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異世界からの勇者召喚 失敗!  作者: 猫宮蒼
四章 ゲームでいうところの地味にめんどくさいくせに本編と強制的に絡んでくるミニゲーム

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二人の創星神



「それで、天界にいる本来の姿の創星神だったね。多分そっちが本体で間違いないと思うよ」

「えぇっ!? それじゃ、ここにいるライラさんはなんだっていうんでちかー!?」

「余り物とかじゃないかな」

「あまっ……え、何の? 何が余ったらこうなっちゃうと?」


 ライラの話を聞いて既に大体の事は理解したのだろう。ルクスの態度はなんだこんなものか、と拍子抜けしたようなものになり、何だかとても投げやりに感じられた。


「神族の中に対となる存在を植え付けた時に、無意識か意図的かまでは知らないけど自分の中にも同じようにやらかしたんじゃない? けどきみは創星神。堕神が乗っとるまでに強くなるとまではいかず、そして世界は崩壊寸前。しこたま力を使い果たして、結果として眠りについた。

 その時に、魂の欠片みたいなのが飛び出たか何かしたんじゃないかな? 知らないけど。

 で、こっちが天界に繋がる塔を作ってここで得た力の一部を天界に流した結果、そっちの方に早く力が溜まった。そしてその結果きみは創星神としての記憶を持ち合わせたまま目覚めた――とはいえ、あくまでもきみはスペアだと思うよ。だからこそ、天界にきみが用意したはずの防衛機構とやらも本体を守っている。そしてスペアという存在をきみはそれらを作った時点で想定していなかった。だからこそ、きみの存在は主を限りなく真似た何かとして攻撃を食らう事になったのではないかな? 全部推測だけど」


 確たる根拠というものがあるわけではない。


 ついでに言うと結構投げやりな発言である。

 だがしかし、ルクスがそう言うと何となくそれが正解に聞こえてきて一同は思わずライラを見た。


 例えば彼女が眠りにつく直前で、自らのスペアを用意しようとした、とかそういうのがあったのであればそれが今のこの子です、となるのもわかる。

 けれどもそういう事をしたわけではないのに何故か本体である創星神がいるのにちみっこ状態のライラもいるとなると、確かに何で? となるわけだ。

 けれどもルクスの推測を聞くとそう言われればそんな気がする――!! となってしまったわけで。

 他に何か正当な理由があったとしても、現状その正当な理由に繋がる情報の断片も存在していない。

 むしろ何かがあったとしても気付けるのはやらかした創星神本人だけだと思われる。


 ライラが把握していないのであれば、現状ルクスの推測が最も真実に近いと言っても過言ではないかもしれない。


「えぇっとぉ、つまりぃ、もっかい向こうに戻ったとして、やっぱり狙われるって事でちか?」

「限りなく本物に近い偽物判定受けてるみたいだからそうじゃないかな。

 本体が目覚めてそれも自分です、みたいに指示でも出せば攻撃はされなくなると思うけど、現状、現時点でのきみは本来の主に限りなく寄せてきているけれど、主としての認証がない存在。

 敵が主に取って代わるために送りこんできたナニカ、と見なされていると思った方がいい」


「まぁ実際はそうじゃないわけなんだろうけど、防衛システム? 何かガーディアン的なの作ったわけなんでしょ? そいつらからしたら確かに脅威と見なしてもいいような存在よね貴方。だって現状主に近いのに、主とは異なるみたいな認識なわけでしょ? 下手に野放しにしておいたらいずれ主に害をなす、とか思われても何もおかしくないわけだものね」


 排除するべく動いていたようだけど、だが同時にどこかで手加減もされていたのではないかと思う。

 完全に敵という証拠があれば容赦しなくてもいいかもしれない。けれども、万が一主が作りだした新たなこちら側の味方である可能性もその守護者的な存在が思いついていたのであれば。


 そもそもそれらの存在に自我とか思考能力があるのか、という点をステラはよくわかっていないのだが、まぁ仮にあったと想定して。


 下手に抵抗されると面倒だけど万一の事を考えた上で動きを封じるくらいで殺しまではいかない、まぁ半殺しとかそこら辺で済まそうと考えた可能性はある。ライラからすればたまったものではないだろうけど。

