表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界からの勇者召喚 失敗!  作者: 猫宮蒼
四章 ゲームでいうところの地味にめんどくさいくせに本編と強制的に絡んでくるミニゲーム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

210/232

時の流れ



 結局のところ、あれこれ話し合った結果ライラが今現在何かできる事があるわけでもなく。

 また、再び天界に戻るにも危険だという事で当面はこの塔の中で生活する事となった。


 ルクスは天界に繋がる扉のその先があまりにも空間ぐにゃぐにゃになってるという話を聞いて、とりあえず調整を試みる事となった。扉を開けてすぐ天界というのもどうかと思うがだからといって延々何日も進まないと辿り着けないというのも問題しかない。

 大体この塔、間に休憩所挟んでるとはいえ、普通に上ってくるだけでもかなりの長さだ。

 最後の休憩所に辿り着いたのにまだ上らせるのかよ、となるとそれもそれで……と思わなくもないのだ。


 ここに辿り着く探索者がそもそもいるか? という話だが、自分がここを進むと考えた時にあまりにも長いと間違いなく天界についた時点で機嫌はよろしくないだろう事だけは想像できる。


 それに恐らくここを最初に進むのはクロノだろうと思っている。

 となれば、ルクスが嫌がらせのように長い道を作るわけもない。かといってあまりにも呆気なく拍子抜けするような短さにもしないだろう。

 繋げるだけ繋げたものの具体的にどうなってるかまで確認してなかった、というままであったなら、もしクロノがこの世界にやって来て塔を制覇した時には。

 また無駄にルクスへの好感度が下がりかねない。

 ルクスもそれくらいは想像できているのだろう。だからこそ放置でもいいやとか言わないだけだ。


 当面のライラの世話は、ミーシャとアズリアがする事になった。


 子守は得意ではないのですが、とミーシャは言っていたが、相手が仮にも創星神であると告げれば神様の接待とか無理ですぅ……と途端に弱気になっていた。

 まぁ、彼女が過去接した神と呼べる存在はダンジョン管理者時代にあれこれ命令してきた玉――というか堕神の方だ。若干の苦手意識があっても仕方がないのかもしれない。

 とはいえ、この塔は天界に繋がっているわけだし、となれば場合によっては末永い付き合いにならないとも限らないのだ。

 なら、この塔を拠点として存在しているミーシャもアズリアもある程度面識を持っておいて損はないだろう。

 本当だったらゴーシュも顔だけはあわせておくべきなのかもしれないが、とりあえず今はライラにこの塔に関してのあれこれを教える方が先だ。


 幸いにして見た目はお子様であっても中身まで完全にそう、というわけではないようなのでそう苦労する事もないだろう。



 ステラたちはといえば、またスタッフルームでダラダラする日々に戻りつつあった。

 スタッフルーム経由で移動できるのは休憩所だけで途中のダンジョンには行けない。だが、別に行く必要性も感じられないために当面はまたのんびりと見物する側に戻るつもりだ。



 塔では何と今の今まで溶岩フロアで苦戦していた探索者たちがここ最近になってようやくクリアして終盤フロアへと辿り着いた。

 ハーゲンとステラのやりとりを聞いて、塔で売られていないアイテムであっても錬成魔術によるアイテム作成可能な場合がある、という話を聞いて、それぞれが溶岩フロアを攻略するためにあったらいいな、というアイテムをあれこれ注文した結果だ。

 とはいえ、どうにか攻略したといった感じなので大分満身創痍な者たちばかりであったが。


 けれどもこれで終盤フロアに行ける探索者たちの数は大分増えた。


 だが彼らもすぐには新たなフロアへ、と乗り出したりはしないだろう。

 既にちらっと出ている部分だけを思い返しても、攻略は容易ではないのだから。



 ハーゲン……いや、シデンたちはというと。


 数日は姿を見せなかったがしばらくして新たに姿を見せるようになった。

 塔の外で見物人たちに囲まれ、また先へ進むのかと問われ、シデンは「まぁ、そうだなぁ。ボチボチってとこだなぁ……」なんてこたえていた。

 すぐさままたあのフロアへ挑もうという感じではないようだが、それでもまだ先に進むつもりがあると聞いて周囲の見物人たちは大いに沸いた。


 ちなみに。

 今までどう見ても悪党にしか見えなかったバモスやオルデラは少しだけ変化があった。

 目の下からどう足掻いても退去不可、といった具合だった隈は完全に消えたわけではないが多少鳴りを潜め、顔色もそれなりに良くなったバモスはそれだけで薬中かな? みたいな雰囲気が大分薄まったし、オルデラに至ってはモヒカンをやめていた。というか、すっぱりと全ての髪を剃り以前のハーゲンのようになっている。

