に現れる良がいない。
「良なら先に行ってしまいましたよ。今日は日直なんだとかで」
「―――日直か……」
確かに昨日そんなことを言っていたような気がする。
「出せ」
僕の声が車に響く。
イライラとして学校に行くとよけいに気に入らないことが起きた。
「源さんって頭いいし、この学校でもトップレベルよね~」
教室に入ると学友がそんなことを言っていた。
良は学年一位だ。
頭もよければ運動神経もいいときている。
「どうして神宮寺君のボディーガードなんてしてるのかしら?」
「お金よ。ほら、源さんって……」
派手にバタンと音をたてて扉を閉める。
「あっ……神宮寺君―――」
「文句があるなら直接本人に言えばいいだろ。こそこそするなんて最低だな」
にらむと女子生徒はビクッと身を縮めた。
「いけませんよ、香月様。女性には優しくとお教えしたではありませんか」
僕の横に現れたのは良だ。
「源さん」
女子はあからさまに安堵しているようだった。
「僕は悪いことはしていない。あいつらが悪口を言っていたから注意しただけだ」
良は、はいはいと受け流して、女子にニッコリと笑いかけると僕を引っ張って教室を出て行く。
「おい! 僕を引っ張るな! 自分のほうが背が高いからって……」
「香月」
良に名前を呼ばれて講義をやめる。
「ダメだ」
「……ごめん」
認めるのは嫌だけど、良にとがめられるとどうも反論が出来なくなる。
「よし、悪口言われて怒りたくなる気持ちは分かるけど、そういう時こそ笑って流さないとな」
「煩い、僕に命令するな。主人は僕だぞ」
「はいはい」
受け流されて腹が立つ。
でも、怒りより先に出たのは―――
「いや、違う。絶対に違う。ありえない」
怒りより、寂しさが勝つなんて………きっと気のせいだ。




