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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第六章 ~王子の道は前へ~

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368【兜と鍬形、そして】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

「ねえ、アッシュぅー」

≪何だ王子、きしょいぞ≫


「コホン」

 今のは自分でも気持ち悪かった。


「もう一つ、クリプタンのと同じ大きいゴーレム作ってくれ」

≪えー!≫

「だって、二体で作業する方が、後々鉄道を作るのに絶対便利だって!」


≪そりゃまあそうだろうけどな≫

 いつもの腕を組んで仁王立ち。今日も灰色の幼稚園児。


「ポテチ作っとくから」お前の好きな。

≪ジンジャーエールも欲しい≫

「もちろん」


 妖精たちに金銭を渡しても買い物をしないからなぁ。


 アナザーワールドの住民で買い物をするのはスフィンクスとミグマーリだけだったりする。見た目が大人だからね。


 だからって、給料制にして金銭を渡して、それを使うのはお使いとして頼まれる二人っていうのもなぁ。



 アッシュならできそうだけど、まだ年中さん状態だし。結局二人のどっちかと行かないと色々不味い。

 アッシュは、成長するのか?さらに進化するのか?




 アナザーワールドの中の精霊屋敷(グスタヴィラ)から遠く離れたところにある裸山みたいな場所に、いつの間にか出来ていたアッシュ専用の大型工作棟。

 クレーンの付いた倉庫のようなものだ。

 でも外から見たら高さは四階建てだった。

 クリプタンの大きなゴーレムもここでパーツを作っていた。


 学園と違って寝る場所が無かったから、屋上に4LDKの平屋を用意した。

 モサ島のヴィラみたいな建物だ。

 いくら妖精でもさ、人型をしてるなら生活空間はあった方がいいと思うんだよね。

 俺がお邪魔することもあるかもしれないけど。

 

 でも上に積んだら五階建てになっちゃったから、遠目で見たらでっかい建物になった。

 まあ、この世界で景観を気にする必要はない。

 観光地にするつもりはないからね。


 で、この大型工作棟の一面にシャッターを取り付けて、ヴァルカーン王国のシュバイツ印商会の工場に繋がるようにした。


≪同じ顔にするのか?色とか≫

「うーんちょっと変えるか?」

≪そういえば、クリプタンの角を変えようと思ってて≫

「?」

≪もうちょっと広がってる方が魔素を取り込みやすいから≫

「なるほど…んじゃさ、こういうのは?」

一つ紙に描いてみる。

「んで俺用のをこれこんな感じで…それで全体の色を…」

≪なるほど≫

「カッコイイでしょ」

≪ああ、じゃああたし用にはこれ!≫

と紙の隙間にアッシュもスケッチを入れてきた。

「アッシュも大きいゴーレム欲しいの?」


≪二体より三体の方が便利になるだろう?≫

「そりゃまあ、そうだろうけどさ」


 さっきのアッシュの言葉を俺が吐く。


 そして数日後、大型工作棟に三体のゴーレムが立っていた。

「もうできたの?」


≪早くほしくて!街道用に≫

「わかるけど…」


『なかなか良いですねぇ』

 クリプタンからも高評価だ。

 彼が乗り込んでいる初めのクロームカラーのゴーレムは、魔素を取り込む角が一本ではあるけど、初期よりちょっと太くなってて、先っちょが四つに枝分かれしていた。


「うん!俺のもカッコいい!」

 俺のスケッチから組んでくれたゴーレムは遠目から見たらマットな黒で、よく見ると表面に地模様のような布のようなテクスチャーで、これに高級感を感じるのは俺だけかもしれないけど。


 俺がメインに使うなら必要ないかもしれないけど、もしかして他の精霊や妖精も乗るかもしれないから魔素を取り込む角をつけている。しかも2本も!さらにその二本にはさらに三本ずつ枝別れしていて、これがまた黒い素材で包まれている。

 緑色じゃないけど、ちゃんと魔素を取り込む魔法を組み込んでいるよ。


≪あたしのもいいだろ!≫

『カッコイイですよ』

 年中さんのアッシュの頭の上に胡坐をかいて頷く小さいゴーレム。

 クリプタンは普段は動きやすいこっちの姿だ。

≪ふふーん≫


虹色にも見える銀色に輝く、アッシュのゴーレムの角は三本も付いていた!枝分かれはしてないけどね。

欲張りさんなんだから!


