1話ー3話
第1話 新しいクラス、最初の出会い
二年生になって、クラス替えがあった。
新しいクラス、新しい席、新しい人間関係。
せっかくの新学期だ。できれば、みんなと仲良くなりたい。
そう思っていた俺は、まず近くにいた男子に声をかけた。
優「ねえ、合崎くん。ちょっといい?」
合崎「…なんだよ」
合崎くんは、周囲に何人もの女子を連れていた。
その中には、見覚えのある顔もある。どうやら、かなり仲のいいグループらしい。
優「課題のことで聞きたいんだけど、よかったら情報交換しない?」
合崎「お前って、本当にエロいことしか考えてないよな」
優「えっ?」
思わず聞き返してしまった。
いきなり何を言われたんだろう。
優「いや、違うよ。俺はただ、課題のことを聞きたかっただけなんだけど……」
替先「はぁ……。ヒロと仲良くなって、私たちに近づこうって魂胆が見え見えなんだよね」
女子の一人が、呆れたように言った。
新先「やっぱり今年もいるんですね、こういう人」
別の女子も続ける。
アンタごときが、私たちに話しかけないでよね」
優「課題教え合いたかっただけなんだけど……」
新しいクラスになったばかりだ。
だからこそ、少しずつ知り合いを増やしたい。それだけだった。
合崎「まあまあ、わかった、わかった」
合崎くんは面倒くさそうに手を振った。
合崎「俺には花がいるから」
新先「そうね。私がいるんだから、何でも教えてあげるわ」
替先「えー、私も教えてあげるのに」
真先「アンタは教えてもらう側でしょ」
替先「そうだった! ……って、私も課題あるんだけど!」
新先「もう、仕方ないわね」
全く聞いてもらえず彼女たちは俺の存在を忘れたかのように、楽しそうに話を続けている。
「……」
諦めて、その場を離れた。
すると、少し離れたところで見ていた友が声をかけてきた。
友「だから、話しかけるなって言ったのに」
優「・・・うん。これは無理だね」
友「だろ?」
優「でも、課題の情報交換くらいなら普通にできると思ったんだけどな」
友「相手を見てから話しかけろってことだよ」
優「そっか。次から気をつけるよ」
新学期最初の交流は、どうやら失敗だったらしい。
夏宮さんの噂通りやっぱり、やばい人だったのかも
第2話 ハーレム主人公の実態
合崎くん。
彼は、クラスの中でもかなり目立つ存在だった。
理由は簡単だ。
いつも周囲に女子がいる。
しかも、ただ仲がいいというだけではない。誰もが知っている人気アイドルや、学校でも有名なお嬢様まで、彼のそばに集まっている。
まるで、漫画やアニメに出てくるハーレム主人公そのものだ。
もちろん、本人もその状況を理解しているように見える。
ただ、俺には一つ気になることがあった。
合崎くんの周りでは、女子がよく困っているのだ。
例えば、廊下ですれ違ったとき。
合崎「あっ、いた」
そんな声が聞こえて振り返ると、合崎くんが女子にぶつかっていた。
春宮「ちょっと、ヒロ! またなの?」
合崎「いや、今のはわざとじゃないって!」
替先「もう、気をつけてよね」
女子は怒っているようだったが、合崎くんはどこか軽く受け流している。
最初は、よくあるドジな人なのかと思った。
けれど、そういう場面は一度ではなかった。
それに場合によっては胸や、スカートを脱がすなどがあった。
別の日にも、また別の女子にも。
そのたびに合崎くんは「わざとじゃない」と説明し、周囲の女子たちは彼をかばう。
特に、幼馴染の替先さんはいつも彼の味方だった。
彼女は人気アイドルで、学校の外でも知られている。
そんな彼女が合崎くんをかばうのだから、周りも強く言いにくいのだろう。
ただ、被害に遭った女子が納得しているかどうかは別の話だ。
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替先 あや トップアイドルに上り詰めると言われているアイドル。合崎の幼馴染であり、合崎とはベタベタな関係である。学園でもファンクラブがあり、ネットで拡散力は広い
新先 花 新先家は日本の中でも有数の会社であり、その娘である。一年は誰とも話そうとせず友達が居なかった。一人でいる期間が長かったがある日から合崎達と行動を共にするようになる。彼女は嫉妬も強く、合崎の近寄ろうとする女子には悉く嫌がらせ、攻撃をし退学に追い込んだこともある。
春宮「もう、いい加減にしてよ!」
ある日、教室に桜道さんの声が響いた。
どうやら、また合崎くんが彼女に向かって倒れて胸を触ってしまったらしい。
合崎「だから、わざとじゃないんだよ」
春宮「それ、何回目だと思ってるの?」
合崎「いや、本当に偶然で……」
春宮「この前もそうだったじゃん!」
春宮さんの声は震えていた。
怒っているのか、それとも泣きそうなのか。
笑って許せるような話ではない。
替先「ヒロも悪気があったわけじゃないんだから、そんなに怒らなくてもいいじゃない」
替先さんが間に入る。
春宮「でも、」
替宮さんが言葉を割って話す
替先「だからって、ヒロを責めすぎじゃない?」
「……っ」
春宮さんは言葉に詰まる。
周囲のクラスメイトの女の子も被害にあっている為当然の怒りを向けている。
わざとではなかったとしても、胸を触る行為はそうそう許されるわけではない。
それなのに、どうして同じことが繰り返されるのだろう。
替先「ヒロは本当にドジね」
替先さんが、呆れたように言う。
はぁ……そんなんだから、みんな怒るんでしょ」
新先さんもため息をついた。
「いや、だから俺は悪くないって!」
新先くんはそう言い返す。
そのときだった。
合崎が足を滑らせた。
「危ない!」
