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53話 ちょっと反省

 エミィさんは襲われたら逃げること第一で考えていたみたいだ。


「まぁ結果としては良かったんだがな? 威圧だけで撃退できたわけだし」


 あの後、盗人たちを町の警備隊に突き出して私たちは宿へと戻った。そして部屋に着くなり私は床に正座させられ、エミィさんのお小言を頂戴している。


「しかし力だけで解決できる問題というものは存外少ない。そういった問題でさえ、力で解決すると新たなひずみが生まれてしまうような事柄も多い。最善は問題が起こらないようにすることで、次点は問題を避けることだ」

「はい……」

「他にどうしようもないとき以外、力で解決する方法を使ってはならない。いいな?」

「はい……」

「……ま、今回はとにかく無事だったからいい。やつらが大したことなくてよかったよ」


 語気を緩め、私の頭を撫でてくるエミィさん。私のことを大切に思っている気持ちが、手のひらから頭に流れ込んでくるようだ。


「うぅ、次からはもっとよく考えてから行動します」

「うん、そうしな。アタシが孤児院出身だと言う話はしただろう? アタシもよく院長にこんな感じで怒られてたよ。獣人は人間より力が強いからな。『正しい力の使い方を知りなさい』とうるさかったものだ」


 そっか、エミィさんもそんな感じだったのか。私とエミィさんは、そういう点では少し似ているのかもしれない。

 エミィさんは獣人であり、獣人は総じて躰が強い。優れた身体能力の持ち主だ。そこんじょそこらの人間を軽く撃退せしめるだろう。

 そして私のこの魔術も、回りを圧倒できるだけの力がある。なんせただ発動させただけで人を威圧し、気絶させてみせるのだ。そこからさらに攻撃を加えられる。それも普通じゃない速さで。

 エミィさんが言った院長さんの言葉をよく噛み締めねばなるまい。


「さてと、ずいぶん遅くなったが夕食にしよう。宿の食堂でいいか?」

「はい、そうしましょう。……そういえばシューユ……じゃない、ルカはまだ帰ってきてないのかな?」


 コンコン


「ルカだ。2人にちょっと話があるんだが」


 噂をすればなんとやら。ちょうど今帰ってきたところみたいだ。

 エミィさんがドアを開いてルカを迎える。


「おかえりルカ。今帰ったのか?」

「まぁ、そんなとこ。ユヌはいます?」

「なになに? 呼んだ?」

「あぁ、2人ともいるか。少し話をしたい。今いいか?」

「んー、これから夕食食べに行くんだけど、そこでもいい?」

「それでいい。俺も夕食食べてないし」


 3人で連れだって食堂へ。

 夕食の時間を少し過ぎていたため、待つことなく席に座ることができた。


「さてと、そろそろいいか?」


 従業員さんに注文を伝え終え、ルカが話し始める。それに私とエミィさんは首を縦に振り、話の先を促す。


「まず、ユヌに謝ることがある。シューユは当分お預けだ」

「えっ……」


 開幕から爆弾を持ち込んでくるルカ。

 楽しみにしてたのに!


「当分、だ。上手くいけばちゃんと手に入れられるから安心しろって」


 なんだ、それなら安心。


「よかったぁー。それじゃ、仕入れに時間がかかるとか?」

「いーや、課題を達成しないといけない」

「課題?」


 なんか嫌な響きだね。

 私の勘がアラームを鳴らしてる。


「……つまり、その課題を達成するために協力してほしいと言う話か?」

「おぉ、エミィさん察しがいい! そう、そうなんだよ、2人には是非とも協力してほしい」

「えーっと、シューユを手に入れるためだし、協力はしたいと思うけど。その課題の内容は?」

「新作料理だ」

「はい?」


 なんか今聞きたくない言葉が。

 そんな私の気も知らず、ルカは満面の笑みで続ける。


「シューユか、コメを使った新作料理を作る。もうアイディアはあるんだよ。2人はその味見をしてもらって、改善案とかがあったらそれを言ってほしいんだ」


 ルカが、新作、料理。

 記憶から呼び出される、数々のルカの料理(?)。異臭放つ魚、カビの生えた豆、腐った果物などなど……何度腹を下し、熱を出し、兄さんに心配されたか。


 ……シューユ、諦めた方がいいのかな。


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