15話 冒険者ギルドへ
「さて、ユヌはどこ行きたいんだ?」
「んー、そうだなぁ……」
ホセアさんちの雑貨屋から出てきた私たちは、とりあえずどこへ行くともなしに歩いている。
ポルトの町は大きい。
広いし、人も多い。それに物だって村とは比べ物にならない程いっぱい、そして様々なものがある。
皇都へ行く途中で立ち寄ることはわかっていたから事前の情報収集もしてある。
だから当然見てみたい場所もたくさんあるのだ。
「とりあえず、日が沈む前にホセアさんちに帰っておきたいし、どこか一ヶ所だけだよね」
「まぁもう日が傾き始めてるしな」
時間をかけすぎて暗くなって、迷子にならないよう注意したい。
となるとお店系はやめておくのが無難かな。見ていると楽しくなって歯止めがききそうにない。
んー、それじゃあ……
「あ、そうだ。ギルド」
「ん?どした?」
「確かポルトって冒険者ギルドの支部があったなって思い出してさ。皇都でもいいけど、一応登録だけ済ませちゃおうかなぁと」
「あぁ、冒険者になっておけばいろいろ便利だもんなぁ」
冒険者になる主な目的は身分証明書の獲得だ。
冒険者ギルドは超国家的な物であるため、支部で登録して貰えるギルドカードは全世界で通用する。
兄さんが持っていた風景画で、明らかに外国のものであるものがあったから、いずれはこのハリスト皇国を飛びでて旅するだろう。
そういったときにギルドカードは確実にいるのだ。
「よし!それじゃあギルドに行こう!」
「そうしようか。って場所わかってるのか?」
「わかんないから聞く!んーっと、そこのお兄さん、ちょっと教えてほしいんですけど――」
「ほらよ、ここがギルドだ。ちゃんと道分かったか?」
「はい!お兄さんありがとうございました!」
「おうよ!依頼カウンターは中入って右手だぞ。それじゃあな!」
ここまで案内してくれたお兄さんはそう言って建物の中へと消えていく。
私は思わず目の前の建物を見上げる。
「いやぁ、すっごく大きいね、ギルド」
「あぁ、こんなでかい建物は初めてか。ウチの村にあった教会の倍はありそうだな。んー、まさに、って感じだなぁ」
冒険者ギルドは3階建ての木造で、てっぺんに鐘があるところは教会に似ていると言えなくもない。
しかし、他には類を見ないどっしりとした建物、人の出入りの激しい入口、外にまで漏れるこの喧騒はギルド独特のものだろう。
「……いつまで見上げてるんだ?」
「はっ!ごめん、ルカ!それじゃ入ろうか」
私とルカは連れ立って建物に入る。
入ってすぐの場所は円状の広間になっており、広間の左右は机や椅子が数多く置かれている。冒険者風の人々の多くはそこに座って何かを食べたり談笑していて、おそらく1階の大半は食事処のようになっているのだろうと思われる。
広間の奥には受付のカウンターが6つ等間隔で並んでいて、右2つには「依頼申し込み」と、左4つには「依頼報告、新規・更新登録」と看板が書かれている。
私は新規登録だから、左の方だね。
ちょうど左から4番目が空いてるし、そこに行こう。
入ってすぐの広場を突っ切り、受付カウンターへ。
うぅ、ちょっと受付が高い。
背を伸ばせば顎が乗るくらいだ。
「おや、お嬢さん。依頼の受付は一つ右のところでやるんだよ」
受付に座っている紳士然としたお爺さんが優しく語りかけてくる。
「むぅ、私、登録しに来たんです」
「おや、そうですか。しかしお嬢さん、ギルドに登録するには歳が――」
「むうぅ!!今年の秋で13です!登録受付は満10歳からですよね!」
女の子の歳を間違えないでほしいんですけど!
私そんなに小さくないもん!
「そ、それは失礼。えっと、後ろの僕も登録ですかな?」
「いえ、俺は単に付き添いで」
「わかりました。で、では、ギルドの説明を……」
「知ってるからいいです!」
「おいちょっと待ったユヌ。機嫌損ねてても、一応それは聞いとけ。ほら、どうせ知ってるって言ってもあのウチの村の古い本が基だろ?規則が変わってるかもしれない」
「じゃあ説明お願いします!」
「は、はい、それでは説明いたします」