≪こんなに魔力が取り込めたら、ますます工事が出来るよ≫


 …欲張りなんて思ってごめんなさい。

 お仕事はほどほどにお願いします。


 とはいえアンシェジャミンは魔素が薄いので、補助用の魔石を沢山いれる。

 それこそアシスト自転車みたいに、魔力が詰まった魔石を詰め込むカセットみたいなものを作ってあって、それを背中と腰の二か所に入れる。

 背中は飛行用。


「んじゃ、クリプタンのゴーレムは〈カブト〉、俺のは〈クワガタ〉。んでアッシュのは〈ヘラクレス〉だよ」


≪どこから取った名前だ?≫


「俺の小さい時の思い出さ」

≪今も小さいくせに≫

「アッシュよりは大きいよ!…っていうか幼い時の思い出だ!」


 俺が生まれる前に流行ってて、まだちびっこ用の絵本や図鑑が残ってたんだよ。

 カブトムシとかクワガタとか!


≪そういうことにしておこう≫


 三体とも人を収容できる。縦にずらしてシートを工夫すれば二人分のシートを取り付けることが出来た。

 これで、例えば医師と患者を乗せたりできる。運ぶときはシートベルトで固定するんだけどさ。



 半年前、従魔のホブゴブリン達が寮の作業場で、魔物の素材を使って魔法陣と俺の魔力を詰めた魔石の魔力を使ってレジンを作っていたら、同じく俺が作ったコークスを運んでいた別のゴブリンがその隣でスっ転んで魔法陣の上の素材の上に一つ転がったらしい。


