第6話 2分後に意外な彼女
キーンコーンカーンコーン
放課後を告げるチャイムが鳴る。
この教室に残っているのは俺と雅と……、
「……なんだよその目は」
「いや、なんでまだ教室にいるのかなーって思って」
「……いたら悪いかよ」
「別にそんなことは……」
「悪い」
雅さん言い切りましたね。容赦ないね。
「まぁ正直俺ももう少し雰囲気を考えて欲しいと思う」
「そーですかいオレはのけものですかい」
「だから別にそんなことは……」
「のけものじゃなくて邪魔者」
「雅さん少し相手の気持ちも考えような?」
「だって……」
「確かに今回は全面的に俊介が悪いけどそういうことはあまり口に出さない方がいいぞ?」
「矢凪くんがそこまで言うなら……」
良かった。約束してくれた。
やっぱり「雅さんは可愛いな」。
「えっ」
あ、声に出てた。俺も恥ずかしくなってくる。
二人して顔真っ赤じゃん。 やらかした。
「ここにいると心が持たなそうだから帰る……」
「おーまた明日なー」
誰もいない教室に今度こそ二人きり。
「えっと……雅さん。本題に入るけど……」
「待って。……で、できれば……し、下の名前で……呼んで、欲しい、です」
「わ、分かった。じゃあ……小春さん」
「さん付けも出来れば……」
「分かった。小春」
「えっ、あっ、あ、ちょ、ちょっと待って!」
「ど、どうした!?」
「い、いや、は、恥ずかしかっただけたから!」
「そんなこと大声で言われたら俺まで恥ずかしくなってくるからやめてくれ!」
「あ、う、うん、ごめん……も、もう大丈夫だよ」
「……で、本題なんだが……」
「う、うん。け、け、け、圭くん」
「あっ」
「えっ?」
「い、いや!何でもない!」
つい顔を背けてしまう。自分の顔が熱くなってるのが分かる。名前を呼ばれるのがこんなにも恥ずかしいとは……。こんな初々しいカップル今どきそうそういないだろう。本題にはいつになったら入れるのだろうか。
「は、話を戻すぞ。本題に入ろう」
「う、うん。別にそれてなんかなかったけど……」
「今週末、何か予定は入ってるか?」
「いや、別に入ってないけど……」
「そうか、良かった。じゃあ……」
「?」
「デートをしよう」
「無理」
「えっ」