替先さんが咄嗟に手を伸ばす。
そして、二人は勢いよく倒れ込んでしまった。
替先さんの胸に合崎がくっ付いてる姿になっている。
合崎「いつまで抱きついてるんだ! 離れろ!」
替先「もう、ヒロから抱きついてきたのに!」
合崎「違うって!」
新先「羨ましい」
新先さんが小さくつぶやいた。
追崎「ヒロは本当にドジね……」
追崎さんは呆れたように頭を抱えた。
一方で、春宮さんは明らかに怒っていた。
春宮「……もう、いい加減にしてよ」
その声に、教室の空気が再び重くなる。
俺は何も言えなかった。
合崎くんに悪気がないのかもしれない。
でも、悪気がなければ何をしても許されるわけじゃない。
そんな当たり前のことをこのクラスでは言えなかった。
第3話 いつものカラオケ
優「そうだ! みんなでカラオケに行こうよ!」
いつものようにみんなを誘う
友「おっ、いいな!」
友もすぐに理解してくれる。
優「俺、ちょうど給料日近かったんだ。今日は少しくらい奢れるよ」
友「また優が奢るのかよ」
優「いいじゃん。みんなで楽しめれば」
俺がそう言うと、桜道さんは少し困ったように笑った。
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春宮「……もう嫌だよ。こんなの」
「うん」
秋宮「何度も同じことがあったら、嫌になるよね」
「そうだよ! そもそも、私たちはあの人達と違って、ヒロのことなんて全然好きじゃないんだから!」
毎回、繰り返される
教室では更に問題になるかもしれない。だからカラオケで泣くしなかない。
春宮「あと、あの最後のやつは何なのよ!」
最後のヒロの替先さんの拒絶・・・春宮さんには関係ないように思っているだろうが、少し前に起きた問題に対して空気が読めていない。
優「そうだね。あれじゃ、春宮さんが悪いみたいな言い方だったもんね」
「そう! そうなんだよ!」
春宮さんは何度も頷いた。
友「合崎もだけど、替先も本当にひどいよな。ここまで女子に腹が立ったのは初めてだ」
友も苛立ちを隠さずに言った。
夏宮「ほんとよ。結局、今回も謝ってくれなかったし。こっちはぶつからないように距離まで取ってるのに」
「……」
みんな、ずっと我慢していたんだと思う。
ずっと、セクハラまがいを受けたこと
何より全部が偶然だからと一度も謝罪をされないこと
その後、カラオケで思い思いに過ごした。
歌ったり、話したり、くだらないことで笑ったり。
さんの笑顔は見れないけど・・・
悔しいことだけど、何度も起きて立ち直ってきたことで今回は少しだけ明るかった。
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帰り道。
「……優、ごめんね」
桜道さんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「ん? どうしたの?」
「前にも奢ってもらったばかりなのに、また今日も……」
「いいよ、全然。少しでも元気が出てくれたなら、それで十分だから」
「……うん。ありがとう」
桜道さんは小さく笑った。
その隣では、友達の女子が彼女の背中を優しくさすっている。
「じゃあ、私たちはこっちだから」
「うん。またね、桜道さん」
「うん。またね!」
二人を見送ると、友が声をかけてきた。
「なあ、優。次は俺にも払わせてくれよ」
奢るのは桜道の分であり桜道以外は自腹で払っている。
和樹「俺も。三人で割ればいいだろ?」
和樹もそう言ってくれた。
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「いやいや、そういうわけにもいかないだろ」
「気持ちだけで十分だよ。二人にまで負担させたくないし」
「……ったく、お前は」
友は呆れたように笑った。
今月だけでも、桜道さんたちとカラオケに行くのはこれで六回目だ。
二人はいつも払おうとしてくれるが、桜道さんや今までの友達も、勝手に他の人に恩をつくられるのも嫌だろうし俺が誘ってるから払うことにしてる。
「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。弟が待ってるから」
「おう! 次こそは払うからな!」
「俺はお前の分まで奢るからな!!」
「ははっ、次がないことを祈るよ!」
そう言って、俺は二人と別れた。
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優が帰った後。
「なあ、和樹」
友がぽつりと口を開いた。
「ん?」
「あいつ、本当に分かってるのかな」
「さあな……」
二人は、優が去っていった方向を見つめていた。
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その頃、桜道さんの家では。
「ただいま……」
帰宅した桜道さんは、ソファに座り込んだ。
今日のカラオケは楽しかった。
優のおかげで、少しだけ気持ちも軽くなった。
それなのに、思い出すと胸が苦しくなる。
「……もう嫌だよ」
そこへ、一緒に家まで来た落葉が優しく春(桜道)を抱きしめる。
「そうだね」
すると、春宮さんの目から涙がこぼれた。
「もう嫌だよ。優の前で、これ以上あんな姿を見せたくない……」
秋宮「……私も、私もだよ」
秋宮さんも、彼女を抱きしめる腕に力を込めた。
二人が一番辛いことはセクハラされることだけじゃない、彼にその姿を見せることだった。
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