「で、出来たのがこれ?」

「はい、魔法陣から黒い綿のような物が噴き出してきて。

 廃棄するにもどうやって廃棄すればいいか悩んでいて。火を着けても燃えなくて…」


 と、大きな籠いっぱいには真っ黒な綿が詰まっていた。


 鑑定してみる。


〈精霊のカーボンファイバー〉


 今回は、俺自身の手はかかわっていない。ホブゴブリン達は俺の従魔なので、魔物枠だ 


「とりあえずカーボンファイバーなら、使い道あるかもしれないね」

「そうなんですか」

「糸に拠れるかな…」

「それなら緑色の妖精たちが得意らしいです」


「わかった。とりあえずこの籠を預るね」


「「はい」」


 転移した先の精霊屋敷(グスタヴィラ)の二階の応接のソファの上で、小さいおっさん達はだらだらしていた。

 まあ、別に俺の従魔でも部下でも何でもないんだけどね。


「おー、お前ら一つ頼んでいいか?」

≪は、ハイ≫

≪王子!≫

≪何か御用か!≫


ソファの上で正座に座り直している。


「そんな改まらなくてもいいよ。こっちがお願いしたいんだし」


≪わかった≫

≪なんだ?≫


「これ…糸とか布に出来る?」

とソファの前のテーブルに真っ黒な綿をひとつかみ置いてみる。

すると、妖精の中から緑色のおっさん達がテーブルに飛び乗ってきて、それをちょっと摘まんだり、さらに摘まんで窓に向かって透かしたり、クンクン匂いを嗅いだり…

≪ごぶりん?≫

「まあねホブゴブリンたちが作っちゃったんだよ」


≪ふむふむ≫

≪やってみる≫


 ちなみに、満月湖の近くで、以前綿花を栽培していたので、糸紬や糸巻の道具はある。

 その道具も出す。

≪織機はないか?≫

「今は玩具のしかないけど」

 なぜか入ってたんだよ。


≪それでよい≫

「取説は日本語だけど。しかも俺でも使ったことないし」


≪海星に聞く≫

「わかった」


≪できたら、れんらくする≫

≪まってな≫


 そして次の日、まるでスポーツタオルの大きさの黒い布が出来ていたのだった。

 布というには表面の目が粗く、これで顔は擦りたくなかったが。

 玩具の織機だしな。


〈精霊と妖精のカーボンクロス:ステンレスより強い、ミスリル並みに魔法と相性が良い、弾力、耐熱、耐冷、耐汚、摩擦に強い〉


 うん、夢の新素材。



 安定して作れるようになったら、商業ギルドに登録しようかな。


 ホブゴブリンが、〈精霊のカーボンファイバー〉のワタを安定して作れるようになった後、ヴァルカーンの商業ギルド本部で本格的な織機を一台買ってアナザーワールドに持ち込むと、灰色妖精のトットが興味を示した。


≪魁星さんが出かけてる時は暇だから、織ってやるよ≫

「ほんとう?」

≪ああ≫

「お礼は?」

≪面白そうだからいらない≫


 とはいえ、無料奉仕すぎるのもどうかと思って、トットの家を魁星の庵の隣に作った。

 今まで、二間続きの和室の片方に寝ていたらしい。


≪たすかる!

魁星さんのいびきと寝言で寝れたもんじゃなかったんだよ。

今までは昼に睡眠をとっていたんだ≫


「早く言ってくれたらよかったのに」


≪いや、おいらが動くのが面倒だっただけだ。

 どうしてもという時は他の建物に行けばよいだけだったしな≫


 でも、トットの家を4LDKにしようとしたら、

≪掃除の面積が増えるから要らん。二間で良い≫


 と言われて平屋の2LDKに落ち着いた。

 一部屋は作業場だ。


 トンカラリン バタン トンカラリン バタン カラカラカラ


 暫く木造の建物のあたりからは、機織りの情緒あふれる音が聞こえてきていた。


 カラカラカラ



 同じ部屋では緑色のおっさんが黒い糸を紡いでいる。


 結局〈精霊のカーボンファイバー〉そのものを作り出すのも、ホブゴブリンじゃなくて、緑色のおっさん達だ。


 ホブゴブリンが作った炭を、俺がコークスにしておくとそのうちのいくつかが減っている。


 懐かしくも長閑な日本家屋風の風景から生産されるのが、無限に可能性を秘めた真っ黒な素材だったのだ。



 

 そして、アッシュによって三種のゴーレムが完成した俺は、意気揚々とゴーレムの制作内容と、〈精霊のカーボンファイバー〉を商業ギルドに提出しようと、学園の大型試作室で書類をまとめていた。


「この真っ黒の布がすごいの?」

「そう!」

 兎耳をピコピコさせて聞くラヴィに応える。


「服には出来そうにないわね」

 残念そうにドワーフ少女のパステルがつぶやく。

「服用じゃないよ。着心地は悪いと思うし」


「いや、これでロリ服着作ったらロリ姿の鎧が出来るのではない?鉄より強いんでしょ?」

「いやいや、確かに刃は通らないけど、打撲の衝撃は来るよ!だめだよ!」


 中に鉄板を挟んだ防弾チョッキは出来るけどね。


「艶もあるし、いいでは」

「だめ!服にしないの!」

「どうして」

「そんなのを着て進んで危険な所に行かれても嫌だ」


「それはそうだけど」


 いやいや!たしかにロリ服の冒険者とかそういうカテゴリーはあるかもしれないけど!


「しかし、兵士や警備の服に取り入れるのは有効なのである」

 教授に食いつかれた!


「はい、ヒーターベストにできるので、ヴァルカーン王国には向いているんですが、なにぶん俺にはその知識が無くて」

「それなら、学園で研究させるのである」


「えー」


今回は、ゴーレム用だから、糸は磁気テープ並みに大きいし、布の目もシュロマットみたいなものだ。


「もっと細く撚ってもらって、密に織ればね…」


「出来そうであるな」


「…そうですね」


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