【22話】先人の知恵 VS 中学生の知識
ふっと意識が浮上して、目を覚ませば基地の前。
いつも基地から遠い場所で目が覚めるのに、こんな時ばかり。
この世界は空気が読めない。
壁に描かれたドラゴンを見ると、みるみるうちに苦しくなった。
でも……、またみんなに認めてもらうんだ。
これで、認めてもらうんだ。
みんなが自分のことを気にしてくれているか気になる気持ちを振り切って、その場をコソコソと離れた。
手作りカメラは光が強い方がいいらしい。
自分が今まで行ったことある中で、1番太陽を感じられるのは大河通りだ。
でも、大河通りは子ども達で賑わっている。
もしこの手作りカメラを見られて真似されたら、先を越されるかもしれない。
骸骨の写真は二番煎じでは意味がないのだ。
清流通りに行ってみよう。
そこならきっと人もいなくて、太陽もしっかり感じられるはず。
箱は暗くて隙間がないように。
穴は自分の爪の縦線くらい。
フィルムは下敷きみたいなプラの板。
イメージトレーニングはバッチリだ。
失敗するわけにはいかない。
成功しなきゃいけない。
緻密に丁寧にやらなきゃ。
イメトレに気を取られ、何度かつまづきながらも坂を下りる。
坂の下方にある川は光を反射してキラキラしていた。川の近くなら光量も十分だろう。
成功するかなという不安と、これだけ準備したんだから成功するだろうという期待感で胸を高鳴らせながら坂を下りきる。
川をじっと見ていたら、視界に黒い点が出てきた。
眩しい。
環境に不足なし!
早速材料のイメージを始めることにした。
内側は黒。自分が想像できる最強の黒。
完全なる四角に、穴をちょんっ。
あっ、上は開いていないと。ダンボールをイメージして。
ああっと、穴を塞ぐための蓋を取り付けて、こんな感じ。
ポンっ
とりあえず箱は出してみた。
クルクル回しながら見てみる。
うん、想像通り!
次はフィルム。
無地の白い下敷きをイメージして、氷みたいにツルツルに、窓ガラスを通して天井に光が映ったときくらい虹色に。
いいのか、な?
ポンっ
これも想像通り。
よかった。
そうしたら、この下敷きを箱に……取り付けられない。テープが無いと。
テープなんて……
ポンっ
うわぁ、ただベタついているだけだ。
これはダンボールを加工しなきゃ。
技術の授業ではダンボールに溝を作って、嵌めたりした。
幅は……勘で作ろう。
狭ければなんとかなる気がする。
さっきのに、隙間がある状態を考えて。
ポンっ
うーん、入るかな?入れればいいか。
グイグイ下敷きを押し込む。
あっ、ダンボール破けた。
下敷きで蓋すればいけるかな。
とりあえず下敷きを立たせて、描かれていたイメージ通りにはなった。
これで穴の前の蓋を開けて数分から数十分待つらしい。
待ってる間暇だな。
どうしよう。
そういえば、骸骨は数十分も待ってくれるのだろうか。
見つかったら呪われたりするのかな?
胃は無いから、食べられたりはしないよね?
ガシャガシャ鳴る音を聞いて、自分は挫けずに近づけるのかな?
いや、近づくんだ。
そうじゃないといけない。
ガシャガシャ鳴る骸骨ってことは、「ガシャ髑髏」とかそんなのなのかな。
怖いなー。あぁ、怖いなー。
見つかったらどう逃げよう。
50m走、7秒台だったけど、勝てるかな?
もし向こうのほうが早かったら、骨をバラせばいい?バラすなら大きめの石とか持っていって、叩き込むとか。
いや、近づくのは怖いし、石を投げる?
対骸骨を考えていたら、体感10分は経った。
そろそろどうだろう。
なんとなく成功しているだろうと感じながら、ワクワクと蓋を開けてみる。
真っ白だった。
あれ!できてない……。
あっ、も、もしかして開けるの早すぎたかな?
もう一度閉めて、もうちょっと待てばできるはず!
慌てて閉めて、待ってみる。
できるよね?できなきゃ困る。
僕がチームに戻れるかがこれに掛かってるんだから。
心臓がバクバクする。
もう5分経った?まだ?一応待ったほうがいい?
じっとなんてしていられず、立ち上がりうろつく。
もうさすがに5分経ったよね?
ちょっとだけ、ちょっとだけ見てみよう。
細く開いて覗いてみる。
真っ白だった。
どうしよう。できてない。何が悪いのかな、1回開けたこと?
も、もう一度最初から作ってみれば!
もう一度作り直し、またしばらく置いてみる。なるべく川の近くにして、穴を川に対面させて。
近くにいると覗いちゃうから、向こうの橋を渡ってこよう。
できているよね?と不安が募る。
大丈夫だよ。と言い聞かす。
これを繰り返して、川を一周してきた。
さっきよりは時間が経っているはずだ。
ダンボールに手をかける。
バクバクする心臓を落ち着かせるために、深呼吸を深く、深く一つ。
せ、せーの!!!
真っ白だった。
サーっと血の気が引く。
どうしよう。
命綱だったのに。