 変化がないのはエルオスだけだ。


 外見の変化だけを言うのであればそうだが、それ以外にも変化はあった。


 彼らは使う武器を一新させた。

 エルオスだけはやはり変わらずであったけれど、バモスとオルデラはお互いがボウガンを持ち、更には腰にロングソードを下げるようになっていた。


「久々すぎて剣の振り方を忘れてしまったかと思ったが……まぁどうにかなりそうだな」


 なんてバモスが言っていたので、随分前には剣を使っていた事があるらしいのはわかった。


 どうやら二人はかつて王城で兵士をしていた事があるらしく、剣の型などでそれがわかるとミドルスが警戒するかもしれない……と思っての事だったらしい。

 シデンがハーゲンと名を変えたのも、彼の名は当時プリエール王国ではかなり知られていたからだ。


 そんな男が片腕を失い探索者としてもロクに使えなくなった男に近づいたら、間違いなく警戒される。

 だが名を変え少しばかり外見を変化させれば、シデンは完全に山賊か盗賊の親玉にしか見えなかったし、バモスとオルデラもその一味と言われればそうとしか見えない。

 二人はそこまで有名でもなかったらしいので名を変える必要はなかった。

 だがシデンは違う。


 結果として、ミドルスはあの瞬間まで彼らの事を怪しむ事なく仲間だと信じていた。


 けれどももう名を偽る事もしなくてよくなったし、更には本来の戦い方を変えていたのだって戻してもいい、となって今はお互いがそれぞれにかつての戦い方や勘を取り戻しているところのようだ。

 シデンもまさか若返りのワインで全盛期と言って過言ではない頃まで若返るとは思ってなかったせいか、若干感覚が追い付いていないのだとか。


 ミドルスを欺くためだけに名を、戦い方を変えた彼らが本来の状態に戻るまではもう少しだけかかる事だろう。



 シデンたちは主にダンジョンの中盤階層、緊急離脱に頼らずとも問題のない階層で魔物を倒し金を稼いでいたが、ここ最近は休憩所に存在している修練場へも足を運ぶようになった。

 外見こそかつてのものとは異なっているが、かつてプリエール王国の騎士団長だったゴーシュと手合わせをしたシデンは何やら言いたげな顔をしていたが、好敵手を得たとばかりに多くは語らずここ最近はもっぱら彼との手合わせに励んでいる。


 かつての勘とやらを取り戻し、再び彼らがダンジョン攻略に乗り出す日はそう遠くないかもしれない。



 ちなみに、多くの探索者たちは秘薬が売られているという情報を得て目の色を変えて上の階層を目指していたが、秘薬以外にも目当ての物が増えた。

 シデンも飲んだ若返りのワインである。


 あれはダンジョンの中の宝箱で発見されたものだ。

 そして、遥か昔、通常のダンジョンでも何度か発見された事があるとされている伝承のアイテムでもあった。


 これに食いついたのは、権力を欲しいままにしている者たちだ。

 大金を動かす商人だけではなく、高貴な身分とされている中でも多くの女性がそのアイテムを渇望した。


 探索者ギルドはここ最近すっかり仕事が減っていたのだが、そのかわりのように探索者以外からの依頼が舞い込むようになったのだとか。

 今までのダンジョンであれば見つかるかどうかもわからない品でも、塔では見つかる可能性が圧倒的に高い。

 だからこそ、今まではもし出回るようになったら連絡欲しいな、その商品どうしても欲しいの、なんていうちょっとした話程度のものであっても、今は見つかったら是非! うちにその商品を売って頂戴!! と血眼で迫る勢いであった。


 探索者ギルドは別に魔物退治の依頼もアイテム納品の依頼も取り扱ってはいなかったのに。

 確かに時々ダンジョンの中で見つかったちょっとレアなアイテムを引き取る事はあった。売るにしても安く買いたたかれそうだとか、売る先に伝手もないような探索者がギルドへもってきて、少しでも適正価格で引き取ってもらえないかとか、そういった話はなかったわけでもない。