 でも本当にもしライラが敵側だった場合、守護者からすればとんでもない脅威なわけだ。

 主を失った後、新たな主として君臨できる可能性がある存在であるわけだし。

 そもそも同じ存在なわけだが。


 これというのも神族の中に敵となりうる存在を生み落としてしまった結果だろう。


 何かの拍子に今まで味方だったはずの神族が堕神になる。

 そういうのが敵だったわけだ。

 そこに、主に似た主とは別個体がいてみろ。

 こいつも新たに生まれた敵か!? と思われてもまぁ仕方ないんじゃないかな~としか思えない。


 そもそも天界で目覚めた直後はまだ何事もなかったという話だ。

 しかしその後本来の姿の自分を見て、どうにか干渉しようとした結果襲われる事となった、と聞けばそりゃそうだろうなとなる。守護者目線で見れば主に干渉しようとした主に似た何かの存在を放置しておけるはずもない。

 そういったあれこれをしなければ、もしかしたら。


 要監視対象、あたりで済んでいたかもしれない。


 とはいえそれらは推測で、ついでにいうならもう監視だけで済んだかもしれないなんてのも過ぎた話だ。


「やらかしちゃった後だから何とも言えないけど……裏目に出た、って感じよね」

「ううぅぅうぅぅう~」


 もう言葉もロクに出てこないらしいライラは、頭を抱えて呻いていた。



 そんなライラの様子をルクスは冷めた目で眺めていた。


 話して何となく察したが、恐らくこの世界の創星神はそこまで強くもない。

 本来の姿はもう少し年上の姿をしているらしいとは聞いたが、見た目若い女の姿をしていようと老婆の姿をしていようと、それでもこれだけそそっかしいエピソードを聞けばルクスであれば嫌でも察するしかないというべきか。

 神族にも言える事だが別にあいつらは見た目年齢と実年齢が一致しているわけじゃない。

 それはこちら側にも言える話だ。

 そしてそれは創星神も該当する。


 外見からわかるものなんてのは案外少ないのだが、それでもこのスペア体を見る限り、本体の方も大したことがないと思える。


 創星神としての力はそれなりにあるかもしれない。

 けれども、例えば敵対して相手を倒さなければならない、となったとして。


(ま、私ならこのスペア体殺せるし、クロムも可能か。本体は防衛機構があるらしいからどうだかわからないけれども……勝ちの目がないわけでもない。対処は可能、と。ベルはどうかな……ステラは手段と方法を選ばなければ……といった感じか。

 我が弟ならもっと早くに片が付く。

 うん、そうなると落としどころはどうするべきかな……)


 恐らく今のライラに創星神としての力が使えても、そこまで御大層な事ができる感じでもない。


 新たな神族を生み出す、なんてのはまず無理だろう。

 仮にできたとしても一人が精々。それも大した力を持たない……となれば作る意味がわからない。


 それこそ一つの種として生まれ落ちた後ならば繁殖という方法もあるが、神族は今この世界にいない。

 創星神も神の一柱ではあるけれど、ではこの幼女の姿をしているライラに適当な男と子供作ってこい、となっても無理だろう。現時点この世界にいるのはほとんどが人族だ。生まれた子は半神半人となるがそれを神族と見なしていいかは……世界による。


 つまり現時点でライラは新たな味方を生み出す事もできない。

 となれば、こちらに目的があったとしても塔で得た力を天界に流してそちらの力の復活に手を貸しているこちらと手を組むのが自然の流れだ。少なくとも敵対する理由も必要もないと向こうも考えているだろうし。


(でもまぁ、今考えた話をしたところではいそうですかとなりそうにもないし……これは保留でいいかな)


 どうせ今すぐ実行できるかと言われると、どうかなぁ、微妙だなぁ、無理かもなぁ、という返事のどれかがくるのがわかりきっている。だからこそ、ルクスは結局何も言わないまま冷めた目で眺めるだけにしたのである。



「なぁ、つまりどういう事なんだ? 一応そいつは創星神でいいんだよな?」

 そんな風に小声で問いかけたのはベルナドットだった。ステラにだけこっそり話しかけているつもりであったが、ルクスの耳にはしっかり聞こえているしだとするとクロムにもバッチリ聞こえている事だろう。


「その認識で合ってるわ」

「でも、天界にもいるんだろ?」

「あのねベルくん」

「おう」

「固定電話の親機と子機だと思ってちょうだい」

「……成程理解した」


 同じく小声で返したステラとのやりとりは相変わらずよくわからないものだったけれど。


 それでも何故か理解したベルナドットに、クロムだけが「え!? どういう事!?」という反応を示していたのだが。

 ステラがそれを気にした様子は全くなかった。

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