ついにやってきた転校生
次の日、学校へとやってきた僕に、一番最初に絡んできたのは、言うまでもなく山田くんだった。
「紺野ー。おっはよーさん」
「あ、おはよー」
そう挨拶をしてきた山田くんは、僕の顔を見るなり、少し不思議そうな顔をした。
「なんかいいことあったか? 今日は一段と明るく可愛い顔してるけど」
「いいこと?」
なんかあったっけ?
今日の朝ごはんの玉子焼きに殻が入ってたけどそれはいいことじゃないし・・・
「特に思い浮かばないけど・・・」
「そっか。まぁ俺としても紺野が可愛いに越したことはないからいいんだけどさ」
「僕には山田くんのほうが機嫌良く見えるんだけど」
山田くんは終始笑顔だ。
いつも笑顔を絶やさないけど、いつも以上に笑顔に磨きがかかっている。
「実はですね。今日こそ転校生がくるらしいんですよ!」
「あー昨日来なかったもんねー」
「あっ! だからといって俺の一番は紺野だからな! 別に浮気とかじゃないからな!」
「わかってるよ。ってゆーかそんなこと思ってないから安心してよ」
僕は男同士の恋愛は嫌だ。
恋愛じゃなくて友情でいいじゃないの。
「それはよかった。っと先生きたし。またな」
扉を開けた先生の姿を確認した山田くんはそそくさと自分の席に戻っていった。
「はーい、席につけー。今日は昨日保健室登校しちゃった転校生が、やっと教室登校します。先生上手いこと言ったね。拍手してもいいんだよ?」
もちろんだれも拍手なんてしない。
うちのクラスの担任はこーゆー先生なんだ。この2ヶ月でクラスの人たちも慣れてきたから、先生のノリには口元をひきつらせた笑いだけで良いというのが、暗黙のルールとなっていた。
「というわけで、先に先生の話を聞くのと、先に転校生を紹介するのは、どっちがいいですかー?」
「転校生を紹介してくださーい」
先生のへんてこな質問に山田くんが手を挙げて答えた。
「はいわかりましたー。先生もそっちが先がいいんじゃないかなーと思ってたんです。では転校生さん。どーぞー」
先生の言葉に促されるようにして、教室の扉を開けて入ってきたのは、僕と同じくらいの身長で、黒く短めの髪とメガネが印象的な可愛らしい女の子だった。
先生の隣に立つと、恥ずかしそうに下を向いたまま、モジモジと手を動かしながら、先生に自己紹介をされました。
「えーと、加藤彩さんです。ご両親の都合によって、この高校に転校してきました。皆さん仲良くしてあげてちょんまげ。では、加藤さん。簡単に自己紹介を」
「えっ、ちょんまげ? あ、えーと、加藤彩です。お父さんの転勤でこっちに越してきました。趣味は特にないですが、ピアノを小さい頃から習っていました。よろしくお願いします」
ペコリと下げた頭を上げたときに、全員に向かってニッコリと微笑んだ。
その瞬間、クラス内に爆発音と間違えるような歓声が響きわたった。
「「「うぉおおおおおおおっ!!!」」」
え? なになに??
周りを見渡すと、男子が手を上げて喜んでいた。中には先生と健闘を称え合っているかのような人も居た。
何が起きたのかさっぱりわからなかったので、近くに寄ってきたゴリラのような山田くんに声をかけた。
「みんなどうしちゃったの?」
「どうしたもこうしたもあるか! あんなに可愛い子とこれから一緒に過ごせるんだぞ! これに喜ばない男は男じゃない!!」
そう言って、またゴリラの群れの中に戻っていってしまった。
よく見ると、男子はほとんど立ち上がっていて、女子も何人かが立ち上がっていた。メスゴリラだ。
立ち上がっていないのは、僕と大半の女子とちょっと堅物そうな筋肉質な男子生徒だけだった。
「こーらー! 席に付けー!」
先生が飼育員のごとく、暴れていたゴリラもとい生徒達を静め始めた。
そして全員が席に座るのを確認すると、キョロキョロと教室内を見渡して、僕の横の席を指さした。
「じゃあ加藤。あの可愛い子ちゃんの隣の空いてる席をを使いなさい」
誰が可愛い子ちゃんだ!
「あ、はい」
こちらに歩いてくる転校生の加藤さん。
先生は『これにて終了!』と言って、教室を出ていった。
そして席に着いてカバンを机の横に掛けると、僕にニッコリと微笑みかけた。
「よろしくね」
「僕、紺野聖。こちらこそよろしくね」
「紺野さんって・・・」
そこで区切って僕のことを見る加藤さん。
「男だよ! 女じゃないからね!」
「あ、そうなんだ。てっきり先生が可愛い子ちゃんって言ってたから女の子なのかと思った。ごめんね」
「いいよ。慣れてるもん」
アハハと笑い合う僕ら。
・・・周りの目線が痛いのは気のせいだよね?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。
転校生はどこでもあんな感じですよねー
次回もお楽しみに!




