7話
第7話
合崎くんが秋宮さんに向かって倒れ込もうとした。
危ない!
咄嗟に秋宮さんを庇った。
……なんとか守ることはできた。
ただし、その代わりに俺の胸が握られていた。
「痛いんだけど」
「……最悪なんだが」
いや、それはこっちの台詞なんだけど。
秋宮「ありがとうございます。優さん」
「気をつけろよ」
合崎「……お前こそ、なんでその子の近くにいるんだよ」
「………」
はぁ?
さすがにそう思った。
「そっちが危なかったから、咄嗟に秋宮さんを庇っただけだよ」
合崎「嘘だろ。エロいことしか脳がないお前が」
秋宮「……っ!」
友「………」
一ヶ月と少しの間で、これが合崎くんとの四回目のトラブル。
授業以外では二回目になる。
勝手にエロザル扱いされ、その前提で大声で話されるものだから、嫌でも周囲に知られてしまう。
でも、そんなことはどうでもいい。
「今、秋宮さんが危なかったじゃん」
谷先「まあ、今のは確かにエロ犬のおかげで助かったよね」
秋宮「別に、優さんはいつもそんな目で見ているわけじゃありません」
谷先「そうかな?」
友「そうだ。俺たちにも優しいぞ」
友達が庇ってくれる。
ありがたいけど……。
合崎「はぁー」
こ、こいつ……。
流石にダメだ!
やっぱり嫌いだ!!
ほんの少し助けただけで、何を紳士ぶっているんだと言わんばかりの態度。
呆れるしかない。
そんなことより、秋宮さんへの謝罪はどうしたんだ!
谷先「秋さんも、嫌なら嫌ってはっきり言えばいいのに。こんなエロガキたちと一緒にいるんじゃなくて」
秋宮「……っ!」
まずい。
確かに友は以前、谷先さんのファンクラブ『ヒロビロ』の会員だった。
だから、彼女がそういう反応をするのも仕方ないのかもしれない。
でも、このままだと秋宮さんの怒りが爆発してしまいそうだ。
「……ごめん、俺が悪かったよ」
秋宮「優さん!」
友「優!」
合崎「お、認めたか!」
谷先「もう付きまとうのはやめなね。秋さんに」
秋宮「私は――」
「いや、一年間一緒だったし、普通に友達だよ。それ以上の関係を狙ってたわけじゃないんだけどね」
「あはは……。アイドルの谷先さんに言われたら、諦めるしかないな」
秋宮「………許せない」
優は、秋宮さんが怒りを爆発させる前に、この会話を終わらせるつもりだった。
けれど、優は秋宮さんの気持ちを知らない。
そんな中、友が咄嗟に声を上げた。
友「つか、授業遅れるぞ! 急ごうぜ!」
替先「それもそうね」
合崎「遅れたら優のせいだからな!」
二人は先に走っていった。
秋宮「……優さん、あの」
優「あはは、やばいね。やっぱりアイツら」
秋宮「はい……」
優「ありがとうね、トモ」
友「おう」
優「秋さん、大丈夫だった?」
秋宮「優さんのおかげで無事でした……。でも」
優「あ、いいよ。さっきのはもう誤解というか……。何を言っても、あの人たちには通じないしね。それより、早く授業に行こうよ! 俺たちも遅れちゃうし」
秋宮さんは、どこか悲しそうな顔をしていた。
けれど、優はその理由に気づいていない。
そして、友が察していたこととも、少し違っていた。
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