 とはいえそういう仕事も普段からしょっちゅうあったわけじゃなかったのだ。


 ところが最近はそうもいかなくなった。


 ステラが見ればもうこれ探索者ギルドって言うか冒険者ギルドみたいなものじゃない、とでも言いそうだが実際限りなくそれに近づいている。


 更にこの世界に来て最初の頃に思った魔物コインコレクターとかいそう、という彼女の感想でしかなかったそれも実在していた。

 塔のスクリーンを平民に紛れて見に来ていたお忍び貴族が、今まで見たことのない魔物をスクリーンで見てしまい、あの魔物コイン欲しい! となったりもしたのだ。

 貴族たちの中で魔物コインはコレクターアイテムとして流行っているというわけでもないが、それでも一部界隈で密かなブームなのである。


 今までは他の大陸に出るらしい魔物などを目当てに個人的な依頼を探索者に持ち掛ける者もいたが、塔の中だと国を毎度変えずにある程度の階層を回ればそれなりに集まる。

 それだけではない。

 今までどのダンジョンでも見たと言われたことのないような魔物が更に上にはいるのだ。


 もう世界中の魔物コインのほとんどを集めたのではないか、なんて豪語していたコレクターは、更なるコレクションの発展に胸ときめかせ、いかに強い探索者たちにその魔物コインを持ち帰ってもらうかと交渉するべく直接かかわる事ができるかもしれない塔へと足を運ぶ、なんて事も増えつつあった。



 この手の依頼人が塔のスクリーンがある場所へ訪れる事も増えたため、屋台をやっていた少女ゴーレムの一人が新たに今こういう依頼来てます、みたいな貼り紙を貼るスペースを作った。

 途端に依頼の紙がそこに貼られまくったが、有望そうな探索者に声をかけるタイミングも掴めなかった者たちからすればある意味で一つの救いにもなった。

 とりあえず金稼ごうと思った場合、自分を売り込みに行くよりはまずその貼り紙を確認してできそうなのがあればこなせばいい。

 なんだかここにもギルドっぽいものがそのうち出来上がりそうな勢いである。


 ダンジョンの中だけで発見されるアイテムだけが目当てというわけでもない。


 ダンジョンの中の休憩所。その中の宿。

 そこで使われている風呂場にあるシャンプーやリンス、そして石鹸などは中々にいい品質の物が多く、愛用者もそれなりにいる。

 毎回塔の中の宿で泊まるわけにもいかない探索者たちは、何度かは自分たちの拠点へと戻ったりもするわけだが、そこで使うべくゴーレムたちに交渉し、そこで使われているシャンプーやらトリートメントやらボディソープやらを購入していた。

 そしてそこからあれよあれよと一般市民にも伝わって、今ではちょっと高いがそれでも一度は使って欲しい素敵なアイテム、みたいな認識となって広まっている。


 実力がそこまでなくともその休憩所まで行く事ができている探索者たちが、時々それらの商品を買って国の商会に売りに行く、なんて事もここ最近で増え始めた。


 屋台で売られていない種類の酒も、休憩所で購入した後自国へ持ち帰るなんて者もかなり増えた。


 研究して、自分たちの国で作れそうなら作ろうとでも思っているのかもしれないし、単純にそっちで売って金にするつもりなのかもしれないし、普通に飲むだけかもしれない。

 人によって目的は異なるが、それでも休憩所内で売られている商品の需要はそこそこ上がっている。


 変わった依頼としては、針子に頼まれたのか服が売られている休憩所の服をなるべく見せてほしいというものだ。

 とはいえこれはスクリーンにその瞬間がしっかり映るのであればいいが、既に下の階層はあまり映る機会がない。

 だからこそ商会が契約している探索者たちへその手の依頼が殺到した。


 ダンジョンを探索するだけではなく、ここ最近は彼らも休憩所の商品をチェックしこれはお買い得では? なんていういやお前らを雇ってる商会の商品勧めろよ、みたいな事もやりだしているくらいだ。


 アイドル並みに人気のある探索者がこういう服が似合う人、いいよねぇ……なんて言った後、そのデザインが流行ったりもしたので侮れない。

 スポンサーしてる商会がその手のデザインの服も取り扱うようになってからは、商会の売り上げもそこそこ上がったようだし、まぁ、お互いに問題がなければいいのだろう。きっと。


 そうこうしているうちに時は流れ、ステラたちがこの世界にやって来てから十年……どころかそろそろ十一年目になろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